ヤマネコ目線

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ロシアが発射した超音速ミサイルについて

 書き散らし。2023年3月28日、ロシアが超音速巡航ミサイルを発射し100km先の標的に命中させたと各メディアが報じた。これに関して。

news.yahoo.co.jp

まず最初に

 「超音速」ミサイルと書いて煽り立てているが、そもそも大抵のミサイルの飛翔速度は超音速である。各国がこぞって開発競争をしているのは超音速ミサイルであって、それとは区別する必要がある。

 「巡航ミサイル*1として見れば、確かに超音速での飛翔は速い部類と言える。しかし今回発射されたP-270モスキートの最大射程は最大250km*2と、米軍のトマホーク巡航ミサイルの射程2,500~3,000kmに比較するとほぼ10分の1である。

 「100km先に命中」と言えば素人は簡単に「何かすごいミサイルを撃ってる」と騙されるが、現代のミサイルにおいてはそう珍しい距離ではない。用途や大きさも異なるが、明らかにモスキートより小型のアメリカ製空対空ミサイル AIM-120 AMRAAM(アムラーム)でも最新型は射程160kmとされる。

 そも、元は艦対艦ミサイルとして1984年に配備されたものを巡航ミサイルとして転用しているだけなので、モスキートは純然たる巡航ミサイルではない。ミサイルとしての破壊力は疑うべきでは無いが、明らかに旧式の装備である。

 マスコミの報道だけを見ているとあたかも「射程100kmの最新鋭超音速ミサイルでロシアが日本を威嚇している」ように思われるかも知れないが、実のところ通常の訓練と在庫処分がてら、ビビりの日本が勝手に震え上がってくれるのを期待しているという程度だろう。第一、ウクライナ戦線で主要なミサイルを使い果たしつつあると言われているロシアに、訓練で貴重な高性能ミサイルを浪費する余裕は無いだろう。

 「しゃもじのせい(でロシアが威嚇している)」というのはネタとして面白いが、あくまでネタとして理解すべきである。

報道の仕方について

 「旧ソ連製のミサイル」と一応は報じられているものの、大げさな捉え方を狙った報道がなされているように思う。私個人としてはいたずらに脅威を煽り、時期が時期なので安全保障政策だけで保っている自民党を間接的に選挙応援しているようにさえ見える。こと軍事に関して興味の薄い人間には肝心の情報が残らず、「何かすごいミサイルで日本を威嚇している」という印象しか残らないだろう。

余談:放送法をめぐる文書について

 連日、立憲民主党が追及している放送法をめぐる文書だが高市氏は「怪文書」とさえ言い出した。誰が悪いのかはこのままウヤムヤになるのだろうが、それはそれで問題がある。問題だけが残る。

 総務省は問題の文書が行政文書であると認めている。そうした文書が「怪文書」であり「捏造」であるならば、行政文書自体に対する信頼性が揺らぐことになる。加えて総務省は件の文書を行政文書と認めたものの、内容については「正確かどうか分からない」という。そんないい加減な話が行政機関において許されるのか。許されて良いのか大いに疑問だ。

 好き嫌いは抜きにして一体どこの誰に責任があるのか。それが曖昧なまま問題だけが残り、誰も責任を取らないままになってしまうと良い事など1つも無い。問題は解消しなければいつまでも残る。たとえば消えた年金問題も最近は聞かなくなったが、決して解決した訳ではない。

 何より「問題があっても責任の所在を誤魔化し切れば国民は許してくれる」という間違った認識を行政・政治家がしてしまえば、彼らは今よりもっと好き勝手にやるだろう。そうした流れがズルズルと起きているように見受けられるのが、どうにも嫌な感じがする。

 何をやっても誤魔化して逃げれば勝ち、それで問題ない、追及されても逃げ切れる。そんな無責任な政治を、政治家を許してはならない。

*1:長い距離を亜音速で飛翔するミサイル

*2:タイプによって異なる