ヤマネコ目線

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共同親権は何が問題なのか

 共同親権に関する法案が順調に通過している。Xではこれに関して否定的な意見が目立つ。何が問題なのだろうか。そもそも今の国会、年寄りが官僚の台本を読み上げるだけの茶番劇になってはいまいか。これに限らず国民にとって悪いことは拙速に行われて、政治資金規正法の改正のような肝心なことはかなり足が遅い。

共同親権導入の背景

 日本は今まで単独親権制度であり、離婚する際に子供の親権はどちらか一方の親が持つ。現状、妻側が親権を持つ場合が85%超と偏りがあり面会拒否によって父親が子供に会いづらい、会えないという問題がある。面会できないから愛情も湧きづらく、そのため養育費の支払いがスムーズに行われないこともある。これが共同親権導入の理由とされている。

 しかしこの問題、男性の私から見ても本当に問題なのだろうかと思う。妻側が親権を持つ場合が85%はさすがに偏りを感じるものの、しかしてそれだけ偏りが出るには相応の理由があるのでは。裁判官は「子供は女性が育てるべき」といった偏見だけで判断している訳ではあるまいし、夫婦間で相談して決めたのであればそれはあくまで合意の上、少なくとも親権を持たない側が養育費を支払わない理由にはならない。

 共同親権を導入せずとも、親権をどちらが持つかの判断のプロセス見直し、面会に関する条件の緩和、養育費の支払いが滞る場合の差し押さえなど、やりようはある筈ではないか。後述するがこれらの問題が共同親権の導入で解消するとは思えないし、むしろ問題が増える可能性がある。共同親権の導入をもって万事解決とするのは立法府の怠慢である。

共同親権の何が問題視されているのか

 共同親権が導入されれば父、母どちらでも親権を持つことが可能となり面会を拒否できない。なお、共同親権は強制ではない。単独親権を選択することも可能。この場合、父と母どちらが親権を持つかを当事者が話し合って決めることになる。

 ここで問題は夫婦が不仲あるいはDV被害のある場合。話し合って決めるも何も「これ以上、相手に関わりたくない」という状況が生まれ得る。そうなれば話し合いどころでは無いし、話し合いの場を設けたところで一方がもう一方に対して支配的な交渉を進める可能性は十分あるだろう。ここで抵抗する気力が無ければ、不本意共同親権に持ち込まれる可能性がある。

 抵抗する気力があり、双方の意見が対立した場合は家庭裁判所でどちらが親権を持つべきか争うことになる。ここで従来の単独親権に加えて共同親権にするという選択肢が出て来た以上、家庭裁判所から「共同親権にせよ」と判断が下った場合はたとえDV被害者でも元配偶者と関わる必要が出てくる。裁判所が常に正しい判断が出来るかと言えば当然そんなことは無い。

共同親権のメリット

 そもそも共同親権のメリットの1つは「どちらが親権を持つかの争いが避けられる」という点にあるのだが、今回の日本の制度設計ではこのメリットが無い。選択肢を増やしたことがさらなるDV被害の増加・継続につながる可能性がある。にも関わらずいずれは単独親権を廃止し、共同親権一択になるかも知れない。自公政権ならそれくらいやりかねず、一部で「離婚禁止制度」と揶揄されるのも分からなくは無い。

 共同親権には「離婚後も両親が共同して子育てできる」というメリットもあるが、裏を返せばどちらか一方の協力が無ければ前に進めない事態も発生し得る。「俺/私はこうしたい。そうしないのならそのお金は払わないし印鑑も押さない」という具合に、共同親権であることを良いことに新たな抑圧、支配を行う人間が出て来るだろう。そもそも共同して子育て出来る関係ならば離婚なんかしないのでは?とも思うのだが。そうでもない場合もあるのか。あっても希では。私には理解できん。

 もう1つのメリットが「面会交流、養育費の支払いがスムーズに行われやすい」だが、不仲であったりDV被害があったりする関係ではこれもメリットとして数えるのはいささか無理があるように思う。いずれも双方良心的な対応が取れる前提の話ではないか。そもそも面会させたくない、自分の思うように行かない事柄に金を払いたくない、という場合にこのようなメリットがあるか甚だ疑問。

共同親権制度のデメリット

 第一、子供はどっちの側に住むんだ?という問題がある。その辺からしてどのみち揉めそう。どっちの家に住むにせよ、共同親権になれば面会交流の時間はそれなりに取られることになる。親にとっては良い事だし愛情も維持しやすい反面、子供は離れて暮らす方の親に会うためにそれなりの時間を割かなければいけなくなる。一人っ子ならば特に。子供に時間的コストを押し付けることになるのはいかがなものか。

 兄弟であれば共同親権であっても意図的に経済力の強い方が、自分の近くにいる子供により費用をかけて兄弟/姉妹間で格差を生む可能性もある。

 また、共同親権である以上は進路、将来設計など人生を左右する重大な判断についても父母双方が口出しする権利がある。そこでも意見の対立が発生することは想像に難くない。子供がその対立の板挟みになる可能性は高いだろう。

 通常の夫婦間でもそれなりに意見の相違はあるだろうが、実際に離婚に至るほど仲が悪く、場合によっては養育にかかる費用を出さないという選択肢がある場合は余計に悩みの種になるのではないか。

 遠方への引っ越しが難しいのもデメリットの1つ。DVが原因で別れた場合は物理的に距離を置きたいし住所も知られたくない筈。しかし共同親権になれば、遠方へ引っ越せば引っ越すほど子供に負担をかけるので距離を取りづらい。実際に会う/会わない、住所が知られる/知られないはともかくとして、そうした被害者にとっては「どこかでばったり会う可能性がある」ことすらストレスであろう。

結局この法案、何が良いんだろう

 メリットとデメリットを天秤にかけた時、デメリットを上回るだけのメリットがあるとは思えない。確かに単独親権は単独親権で問題もあるのだが、そこから更に問題を増やすだけのようにも思える。共同親権メリットがメリットとして機能していない。

 最悪なのがデメリットを解決するための議論が十分なされないまま話が進んでいる点で、一体この先どうするのか。結婚そのものが取り返しのつかない、後々の人生にずっと残り続けるリスクとなってしまう可能性が高まっている。こうなると婚姻数を下げる原因にさえなりかねない。少子化加速、日本人絶滅政策は今日も絶好調だ。

 まあ、私には結婚自体が縁の無い話だが。どうなろうと知ったこっちゃ無い。結婚できた、子供を作れた時点で恵まれた部類なのだから双方責任を果たせ。

Copilotで生成。いつの時代やねん