ヤマネコ目線

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ChatGPTは思考力を低下させるか

 書き散らし。また文科省が馬鹿なことを言いだしたのでイライラする。いわく、ChatGPTで子どもの思考力が下がるのではないか、と。

news.yahoo.co.jp

(記事題:チャットGPT巡る学校向け指針、文科省が検討...「瞬時に作文」悪影響に懸念)

まーたはじまった

 何かデジャヴだなあと思ったら、私の世代で言えば「ゲーム脳」と同じようなものを感じる。昔から何か新しいものが出て来てはそれについて行けないだけのロートルが無用な心配をし、やれ「テレビばかり見ているとバカになる」だの、「ゲームで倫理観が欠如する」だの、「スマホばかり見ているとアホになる」だのと言って来た。今回もそれと同じものを感じる。

 まずそうした浅はかな考えで失敗を繰り返して来た文科省の連中に思考力がどうのと言われたくはない。今の子どもたちだってそう思う筈だ。子どもは大人が思うよりも色々と考えているし、バカげた大人の杞憂に対しては呆れすら感じているだろう。

作文課題は思考力を養うか

 特に問題視されているらしいのが作文機能。ChatGPTに頼ることで思考・作文能力が低下するのではという懸念があるらしい。が、学校の授業でいつでもChatGPTにアクセスできる環境ならまだしも、そうでは無いだろう。ChatGPTに頼ることが出来ない状況で作文をしなければならない状況は必ずある。テストなんかはまさにそうした場だ。そのためのトレーニングとして家庭で頼る可能性はあっても、ChatGPTによって作文力、およびそれに必要な思考力が「悪影響がある」と言われるほど低下するとは考えづらい。

 第一、物理的な作文だけが思考力を鍛える方法ではない。今の子どもは生まれた時からスマホSNSがある。情報の海を渡る術は嫌でも身につけざるを得ないし、その中で昔の人間とは異なる形で、次元の違う量の情報に触れながら思考を巡らせている。そこではもはや昔ながらの方法、鉛筆で原稿用紙につらつらと書きつづって行く方法では情報の出力が考える内容に追いつかない。むしろボトルネックにしかならないだろう。

 その点において、私は従来の作文が思考力の醸成に大きく貢献しているとはまったく思わない。今の子どもからすればただの足枷である。はてなブログを利用している我々ですら、もしブログをアナログでやれと言われれば苦痛でしかないだろう。言いたいことの半分もアウトプット出来ないのではないか。

 記事では読書感想文がChatGPTによって形骸化するのではというようなことが書かれているが、読書感想文こそまさしく思考力の無い大人によって惰性で残されているだけの足枷といっていい。読書感想文にかぎらず、今の子どもにとってはそうした速度の遅いアウトプットの作業は苦痛だろう。

 もちろん、手で文字を書くといった能力やあえて思考をスローダウンさせる事も時には必要だと思う。が、思考力の無さ、というよりは思考停止で旧来の教育手法にこだわり、それをいつまでも延命したいが故に新しいものへの危険性を喧伝し、子どもにそれを使わせまいとするのは愚かである。

 そもChatGPTの登場以前から今どきの子どもは塾で忙しく、そうした読書感想文だのといった何にもならないような課題は代行に任せる、親がやるといった問題があった。前々から教育手法としての有効性は死んでいる。

一度世に出たものを使わせまい、とする愚かさ

 ChatGPTに限らず、便利なものというのは一度世に出てしまえばその影響を排除することは難しい。ほぼ不可能といって差し支えない。今からスマホの無い世界に戻れるだろうか?パソコンは?インターネットは?クルマは?核兵器だってその1つだ。何事もゲームのチート対策のように、世界のルールとして実効的に不使用を強制することは出来ない。

 そこで必要なのは旧来の教育手法を延命することではなく、新しい環境に合わせた新しい課題の設定である。「Excelを使えばいいのに電卓を叩いての手計算にこだわる」ような真似はやめて、AIを活用しなければ乗り越えられないような課題設定が必要だ。

 特に議論なんかではChatGPTはかなり生きると思う。擬似的な議論をし、それによって事前に自分の意見を練っておけばそこで気付かされることもある。何ならChatGPTを使用した中高生の方が、国会議事堂で茶番を繰り広げている連中よりも中身のある議論が出来るのではないか。

その他、ChatGPTに関して問題とされる点について

 信頼性の問題(AIが嘘をつく可能性がある)は別にほかの検証方法が無い訳ではないし、AIがどこまで信用できるか分からないといった問題は子どもであっても触っているうちに気づく。後は情報リテラシーを教える教育側の問題。それでもどうにもならないバカは元からバカなので、AIうんぬんは関係ない。そも人間だって嘘をつく。相手がAIだろうが人間だろうが、情報の真偽を見抜く力はそうした嘘をつく存在にふれることで鍛えられる。

 個人情報の管理については親も気をつける必要がある。AIにうかつに個人情報を渡してはいけない。それもAIそのものではなく教育者側の課題であって、何もAIにかぎらずインターネットにおける基本である。世の中にはAIを信用し切って個人情報や秘匿すべき企業の情報などを入力している大人がいるらしいが、そうした問題は使う人間が悪いのであって、AIが悪い訳ではない。

 最近ほぼ毎回StableDiffusionのDemo版でサムネ画像を作っているが、いつの間にか出てくる画像サイズが少し大きくなっている。すげー