VRに関していつも思うのだが、ゲームユーザーとしては正直ヘッドトラッキングなんて要らないし、立ち位置のトラッキングも要らないのでリフレッシュレート60fps以上でPCと手軽に接続出来るヘッドマウントディスプレイを出して欲しい。
もちろん、トラッキングがある物も需要はあるとは思うが、VRゴーグルのようなオタクなデバイスを求める層に、そういった機能は果たして必要とされているだろうか。没入感は確かに増すだろうが、座ってマウスとキーボードでゲームをしてきた人間に視界を動かすためには頭を動かせ、ゲーム内で移動するにはゴーグルを付けたまま部屋を歩き回れと言って、果たして本当にウケると思っているのか。
それもリフレッシュレートが低い、あるいはPCと接続できないゴーグルでどうにも順番やターゲットとする消費者がズレている気がする。まずリフレッシュレートが低いとゲームとしてはそれだけで不向きであるし、没入感の増すVRを使用したコンテンツには特に課題ではないか。そしてPCと接続出来ないのも頂けない。VRゴーグルを探すと大抵、スマホと組み合わせてしょうもない独自アプリのゲームしか出来ないものが出てくるが、VRゴーグルを数万円も出して買おうなどというオタクな層が、そんなもので満足する訳がない。VRゴーグルを買おうとする層がやりたいのはPCに接続し、60fps以上でPCで出来るあらゆるゲームをすることであって、VRゴーグルの現状はそこからズレ続けている。頭を動かして視線移動などと面倒なことは良いから、先に映像と接続だけでも快適に出来るデバイスを作るべきである。
言い換えれば今のVRゴーグルはPC不要、スマホだけで楽しめるという手軽さをアピールしている面もある訳だが、やはりそれもズレている。PC使わない、スマホだけでいいと言うのは明らかに「ライト」な層であり、そんなライトユーザーが物珍しさだけで数万円もするVRゴーグルを買うだろうか。強いて言えばPS4あたりのユーザーならば買うかも知れないが、そんなのはよほどの物好きだと思う。それも出来る事がかなり少ないので飽きるのも早く、コスパが悪いにも程がある。ゴミ同然の安物もあるが、それも買って残るのは後悔だけである。
そしてVRが映像、接続その他の快適さを実現しても、ヘッドトラッキングはまだしもポジショントラッキングは必要性を疑わざるを得ない。まずもって必要とされる安全な範囲が広いというのは導入難易度が高い。ゴーグルをつけたまま室内で体を動かす、移動するというのは不安が拭えないし、結果としてゲームへの没入感を阻害してしまう。
結局、今のままではVRゴーグルは物珍しさしか売りがなく、使用されるのはテレビやゲームセンター止まりだろう。需要に応じたユーザー目線の製品が出て来ない限り、普及は難しいと思う。製品として生き残るのは生き残るとは思うが、成長速度には陰りが見える。一時期テレビでもてはやされた3Dテレビのように、ひっそりと息を引き取ることがない事を願う。
