ヤマネコ目線

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電動キックボードの規制は緩いのか

 電動キックボードに関する法制度がTwitterで話題であったので書く。

news.yahoo.co.jp

 2023年7月1日から最高時速20km以下の電動キックボードについて16歳以上であれば免許不要となり、時速6km以下であれば歩道も走行可能となる。歩道を走行する際には緑のランプ点灯が必要。ヘルメット着用は努力義務で、スマホの使用や飲酒運転は取締り対象。

自転車に比して規制は緩いのか

 自転車の場合、歩道を走る際にどの程度の速度まで出しても良いのか。答えは「時速4km以下での徐行」。この点、電動キックボードに関する「時速6km以下」というのは自転車よりも規制がゆるい。とはいえ時速6kmというのは早歩きかそれよりやや速い程度なので、危険なほど速いかと言われれば微妙なラインではある。

 その微妙なラインを「緑色のランプで存在を強調させるから許容して」、という意図でのランプ点灯義務なのだろう。

 次にヘルメットの着用については、自転車は2023年4月1日よりすべての使用者に対して努力義務が課される。これまでは13歳以下への努力義務だったのが、対象が拡大される。努力義務という点ではヘルメット着用の要請レベルは同じ。

 自転車の制限速度は基本的に標識に従う。標識がない場所ならなんと無制限。電動アシストつき自転車の場合、時速24kmを超える速度からアシストを切らなければならない制限がある。電動キックボードの制限速度は原付と同じ時速30kmで、制限速度60kmの道路でも時速30km以上出すと違反になる。

 スマホや飲酒運転に関する規制も同じレベルであり、極端に自転車よりも規制が緩い訳でもない。なのでことさらに叩くほどの緩い規制とも言い難い。

それはさておき

 自転車同様、いざ事故となれば(物理的に)弱い立場であることを自覚せず危険な運転をする愚か者が続出することは容易に予想されるので、今から頭が痛いのは理解できる。通勤でクルマを使う身としては、自転車やあんなものがうようよいる道路など悪夢でしかない。

 ルールを守ってくれる人間ばかりなら良いのだが、現実は残念ながらそうではない。自転車は車道を走るにしても逆走して来るのをよく見る。見通しの悪い交差点から逆走方向に飛び出して来た奴を見た時は本当にヒヤっとした。ヘルメット着用も努力義務とはされるが、日本人にとって努力義務とは「無いのと同じ」である。罰則付きの義務化をしなければ意味は無い。携帯電話を片手で操作しながら、イヤフォンで音楽を聞きながら自転車を運転する人間も昔からいる。

 そうした不届き者が電動キックボードの運転者に出てこない筈もなく、むしろ自転車ほどの速度が出せないものがフラフラと車道を走る、それも下手しヘルメットを着用せずスマホを弄りながら、というのがあり得ると考えるとどうにも電動キックボードの規制緩和は良い案とは思えない。今後、どのような悲劇が起きても知らないぞ、と。未来的なモビリティとしての価値は確かにあるというか、東京のような都市部では移動手段が自転車や電動キックボードでも良いのだろうとは思うのだが・・・。

余談:電動なら良いのか

 昨今のEVブームに乗って様々なモビリティが登場し、中には大型ドローンのような空飛ぶタクシーなんかも検討されている。そもEVを流行らせているのはSDGsだと思うのだが、そこで「電動」ならばどんなにエネルギーを使っても良いと人類は勘違いしてはいないか。エコ(とされるエネルギー)であればどんなにエネルギーを浪費しても環境負荷にはならない、そんな風に思っているのではないか。その点を私は危惧している。

 人間は欲深い生き物である。いくらか余裕が出来たとなれば、すかさずその余裕も食いつぶし、下手すればその余裕以上のものを貪ろうとするのが人間。そもそもEVが製造から運用、廃棄まで込みで本当に環境に優しいといえるのか。化石燃料からの転換は始まったばかりであり、その中でEVが地球を救う、EVならば、電気エネルギーならばいくら使っても良い、というような風潮はいささか危険であると感じる。