ヤマネコ目線

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ブルーライトカットメガネに意味が無かった話

 ブルーライトカットメガネに効果が無いという研究結果が話題だった。

news.yahoo.co.jp

普通に考えれば?分かる話

 ブルーライト=青い光が眼の疲れの原因になるので、青い光をカットするようなメガネを作れば長時間液晶を見続けても疲れづらくなるのでは?というのが人々がブルーライトカットメガネを求めた理由だが、この論理には穴がある。

 まず人間の網膜にある光を感じ取るための細胞、その中で光の三原色()に対応する錐体細胞の割合は、赤が約60%、緑が約30%、青が約10%と、青色を感じる細胞の数が一番少ない。細胞の動き自体がどこまで眼精疲労と関連するかは分からないが、少なくとも認識するしないの点においては赤、緑の方が影響は上なはず。

 そして人間の目玉、水晶体を透過する光はが一番多い。専門的な言い方をすれば水晶体の吸収スペクトル(どの光をどれだけ吸収するか)において、緑が一番吸収されづらい=一番網膜まで届きやすい

 ここまで来るともうブルーだレッドだグリーンだと言ってるのがバカバカしいというか、まんべんなく浴びる光を少なくする=モニターの輝度を落とせば良いじゃんという結論になる。ブルーライトカットメガネなんか必要無い。

サンプル

 上の画像を見てもらうと何となくそれぞれの色に対する見え方が分かるかも知れない。理論的に赤が一番高精細に見える筈だが、黒背景だとイマイチ見づらい。緑が一番見やすい感じが分かるだろうか。逆に青は一番見えづらい。同じ黒背景でも赤よりは少し見えづらい筈。

 なお、それでもあまり違いが無いように見えるのは網膜細胞が2種類あるため。1つは色彩を区別するための細胞、もう1つが明暗を区別するための細胞。青を感じる細胞が10%しかなくても、他の色とほぼ同じように明暗差で文字が認識できると思われる。色覚異常では特定の色が見えなくなる訳ではなく、グレーに見える。

そもそもの話として

 ブルーライト、青い光が悪者にされた理屈は「眼に見える光の中で青い光の波長が短い=エネルギーが高いから」、といったようなものだろうが、よくある「Wi-Fiで脳が電子レンジされる」みたいな話と似たようなものを感じる。光(電磁波)のエネルギーの大きさは波長だけで決まる訳では無い。密度や距離、伝播する媒質の透過性などによっても違ってくる。液晶ディスプレイなどの光の強度において色の違いだけで一体どれだけの差が出ると言うのか。

 また、眼の疲れの原因として考えられているものには

  • 液晶ディスプレイのバックライトLEDの点滅
  • 近くの液晶画面に眼の焦点を合わせ続ける姿勢
  • 作業環境の照明
  • まばたきの減少などによる眼の乾燥
  • 適切な休憩の不足

などがある。こういった要素の方が疲労に対する影響は大きいのではないだろうか。特に姿勢、眼の乾燥、休憩を適切にケア出来ている人はどれだけいるか。逆にブルーライトをカットすればこうした点は気にしなくても良いと思ってはいまいか?プラシーボ効果で多少は効果があるかも知れないがブルーライトカットだけして安心し、他の要素に対するケアを怠るのは良く無い。特に適切な休憩は不足しがち。

 青い光は覚醒作用があるという研究もあるが、それを言い出すとやはり全体的に浴びる光の量も気にした方が良いし、手先を動かす/動かさないという点でも違いは出るだろう。極端な話、青い光が出なくても寝る前にゲームなんかやっていれば寝付きは悪いだろうし、光の色以外の要素をまず気にかけるべき。

液晶外しのすすめ

 スマホやらパソコンでやる趣味やらゲームやらで、現代人は液晶画面から逃れられないようになっている。眼の疲労を和らげるためには意図してそうした行動を避けなければならない。散歩するでも良し、紙でマンガや本を読むのも良し。週のうち決まった曜日と時間はそうした趣味に打ち込むのも良いかも知れない。今の時期は暑いので体を動かす気にはなれないから、私はプラモデルでも組もうかと思う。