ヤマネコ目線

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責任転嫁太郎

 河野太郎氏がマイナンバー制度に関して愚痴をこぼしたと報道されている。いわく「マイナンバー制度は民主党政権がつくった制度。『おまえが始めたんだろ』と言い返したくもなる」と。ほーん。

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バカを言うな

 自民党が政権を奪還し、第二次安倍政権が発足したのが2012年12月26日。ほぼ2013年とすると政権交代から今年でほぼ10年を過ぎた一体その10年の間に何をして来たのか。今さら制度そのものの是非について文句を言うくらいなら政権奪還の段階で中止すべきであったし、民主党政権を含めればそこから実に10年以上経ってなお不祥事が相次ぐザマ。

 結局のところ、「悪夢の民主党政権」に体よく責任転嫁できるからとズルズルと自分たちに都合の良い形でマイナンバー制度の普及を推し進め続けて来たのだろうが。それも先の記事に書いたように、地方公共団体情報システム機構*1への官僚の天下り、癒着した企業への利益供与とそこからの献金というろくでもない循環を形成して税金をムダにし続け、実際には費用に対して本当にいい加減なものしか作って来なかった。それが現在噴出している様々な不祥事に繋がっているのだろう。今さら何が「民主党が始めたこと」ふざけるな。

 一応、マイナンバー事業の裏側すべてに河野氏が関わって来た訳でも無い以上、その全責任を氏が負うべきとも、それが解決になるとも思わない。根本的に行政が腐っているので、いくら頭をすげ替えようが腐ったものは根本から取り除かない限りなくならない。が、本来ならそれを正すのが上に立った者の責任である筈だが、河野氏はそれをせず、あまつさえ10年以上前の政権に責任転嫁することを選んだ。それがあまりに腹立たしい。間違っても総理大臣になどなるべき器ではない。普段の偉そうな口とは裏腹に、やっている事はその辺の無能と変わりない。

 河野氏の傲岸不遜な態度は今の自民党の政治家を象徴している。誰一人として責任が何たるかを理解も自覚もせず、ただ不祥事が起きれば「責任を重く受け止める」だの、「責任を感じている」だのと壊れたラジオのように繰り返す。いつから責任とは「受け止める」とか「感じる」とかするものになったのか。未だに安倍元総理がある種のカリスマ性でそうしたものを誤魔化して来た時代と同じ感覚でいるなら大間違いだ。

 思えば安倍元総理も生前、事あるごとに「悪夢の民主党政権」と口にしていた。確かに民主党政権は当時、中学生くらいだった私から見てもカスだった。悪夢だった。しかし、民主党が政権を握っていたのは2009年8月から2012年12月までの3年ちょい。私の記憶にあるだけでも、それ以外で政権与党を担って来たのは自民党であり、この国をずっと間違った方向へ導いてじわじわと衰退させ続けて来たのは他ならぬ自民党である。そうした事実を差し置いて何が悪夢か。だったらここ何十年は「地獄の自民党政権」ではないか。それが「悪夢の民主党政権」と言えば、2012年以前からの悪政はキレイに民主党へのトラウマで塗りつぶされるのだから凄いもんだな。わずか3年の間にずいぶんと深い傷を残されたものだ。

 ついでに言えば旧統一教会問題などを批判すると、自称保守が「いつまで言っているんだ」などと妙な擁護をする。民主党政権時代の不祥事をそれこそ10年経ってもなお、いつまでも叩き続ける自分たちの事は棚に上げて。他人のことを言えた質ではない。

権利の侵害

 もう1つ気になる報道があった。

リンク切れ対策:記事題:「通信の秘密の保護」に制限検討 サイバー攻撃への対処、政府が強化(朝日新聞デジタル

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 政府は「通信の秘密の保護」に制限をかけることを検討しているという。いわく「サイバー攻撃への対処能力を向上させるため」。政府はそういう大義を掲げて、また1つ国民の権利を侵害しようとしている。マイナンバーと同じで便利ですよ、メリットがありますよ、大義もありますよ、そう言いながら裏で国民を締め上げる準備をする。いつでも、どこの国でも悪い政府はそういうやり方をする。

 確かにサイバー攻撃への対処は必要かも知れないが、それが「通信の秘密の保護」を侵害しなければなし得ないことなのか。逆にそうした権利を侵害してどこまで対処能力が上がると言うのか。海外のサーバーを幾重にも経由しての攻撃が多々ある中で、国内の監視を強めても出来ることは限られるのでは。

 結局、アメリNSCがやっていたような大規模な盗聴と同じことをやりたいのだろう?その方が国民を統制するのに都合が良いから。やりやすいから。人々は最初、それを「まさしくテロを防ぐのに有効だ」と支持するかも知れない。しかしそうした権利の侵害は有事の際や将来、どのような悪い形で行使されるか分からない。大げさに聞こえるかも知れないが、私はこうした流れが情報統制への第一歩だと思う。少なくとも決して良い流れではない。

 緊急事態条項も同じ。政府はどんどん国民を嫌な形で統制する方向へと進んでいる。安全保障のため、災害対応のため、サイバー攻撃対処のため、そうした大義をかざし、憲法に明記された権利を侵害・制限しようとしている。

 緊急自体条項を制定したからと言って今すぐ岸田総理が独裁体制を敷くとまでは言わないが、そうした小さな積み重ねがいつか大きな災いとなって国民に降りかかることは予想できる。政治に関心を持ち続け、参政権を行使してそうした危険な芽を早めに摘んでおかなければならない。残念ながら今の日本国民には難しそうだが・・・。

余談:ドリル優子と不倫堕胎長官

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 このニュースもなかなかひどい。ドリル優子とは小渕優子氏を揶揄する言葉で、政治資金問題が取り沙汰された際、パソコンのハードディスクドライブをドリルで破壊して証拠隠滅を計ったとされることから。小渕氏の側は否定しているが、なかなかにタイミングの良い破壊発動である。そもそもPC捨てる時に自分でHDDに穴とか開けるか?

 それはともかく、そんな小渕氏を「日本の先頭に」とは笑わせる。結局どいつもこいつも責任は取らない、不都合な事実はバレなきゃセーフ、バレてもうまく誤魔化せばセーフ、それが出来る人材が自民党では”一流”なのだろう。そんなのが「日本の先頭に」とは、まさか総理大臣へ推そうとしているのだろうか。

 で、その小渕氏を推すというのが木原誠二官房副長官だが、木原氏はシングルマザーとの不倫と認知拒否が報道されている。こちらも弁護士が否定しているそうだが、「不都合は無かったことにすれば問題ない」のだろう。

 いやー、ほんと「美しい国」っすね。

 

*1:住基ネットを維持管理していた機構が新しくなった組織