中国からの嫌がらせ問題
中国からの嫌がらせが止まらない。輸入禁止措置に始まり、中国人からはSNSなどの再生数稼ぎがてらの嫌がらせの電話が相次いでいる。くまのプーさんの曲を流せば当局の検閲に引っかかって相手の電話が止められる、などといった面白い話も耳にするが真偽は不明*1。うまくやれば相応の反撃は出来るのかも知れない。
処理水放出に対するそうした動きに、単なる嫌がらせ以上の嫌な感じを覚える。習近平は利用できるものはうまく利用して反日感情を高め、いずれ彼が起こすであろう戦争に国民の支持を取り付けようとしているように思う。中国にとっては福島から出る処理水問題は利用しない手は無いだろう。
一方で会社の同僚の中国人に聞くと、9月2日が中国での対日戦勝記念日なので、それに向かって国民の気分を盛り上げているのだろうという事だった。未だに先の大戦で中国に負けたという感覚は理解しがたいが、踏みにじられた自尊心を取り戻すためにはそう思うしか無いのだろう。
ウクライナ戦争を見て中国はどう動くか
ウクライナ戦争を見て中国は戦争の愚かさを理解し、武力行使への路線を変えるだろう、というのはあまりに希望的観測が過ぎると思う。合理的に考えれば戦争なんかしないのが一番だが、人間は合理性だけでは動かない。これまで戦争を起こしてきた独裁者たちにはそんなもの関係無かった。
むしろ中国、習近平の立場からして見れば、ウクライナとロシアが戦争を続けている今こそ欧米がウクライナへの支援にリソースを集中させており、アジアでひと騒ぎ起こすにはチャンスに見える。特に弾薬は不足しつつあり、アメリカが非難を浴びながらもクラスター弾の供与に踏み切ったのは、アメリカ軍自体に対する弾薬の供給がウクライナ支援で圧迫されつつある実情がある。
加えて台湾侵攻に際して地理的に欧米や日本が出来る/出来そうなことはかなり限られているし、同時に尖閣諸島へ侵攻されれば日本は台湾支援どころでは無くなる。そも日本も台湾も、白人国家でも無ければキリスト教圏でも無い。欧米はウクライナほど熱心な支援をしてはくれないだろう。
欧米がウクライナ支援に使えるリソースを使い切ったと見られた時、こちらが一番危ないのではないだろうか。
サイドワインダー供与
アメリカはウクライナに対して空対空ミサイル、サイドワインダーの供与を決定した。これに関する各社報道の記事見出しが「米、超音速ミサイル『サイドワインダー』供与 ウクライナの防空能力向上へ」なのだが、空対空ミサイルって基本的に超音速じゃないんですかね?でなきゃどうやって超音速で飛行する戦闘機に追いつくんですか?記事の最後に(共同)としか書いてないのでワシントン・ポストなどとの共同っぽいが、わざわざ”超音速”ミサイルと書く意図がよく分からない。
逆に亜音速*2で飛翔するミサイルには、主にトマホーク巡航ミサイルや最近、日本がアメリカから購入することが決まったAGM-158 JASSMなどの弾道ミサイルではない長射程ミサイルがある。速度を犠牲にして射程を稼ぐか、射程を犠牲にして速度を稼ぐか。
極超音速(マッハ5以上)で飛翔するミサイルとなると今、世界各国がこぞって開発競争をしている極超音速巡航ミサイル、あるいは弾道ミサイルの弾頭あたりか。
そのほかのミサイルは大体超音速で飛翔する。ヘルファイア対戦車ミサイルも、一見のろそうに見えるAGM-148 ジャベリンもマッハ1+程度で飛翔する。
記事からは読み取れないが供与されるサイドワインダーはAIM-9Mのようで、最新型のAIM-9Xに比してそれこそ型落ちのようだが、費用対効果やウクライナ軍での運用を考えればそれくらいがベストなのだろう。トマホークミサイルと同じく一口に「サイドワインダーミサイル」と言っても、世代によってかなり性能は違う。Aから始まってXまであるという事は少なくとも23回アップグレードされているという事であり、実際AIM-9Mの生産開始は1981年。AIM-9Xの生産開始は1999年とここだけ見ても実に20年近い差がある。
サイドワインダー1A、つまり初代サイドワインダーミサイルの製造にいたっては1957年開始であり、「サイドワインダー」とだけ書かれても型番まで書いてくれなければ一体どんなレベルの兵器なのかは見えて来ない。AIM-9Xに至ってはXの中でもブロックI、ブロックIIで違いがある。
型番は大事だよ