ヤマネコ目線

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素人投資家が反省するべきところ

 日銀の利上げ発表で円高傾向に触れ、日経平均は1,900円超下落した。この2日間で3,000円近く下げている。

www.nikkei.com

素人が手を出すタイミングとしては最悪だった

 以前の記事で「新NISAが始まるから」と素人が投資を始める危険性について書いた。金融リテラシーが低いまま政府やマスコミに乗せられて投資を始め、痛い目を見た人はそれなりにいるだろう。失政だらけの今の政府が言うことに思考停止で乗るのは愚か。

manuller416.hatenablog.com

 同じような内容になるが、なぜ素人が株式投資をするタイミングとして悪かったのか。

 まず日経平均が経済の実態を反映していない。日経平均が上がっているから景気が良い」などと言うのは今や手垢のついた嘘であり、円高に触れて輸出関連株が下がると途端にこれ。熱いのは一部の業種だけであって、その一部業種も今回のような流れで大きく反転する。上がり続ける見込みは最初から薄かった。

 それでもこのタイミングで日銀が利上げして円高に振れるとは思わなかったが。ドル円は乱高下し過ぎ。FXなんかやってたらヤバそう。

 それはそれとして、まず「失われた30年」とも言われるような国内情勢で日経平均がバブル期につけた最高値を更新するようなこと自体、異常としか言いようがない。それが長くは続かないことは自明。結局、日経平均という指標自体がマネーゲームのおもちゃ。

 この点は少し考えれば分かることで、これが分からない時点で不勉強、金融リテラシーがどうの以前に投資には向いていない。

狼狽売りが増える

 次点で株式市場に素人投資家が増え過ぎたのも、かえって素人が投資を始めるのに向いていない理由に思う。

 株価急落を受けて慌てて持っている株を売ることを「狼狽売り」「パニック売り」と言うが、(私も素人ではあるが)株式市場に素人投資家が増えると皆が売るから余計に下がる、下がったのを見て皆が売る、という悪循環に陥る。結果として必要以上に株式は下がってしまう。素人の大げさな反応が市場に反映される。

 含み損が出ていない内、プラスになっている内に売り抜けるのはそれはそれで賢いとも思うが。これから下がるならプラスの内に逃げて下がったところで買い戻せば良い。狼狽して損切りするのが一番愚か。

 「プロの方が売っている」は正直、土俵が違うので何とも。プロの手仕舞い、あるいは株価を下げるためにあえて売るのと素人の狼狽売りは違う。

積立NISAで狼狽えるのはよく分からない

 積立、長期分散投資であって、個別株を買っている訳でもないのに「株価暴落」と煽られて焦っているのもよく分からない。長期的に見てプラスになれば良いのだからいま焦る必要は無い。個別銘柄ではなく分散で投資しているならリスク分散は出来ている。その辺の金融リテラシーが無いままに何となく買って何となくで売るから損をする。

 別に株なんか下がったからと言ってすぐに紙くずになる訳でも無いのだから、「果報は寝て待て」の心持ちで買った時よりも上がるのを待てば良いのだ。なお、私も絶賛含み損中です(米国株、個別銘柄)

 含み損を抱えてそれがストレスになる時期は確かにあるが気にしたら負け。これが長い間続いてプラスに転じてからすぐに売ったりするとその後、どんどん上がっていったりする。「自分が買ったら下がった」、「自分が売ったら上がった」はあるある。そんなもん。握力弱い奴が負ける。株式投資は簡単に儲かると考えていた人はご愁傷さま。5年10年握ってナンボ。パチンコや競馬なんかよりはリスクが低いようにも思うが、その代償として結果が出るまでかなり時間がかかる。

 あとウェルスナビのCM、見ててイライラする。「上がったり下がったり」がどうの、それをいちいち気にしてストレスになるようならまず投資向いてないからやめろ。素人をカモにする気満々なのが見え透いた胡散臭さの塊のようなCMが気持ち悪い。嫌悪感しかない。全自動で投資とか何が面白いの?自分で考えて世界情勢、社会情勢を見ながら売り買いするのが面白いのに。

やってはいけないこと

 素人投資家がやってはいけない事としては先に挙げた「狼狽売り/パニック売り」に加えてナンピン買いがある。下がった銘柄をさらに買い増しして買値の平均値を下げること。下は模式図。

 ぶっちゃけナンピンも絶対悪とは言えないと思うが、株価が下がっている途中で買い増ししても結局、そのまま下がっていくので含み損は解消しない。下がり切った後で買いますならアリのような気もするが、問題は「素人にはどこが底値かを見極めるのが難しい」こと。下げきったと思ったら更に下がる場合もあるので、下手にナンピン買いという選択肢を残すよりは「一切しない」事にするのもアリ。ナンピンして含み損が出て損切りして、を繰り返すのはもはや何をやっているか分からない。

 加えて少し下がったからと今、円高に強い銘柄を買い漁るのも気が早いように思う。ここから円高基調に振れるならばまだ下げる可能性はあるのでは。とにかく焦るとろくな事がない。「感情的な取引をするな」はそこがある。

子育ても一種の投資

 話は違うが最近、子育ても一種の投資だと思っている。一部の恵まれた人間が半ば道楽、半ば本気で自分の利益のためにやること。

 1人を22歳まで育てるために必要とされる金額はトータルで約3,000~3,500万。私学に行かせる場合は5,000万を超えるとも言われる。美容の低年齢化だの何だのと言う今はこれ以上に掛かるだろうし、小学生からiPhoneを持ってるなんてのも珍しく無い。

 格差が拡大する中で子育ては「人生に当たり前のようにある選択肢」ではなくなっている。積立NISAで含み損だの何だのと言っているのは子育てに比べればまだまだ可愛らしい。

 問題はそこまで投資して報われるとは一切限らないこと。投資と見ると子育てはかなり分が悪い。今の日本社会ではリスクでしかない。保育園が見つかるかどうか分からない、見つかっても夏の車内に置き去りにされて死ぬ、虐待されるリスクがある。小・中・高等学校は教員不足でいじめ対応なんか手が回らない、上流階級はここから私学受験で差をつける。大学までやっても二流三流では意味がないし、この社会の中でまともな人間に育つかどうかが恐ろしい。それは世の中の「まともな人間」の少なさを見て特に思う。私ももちろんまともな人間ではない。

 Xでは子育てすることによって得られるメリットとして「子どもと一緒ならカブトムシ1匹飼うのさえ面白い」、という内容が拡散されていたが、それはあくまで子育てを楽しめる余裕のあるご家庭の話。共働き当たり前の今ではどこまでそのような"メリット"を享受できるのか。

 無理して子どもを作ったとて金銭的に余裕が無ければ、思ったような子育ては出来ないし様々な体験をさせてあげることも出来ない。私も親に海外旅行に連れて行ってもらったことなど無い。それどころか子どもの頃に思い描いた何てことない将来像さえ遠のいている。

 もし万が一、私が結婚して子どもを作っても将来「どうして金もないのに子どもなんか作ったんだ」と恨まれて殺されるような気がする。私は親に対してそこまで思った事は無いが、そのような漠然とした、しかし大きな不安が現役世代にはのしかかっている。分不相応な投資はしないのが賢い選択。

 先日、月曜から夜ふかしで映っていた孫、両親、祖父の4人組?はなかなかに強烈だった。何せ孫が祖父のことを「諭吉」と呼ぶのだから。これからは「栄一」らしい。気色悪過ぎる。もちろんそんな良くも悪くも恵まれた?家庭ばかりでは無いのだが。

 上の世代と下の世代とでは見えている世界が違うし、上の世代がいつまでも自分たちの世代と同じ感覚で無意味な少子化対策を続ける以上、少子化はいつまでも好転しない。不景気育ちで財布の紐がアダマンチウム並に固い世代が多少の金銭的支援なんかで分の悪い投資をするはずも無し。

 少子化対策として必要なのは、格差を是正して「自分くらいの経済力なら子どもを作っても良いかな」と思える人間を増やすこと。保育士や教員の待遇改善など安心して子育てが出来る環境の構築。無償化なんて二の次三の次で良い。このご時世に結婚・子育てできる人間は恵まれた部類なのだから多少のコストくらい払わせれば良い。独身税は格差を拡大させるだけ。

 いろいろ書いたが正直、このタイミングでどうして利上げに踏み切ったのか理解できていない