テレビからは連日、岸田総理肝いりの「異次元の少子化対策」というフレーズが聞こえて来る。しかし財源をどうするかという話はあっても、肝心の中身はまだまだ見えて来ない。「異次元の~」などと言いつつも、これまでの効果の無かった少子化対策の焼き直しになるであろう事は明白。
何より不思議に思うのだが、なぜそこで保育士の配置基準の見直し、教員の待遇改善といった話がすっと出てこないのか。前々から保育士の配置基準が古いとの指摘はされているし、保育士や教員の待遇や労働環境が酷いものであることは明らか。テレビでもたびたび特集されているのに、そうした状況を改善するための議論があるとは全く聞こえて来ない。
保育士による虐待事件が起きているが、子供が好きで保育士になった、それも女性が虐待に走ってしまうほどの労働環境がなぜ放置されるのか。教員に関しても同様であり、社会保険料だ税金だという負担の割に、そうした本当に改善が必要な場所にはそうしたお金が入っていない。改善のための議論も国会でなされていない。余計な場所にばかり金を回すから肝心のそうした部分が一向に改善されないのではないか。
今日、公立小学校教員の採用試験が定員割れしたという報道もなされている。子供が成長する過程で重要な初等教育における人材が、過酷な労働環境から敬遠されて人材不足に陥っている始末。一体誰がこんな状況で子供を作ろうと思うのか。それでも好きで作る人間は確かにいるが、大抵の人間は子供が産まれても働き続けなければならないこと、その間は子供をどこか安心して預けられる場所が必要なこと、今はそうした場所が足りず、もはや安心して預けられる場所がどんどん少なくなりつつある事を理解している。
無償化だ補助金だ一時金だと言う前に、まずはそうした現場の改善から進めていくべきでは無いのか。