ヤマネコ目線

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国民のモラル低下

 自民党稲田朋美議員の発言がX (旧Twitter)で話題だったのでネタにする。曰く「政治不信の根底には国民のモラル低下がある」と。

見方は様々あるようだが

 政治不信の根底にあるのは「国民のモラル低下」ではなく「政治家のモラル低下であり、実権を握っている人間が利益団体と官僚の操り人形に成り下がり、国益よりも自身の属する政党や特定企業などへの利益誘導を優先し続け、莫大な税金をムダにしながら失政を続けている点にある。

 一方でそうした政治家を選挙で選び続けている、政治に興味が薄く積極的な政治参加もせず、タレントや世襲を簡単に議員にしてしまう国民はモラルが低い、と言われれば反論しづらい。国民の愚かさがブーメランとなって返って来ているという見方は間違いとは言えまい。この場合、モラルというよりは政治への感心や民主主義国家の国民としての意識が低い、と言うべきであろうが。

 その点、稲田議員の発言はこうした(ある種)まっとうな批判の意味が込められたものとは思えない。どちらかと言えばあれは「悪いのは私たちでは無く政策に無理解で非協力的な国民だ」、というような開き直りである。そこには自分たちの不手際に対する謙虚な反省も無ければ、先に挙げたような国民に対するある種まっとうな批判の意図も無い。ああいった発言が出てくる根本には「私たちこそ正しいので国民を"教育"しなければ」、というレベルの傲岸不遜さがある。そんな輩にモラル低下だのと言われたくは無い。

 そのレベルの人間が政権与党で国会議員をやっているのだから、国民にも非があるというのは間違い無いのだが。なかなか苦しい話。それでもあの発言は自分たちの失政を棚に上げたもので到底許せない。蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」並にずっと蒸し返し続けてやる。

 保守系は自分たちが野党議員の不祥事についていつまでも昔のことを言う割に、与党議員の不祥事については「いつまで言ってるんだ」などと言うがそれは通用しない。ああいうのこそダブルスタンダードと言う。許せないものは許せない、黒は黒、批判するべきものは批判するべき。

万博に使う金はあるのに

news.yahoo.co.jp

(記事題|万博、国の負担さらに837億円 総額3187億円、野党批判)

 ついでに書くが大阪万博もなかなかに酷いことになっている。会場整備費として当初、国会で答弁があったのは2,350億円。これに関して岸田総理は「さらなる増額を認めるつもりはない」と答弁していたが、後からその2,350億円とは別にパビリオン「日本館」の建設費用、途上国の出展支援で837億円がかかる事が判明し、実態を誤魔化した答弁であると追及を受けている。

 1億2億ならまだ全体からし誤差と言えるかも知れないが、837億円は誤差と呼ぶには難しい。経済効果が2兆円と見込まれる中では単純な損得勘定においては得の部類なのだろうが、あまりにどんぶり勘定が過ぎないか。途上国の出展支援がまだ不確定要素を含んでいたとしても、少なくとも日本のパビリオン出展費用はおおよそ分かっていたはずである。

 一方で国立科学博物館が運営資金難でクラウドファンディングを実施し、9億円超を集めたのは記憶に新しい。東京芸術大学が同じく資金難でピアノを売りに出したのも記憶にある。そうした部分にはなぜこの837億円のような公費が流れて行かない?やはり金の使い方がおかしいと思わざるを得ない。

 そうでなくとも東京五輪だのクールジャパンだのと分不相応で時代錯誤な利権のお祭り騒ぎにばかり金をかけ、以前から指摘されている保育士や教職の待遇の悪さなどは放置し、対応するにしてもろくな金額をかけて来なかった。それで今さら教職になれる条件の緩和、SNSで教職の魅力発信などで人手不足解消をだのと言っているのだから、お笑いにもならない。学術研究においても研究費が回って来ないので優秀な人材が海外へ流出し続けている。本当に万博だ五輪だに金をかけている場合か?そんなご身分か?

 必要な場所に投入される国費とはそれこそ桁違いの金を、汚い政治家が不当な利益を貪るお仲間のために動かしている。これが政治家のモラル低下で無くて何なのだ。一体誰のために、何のために政治をしている。少なくとも国民のためでも国のためでも無い。それが明らかであるから政治不信が生まれているのでは無いのか。

 そもそも万博を開催する意味はどこにあるのか。経済効果か?日本という国のブランディングか?跡地をIR、カジノ建設に利用するためだろう。大阪府だけでは整備しづらいし、参画する企業の負担も大きくなる。それが万国博覧会という国家的なイベントの力を借りればあら不思議、日本全国の税金の力を利用して大阪にカジノ建設のための"基礎"を整備できる。それも何の借りも作ること無く。どれだけ税金をムダにしようと無様な実態を晒そうと、「経済効果が2兆円」という甘々な試算でそれを正当化できる。つくづくバカバカしい。もはや高度経済成長期では無いのに、いつまで昔の景気が良かった頃を引き摺っているのか。

 経済効果にしてもあれをやれば経済効果、これをやれば経済効果と一時しのぎばかりで消費減税のような足元の経済政策はかたくなにせず、余計なところに余計な金を垂れ流しながら「宝くじで一発逆転を狙う貧乏人」のような真似をしていて何が経済効果か。そんなことより先にやるべき事があるだろう。

余談:減税メガネ

 同じくXで「減税メガネ」が話題だったので何かと思えば、辻元清美議員が岸田総理の政策について増税メガネの上に減税メガネで国民の望みが見えていない」と批判していた話だった。ただ「増税メガネ」だの「減税メガネ」だのと言った少々品性に欠ける言葉を国会答弁でつかうのはいかがなものか。分かりやすさ重視のパフォーマンスといった感じではあるが、ただでさえ程度の低い国会の”議論”がさらにチープな茶番に感じられて嫌になった。そういう言葉は私的な会話に留めるべきではないか。これもまさしくモラルの低下といったところか。

 次の選挙、意地でも自民公明以外に入れてやる