AmazonPrimeVideoで配信中の実写ドラマ版Fallout、第3話のレビュー。予習しておいた方が良い用語等は後述。第1話のレビューは↓
総評
相変わらず展開が大味な感じはするものの、内容が濃くて満足いく内容だった。ガンマンのグールの過去も少しずつ明らかになって来たし、正直もう描写されないと思っていたVault-33の様子が描写されていた点は面白い。ゲームでは主人公がVaultに戻ることはほぼ無く、別のVaultを見つけたとしても廃墟になっているか別の住人がいるかなので少し新鮮。居住者が生きているVaultに出くわすことも無いことは無いのだが。
また、Vault居住者の狂った良識のようなものが描写されているのも良い。彼らは閉鎖空間で人間らしくあり続けようと努力をしている。しかしそれは閉じた空間の中で少しずつ歪んで行き、荒れ果てた外の世界での感覚と大きく乖離して行く。彼らは彼らなりの価値基準、道徳観しか知らない上にそれが全ての人間に受け入れられると信じている。閉鎖空間、極めて限られた視界の中で理想を構築し、それを対話を放棄して一方的に押し付けることがいかに危険か。
それにしても首の扱いよ。主人公(ルーシー)は良識ある人間かと思っていたが首の扱いを見るになかなか・・・そう言えば第1話でも初対面の男に対してズレた質問をしていた。規律、法の秩序に関しては厳しいようだが倫理感は欠如しているのかも知れない。あとルーシー・マクレーンってダイ・ハードに出てきそうな名前だな。今さらだが。それにあの時代設定で白人男性の妻が黒人はどうなんだろうか。ポリコレ要素出して来たか。
予習しておいた方が良い用語
*一部ネタバレに繋がりそうな内容あり
共産主義自体に関しては説明するまでもあるまい。解説したいのはその扱い。戦前の世界ではこの世界と同じく共産主義の台頭を抑えようという動きがあり、共産主義者は敵視されていた。なので冒頭にそれを匂わせる発言がある。共産主義自体の是非はともかくとして、実写ドラマに制作側の意図から政治的要素をぶっ込んでいる訳ではない。
Mr.ガッツィー
https://hobby.dengeki.com/news/1168559/ より
戦前のグールが妻と移動する際に画面の端に映っている。戦前に製造されたロボットで蛸のような見た目をしており、汎用性が高いお手伝いロボット。上のMr.ガッツィーは軍用だが家庭用お手伝いロボットのMr.Handyもいる。見た目は色が違う程度で軍用、家庭用とも手?には物騒な装備が付いている*1。AIは家庭用が大人しく従順な家政婦的なもの、軍用が好戦的で口の汚い軍人的なもの。
なお、家庭用であっても移動は下部のジェットエンジン?による浮遊で行う。床が焦げるわ!風と熱がえぐいわ!
ラジオ
ドラマ中でたまに流れる古めかしい曲はゲームの中でも耳にする機会がある。Pip-Boyはラジオも受信できるので、戦前の施設などを利用して放送している局があれば聴くことが可能。ドラマではただのBGM。
AMラジオなら原理がシンプルなので、戦後のあの世界でも作ろうと思えば作れそう。第二次世界大戦中に間に合わせで受信機を作った例がある。
ヤムヤム・デビルエッグ
ルーシーが野営中に食べていたパッケージ化されている料理。製造されたのは戦前と思われるので保存技術が進んでいるのか、鋼鉄の胃袋なのかは不明。ゲームではウルトラスーパーマーケットの廃墟などで拾えるほか、人間の敵が持っている場合もある。
ヤムヤムは英語のスラングYummy(おいしい)の捩り、デビルエッグは実在する食べ物で、ゆで卵の黄身をくり抜いて中にスパイシーなペーストなどを詰めたもの。シンプルな料理でそのルーツは古代ローマにまで遡るという。ちなみに英語の綴りは「Deviled Egg」。
検索していたら料理研究家YouTuberリュウジ氏が調理する動画を発見。調理自体は30:14頃から。
キャップ(Cap)
BoSの黒人主人公(以後、マキシマス)が修理のための支払いをする際に映っている。ヌカ・コーラの瓶の王冠、キャップ。貨幣制度が崩壊しているため、戦前に大量生産されていて数があり頑丈かつ偽造も難しい(?)王冠が通貨として機能している。複数形はキャッス(Caps)。
何だって良いが入れる場所よ・・・向きによっては刺さりそう。ゲームの感覚で言えば5キャッスは安い。
ナイト
BoSにおいて初めてパワーアーマーの装着を許される階級。ただし常にどんな任務でもパワーアーマーを装着できる訳では無い。ルーシーがなぜパワーアーマーを見てナイトと呼んだのかは不明。「私を守ってくれる騎士」的な?
エスクワイアという呼称もあったが英語で「~様」「~殿」程度の意味なので、呼びかけにつかう敬称程度の意味か。
アボミネーション
BoSが放射能汚染などによって変異した生物に対して使う呼び方。英語のAbomination(憎悪、大嫌い、大嫌いなもの)から意味合い的には「忌まわしい奴ら」あたりか。グールやヤオ・グアイもこの内に入る。醜い見た目の奴らは大体アボミネーション。
ガルパー
アボミネーションのうちサンショウウオが変異した怪物。ドラマで登場したものはウーパールーパーが変異したものに見えるが細かいことは気にしてはいけない。あいつに限らず汚染された水の中にはどんな怪物が潜んでいるか分からない。