ヤマネコ目線

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薄っぺらさが透けて見える

 小泉進次郎氏は記者に解雇規制緩和が解雇促進にならないかと訊かれ、「全くあたらない」と即答した。

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(記事題:小泉進次郎環境大臣 解雇規制見直しは「解雇促進に全くあたらない」「丁寧に説明」)

言葉から透けて見える薄さ

 このような質問に対する適切な答えは何か考えた時、「悪用されないような制度設計について丁寧に議論を重ねていきたい」くらいが妥当ではないか。

 しかしそのような丁寧さは欠片もなく「それは全く当たらない」と即答してみせるあたり、強い言葉で誤魔化そうとしているだけで実際は何が問題でどのようなリスクがあるかを理解せず、ただ背後にいる誰かの受け売りをするだけの薄っぺらさが透けて見えるように思う。

 「丁寧に説明していきたい」という言い方もしているが、これにも違和感を覚える。「議論する」ではなく「説明する」であり、すでに何をどうするかは彼、彼らの中では決まっているのだ。議論の余地は無く、あとは愚かで無理解な国民をいかに説得するかだけ。だから「丁寧に説明する」という言い方をする。

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(記事題:小泉進次郎氏「1年でやる」 三つの改革を明言 総裁選出馬表明)

 これは三つの改革について「1年でやる」と言った点にも現れている。好意的に捉えれば「スピード感があって良い」となるのだろうが、裏を返せば時間をかけて議論するつもりは無い、拙速に既にどこかで決まった事をやろうとしている、という事でもある。

 「丁寧に説明する」だの「理解を求める」だのと言うのは結局、「説明はしてやるから我々が決めたことに否が応でも従ってもらう」の婉曲表現でしかない。それは今までの政治を見ても明らかだろう。彼らは決して「国民の皆様の懸念が払拭されるような議論をします」とも、「ご指摘いただいているようなリスクを加味して議論をすすめる」とも言わない。私が知る限りそのような言葉は聞いた試しがない。

 彼らはこれを一種の定型文のように思っているのか知らないが、それは裏を返せば定型文で返している、返答する内容を自分の頭で考えていない証左でもある。先人の知恵として「こう言っときゃ国民の目は何となく誤魔化せる」程度にしか思っていない。

背後に見える竹中平蔵の影

 金銭解雇を検討しているかを問われて

「今のままだと一度雇用をしたら、ずっと雇わなければならない。そのしわ寄せで今まで非正規雇用が続いていた」

 と回答しているが、果たして非正規雇用が増えたのは正規労働者のせいなのだろうか。この正規雇用を悪者にしようとする思考は経済界、特に竹中平蔵に近しい。おそらく彼が経済政策のブレイン(笑)なのだろう。小泉純一郎と同じ。

 一面的に見れば、正規労働者の解雇規制がより解雇しやすい労働形態を好む理由にはなり得ただろう。しかし非正規雇用、特に派遣労動者が増えた理由は人件費削減を企業が望んだからではないか。

 非正規雇用と一口に言ってもパート、アルバイトなどもあるので一概に言えず、ワーク・ライフ・バランスの関係で多様な雇用形態が増えたことも挙げられるが、何にせよ「非正規雇用の増加は正規雇用が守られ過ぎているから」では無い。ほかのあらゆる面を無視して正規雇用を悪者にし、労動者同士で足の引っ張り合いをさせようとするのはものすごく見覚えがある。

 それで、ただでさえ将来が不安になるこの社会で、正規雇用は守られ過ぎている!もっと不安定にするべきだ!」と雇用の流動化とやらを促進して、それで世の中が良くなるとでも本気で思っているのだろうか。先行きが不安でしかない上にいつ失職するか分からないような社会で安心して結婚・子育て出来るか?少子化はますます加速するだろう。

 ここで「いや、海外はもっと解雇しやすいけど」と言い出す人間もいるだろう。しかし再就職のしやすさも海外は段違いだ。履歴書に顔写真すら必要ない世界と顔採用のある日本を一緒にするな。ただでさえ生き辛い社会にしておいて悪い部分を残しながらの雇用の流動化など、ろくなことにならない。

 雇用の流動化は一般市民にとっては液状化現象でしかない。いつ生活の基盤が揺らぐか分からない。それでも「私は蹴落とす側だ」と謎の自信で賛成に回る人間もいるが、そういう奴でもいずれ誰かに追い越される時が来る。その時、家庭を持ってようがローンを抱えていようが金銭解雇、お金渡すからクビねと言い渡される。そういう社会が長期的に見て、果たして良い社会になり得るか。私はそうは思わない。

 経営者として効率を上げたい、生産性を上げたいという気持ちは理解しよう。しかし人間の一生は生産性やコスパだけで語るべきものではない。

 無駄がある、無駄を許容できる事こそ豊かさである。突き詰めて言ってしまえばあらゆる芸術活動は生きるのに必要ない。YouTubeで動画を見ることもPS5でゲームをすることも生きることには必要ない。無駄である。しかしその無駄こそが我々の人生を豊かにする。究極的なことを言えば今、日本の社会では結婚子育ては道楽の極みみたいなものだ。そうした無駄を、豊かさを効率化だ生産性だの名のもとに奪うな。それを良しとするから我々はどんどん貧しくなっているのだ。

経済界や官僚の傀儡は必要ない

 愚かな政治家は自分の頭で考える力が無いので、簡単に経済界や官僚に良いように丸めこまれて傀儡と化す。政策における良い側面だけを吹き込まれて、丸め込まれたことに気づきもせずそれが自分の考えだと思い込む。そのくせ一丁前に社会で揉まれた大人の気分でいて、自分には自分なりの考えがあるなどと思っている。

 根本的にどのような論理でその結論に至ったか、その過程でどのようなデメリットやリスクを考慮したかが欠けており、手札には外から吹き込まれた都合の良い主張しか持っていない。なので悪い側面に関してツッコまれた時に出せるものがなく「それは全く当たらない」などと突っぱねるしかない。あるいは出しても悪あがきのようなトンチンカンなものしか出て来ない。

 国会議員の本分は主権者たる国民の代弁者である。小泉進次郎に限らず世襲議員はそれにふさわしいと言えるのだろうか。生まれ育った時点で大多数の国民と見えているものが違う。民意を汲まず、利益団体のために国益を損ねることしかしない今の政治家どもは国賊ではないか。背信行為もいいとこだ。

 特に進次郎に限って言えば日本国内で労働し、生活を送る国民の気持ちなど理解できる筈がない。本分を忘れ、知ろうともせず、経済界や官僚から吹き込まれた政策を空っぽの頭に入れて持ち運ぶだけの傀儡は政治に必要無い。

 正直、経験不足だとかそんな話ではない。根本的に無理がある。兄のように俳優でもやっていれば良かったのだ。そうすれば誰からも憎まれずに済んだだろう。私ならあの身の上で国民の代弁者として国会に立つなど恥ずかしくて出来ない。それすら自覚出来ない人間が悪くすれば総理大臣になるかと思うと、もう失望を通り越して絶望しかない。

反・新自由主義社会主義共産主義

 新自由主義とやらに反対すると「じゃあお前は社会主義か、共産主義か」などと言いだす奴がいるようだが、いかにも「他人を騙してでも金さえ稼げれば良い」と思ってる人間が言いそうな事だ。「私達の言う通りにしないと損をしますよ、怖い世の中になりますよ」と言いながら平気で人を騙して損をさせる。

 そういう連中がやたらと規制緩和をさせたがるのは、自分たちの金儲けにとって政府による規制が邪魔だからに過ぎない。実力主義社会にすれば社会はもっと良くなる、経済は発展する」と言うのは詐欺師が「絶対儲かるから是非ともやりましょう、やらないと損ですよ」と言うのと一緒。もっと好き勝手にさせろと言うのだ。日本においてはどんな制度・構造も悪用するためにある。悪用して不当に儲けた連中がさらなる利益を求めて政治に介入し、金のためにこの国を破壊しようとしている。

 社会主義共産主義が平等を求めてゆえの破滅の道ならば、日本における新自由主義は金儲けを追求し過ぎてゆえの破滅の道だ。社会、経済というものが人間の作ったものである限り、どこからしらに欠陥はある。そこで生まれた主義主張にも当然欠陥はある。その中で規制されている事は必要だから規制されているのであって、それを取り払えば良いというものではない。

年金80歳から

 Xでは小泉進次郎が過去に年金受給開始年齢について「80歳からでも良いのでは」、と語ったことについても燃えていた。擁護する訳ではないが、政策として「80歳からの受給にする」と明言している訳ではない。まあ、おそらくそれをやると票田のご老人方の反発が大きいのだろう。

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 人生100年時代とは言うが皆が皆100歳まで当たり前に生きる時代でも無し、2023年の男性の平均年齢は81歳、女性で87歳である。80歳からの受給とした場合、平均して見ると男性はたった1年もらって終わり。

 平均はあくまで平均なので、もちろんこれ以上に長生きする場合もあるだろう。一方でこの平均値は「結婚して幸せに暮らした場合」であり、未婚男子について言えば死亡時年齢の中央値は67歳である。離別した場合でも約73歳。

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 悲しいかな、誰からも愛されぬ男は搾取されるだけで、本来もらえる年金すらもらえずに終わるのだ。ちなみに女性は1人の方が長生きするし幸福度も高い。もともと男女の性としてそのような違いがあるのか、あるいはそうなってしまうような社会になっているのか。

 まず無能な政治家から解雇しよう。死ぬまでパソナにでも面倒みてもらえ。せいぜい解雇されないよう頑張ってな