ヤマネコ目線

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なぜ女性はカルトにハマりやすいか

 高市早苗氏の言動に関してはどこかもはや宗教みたいだな、と思っているが、そう言えば私の母も妙なローカル宗教にハマっており、そこに来ている人も大抵が中高年の女性だったなと昨日、思い返していた。

 嫌だったのにそういう集会によく連れて行かれたものである。現在は関係を完全に断てたので良かったが、ローカルなものでさえ本当に嫌だったのに、旧統一教会その他の大きい宗教における宗教二世の苦痛は察するに余りある。

 何にせよ、新興宗教に”ハマる”のは多くが女性であるというのが私の経験則。そういう集会に来ているのは9割が女性であり、男性はどちらかと言えば奥さんに無理やり付き合わされている、あるいは子どもで無理やり連れてこられている、というのが多い。それは一体なぜなのか考察してみたい。

不安とケア・分担の不足

 女性は結婚、出産、子育てをする中で仕事を辞めざるを得なかったり、産後鬱やさまざまな不安に晒される。「男は仕事で女は家庭」という状況であれば女性はほぼ一人で子育てに向き合うこととなり、社会的なプレッシャーや孤独感を覚えることも多いだろう。

 そこで新興宗教は共同体として女性に居場所を与え、社会的な結びつきやサポートを提供し、時にはリーダーシップも求めて女性に子育てとは別の、母としてではなく一人の人間としての生きがいや目標も与える。

 そのように、女性に対してであれば新興宗教が容易につけ入る隙がある。良く言えば心理的なニーズに応えているとも言える。

 この点、女性が抱く孤独感や社会的プレッシャーをきちんとケア、分担してこなかった男性にも非があると言えるだろう。今でこそ男性の育休がどうのという社会になりつつあるがそれもつい最近の話であって、義務化されている訳でもない。多くの企業、家庭はまだまだ女性に”母”としての重圧を押し付けている。それを分担あるいはケア出来なければ、新興宗教に"ハマる"リスクは大きくなる。何も女性に限らず、男でも同様の状態であればそれは変わり無いだろう。

 女性は女性でそうした「どこにつけ入られるか」をよくよく自覚し、付き合う相手を選ばなければならない。しかし心理的に弱っている状態ではそうした判断が正しく出来る保障はなく、どのみち身近な人間によるケアは必要。

惹かれる要素

 新興宗教に限らず、スピリチュアルなどといったものに惹かれる女性は多い。自己啓発、内的な幸福感の追求のためにはそうした要素が魅力的に見えるのだろう。あるいは自分が生きる目的の追求や自己探求の手段として、そういったものに傾倒することもある。

 私はそうしたものに欠片も興味が無いので理解し切ることは難しいが、占いを信じたり運命、神といったものを信じる人間には次のような要素があるのではと思う。

  • 将来に強い不安を感じている
  • 自分の思うような人生がまったく実現できていない
  • 知識や情報への欲求が強い

 まず1つめは前の節で書いたことに通じる。将来への強い不安からは少しでも将来のことが予測できればそれに対処しやすいのでは?という欲求が生じる。古来より行われてきた占いの根底はそこにある。強い不安を和らげるために、占いや神事によって未来の出来事を予測あるいは変えようとするのである。当たるか当たらないか、変えられるかどうかは本来の目的では無いので、占いが外れようが願いが潰えようが人は信じることをやめない。ある種の防御反応とも見れるかも知れない。

 2つめもまた似たようなものだが、自分自身の人生を思うように制御することはとても難しい。その中で人は何とか思うようにならないかなと考えるのが常であり、そのための手段として超自然的なものに頼る(頼ろうとする、願う)。これは軽い程度であれば一般的にもよく行われており、神社に参って願い事をする、七夕に短冊に願い事を書く、流れ星を見たら願い事を言う、くらいであれば誰しもやった事はあるだろう。そうした流れが前述した不安と相まってエスカレートすればカルト、新興宗教にハマる可能性は高くなる。

 3つ目はもともとの素養として、こういう欲求が強い人ほど新興宗教にハマりやすいのでないかと思う。「この世にはまだ未知の領域がある」と思いたいがゆえに超自然的なもの、オカルト的なものに惹かれる。また、陰謀論者と同じで「自分は多くの人々が知らないことを知っている」、という優越感に浸りたい側面もあるだろう。

 いずれも男女関係ない要素だとは思うが、前述したように結婚、出産、育児といったイベントがあって不安を抱えやすい、社会とのつながりが薄れてしまう、自分の人生(あるいは子どもの人生)を思うように制御したい、と考えている女性には特に当てはまりそうに思う。

 重ねて書くが男性でも同様の素質ある者は新興宗教にハマりやすいと考えられる。ただ個人的に見て来た中では精神的な方向性の違いからか、宗教にハマる人はそこまで多くない印象を受ける。偏見だが男性は絶望した時、「男性像」に阻まれて弱さを外に出すことが出来ず内向きのまま自滅していくのに対し、女性は外向きに弱さを出して活動できる。その辺りの違いもあるのではないか。

宗教以外にハマるパターン

 高市早苗氏を見ていると、宗教というよりは政治思想およびそれを反映する団体にハマったパターンだろうな、というのを感じた。根底には神道を基調とする団体との関わりもあるかも知れないが、政治的な活動もこれまで述べてきたような要素の代わりとなり得る。

 たとえば共産主義共産党関連団体はある意味で宗教とも取れるし、高市氏や杉田水脈氏のような女性が所属する団体は「古き良き日本」を信奉している。いずれにせよ社会との関わり、自分たちの力で社会を変えたい、それを通じて自分の人生も変えたいといった欲求が誤った方向で暴走しているように思う。

最後に

 親が親なので個人的には完全にアンチ宗教になっているが、それはそれとしてここまで述べたように女性が宗教にハマりやすい原因は、女性を取り巻く環境や配偶者にもあると考えている。また、宗教=カルトではなく、本当に善意から人のためになる宗教もあるとは理解している。

 怪しい宗教につけ入られないためには社会が、配偶者その他家族が男女を問わず適切なケアをし、カルトに関わらなくとも済むような精神状態を維持しなければならないだろう。でなければ、安倍元総理暗殺事件のような悲劇がいつかまた起こる。