ヤマネコ目線

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なぜ海外がやると称賛して日本がやると批判するのか

 に対する反論。「出産を条件に奨学金の減免を行う提言」自民党調査会からあがり、Twitterで話題になっていた。おおむね批判的な意見が多数を占め、私も批判的な意見しか持ち合わせていないのだが、一部の人間から「ハンガリーでも同様の政策がされているのに、それは称賛して日本政府がやると批判するのは『批判したいだけ』ではないか」、との意見もあった。

誤認

 まずその意見には2つの誤認がある。そうした意見を述べていた人はテレビの画面らしき画像も一緒に貼っていたが、「テレビで称賛されている=日本人が称賛している」という訳ではない。テレビも称賛というよりは、単純に他国の取り組みの内容を紹介したに過ぎないだろう。それが1つ。

 そして彼らには、「世の中には何が何でも政府のやることに文句を付けたいだけの人間がいる」というバイアスがある。それを前述したように「ハンガリーの政策は称賛されていた。一方で国内で同様の政策をやろうとすると批判される」というロジックで補強している。確証バイアスである。もっとも、その手の人間*1がいることも否定はできないと思うが・・・今回に関しては違う。

称賛と批判

 それはそれとして、称賛を浴びた他国の政策を同様に日本で打ち出すと批判される、という事は確かにあるように思う。ただ、それもある種の誤認に基づいたものだろう。要は「隣の芝生は青い」だけ。

 日本に住んでいる人間としては、おおよそ日本国内のことはよく分かる。そこで政府与党が実情にそぐわない少子化対策を打ち出せば、日本に住んでいる人間から批判が起こってしかるべき。それは当然のこと。

 一方でハンガリーに対しては、あるいはその他の外国に対しては、その国が少子化対策としてどういった政策をとっているかは知れても内政の事情まで深く知り、それを加味して政策を正しく評価することは難しい。結果として政策によるメリットだけが目立ち、何となく良い政策をしている国に見えてしまう。

 人間、思っているよりも想像力は無いのでなかなか当事者にならないと分からない事は多い。日本国内においてですら、上の世代と下の世代で結婚や子育てに対する認識はかなりズレている。それが外国のこととなればどこまでズレるかは推して知るべし。

「出産を条件に~」の是非

 第一に結婚できる人からして減っているので、何度も書いているが「結婚して出産した後」を前提に少子化対策を考えること自体が周回遅れ。それでは効果は上がらない。「出産すれば」と言うが出産に至るまでの費用はどうやって捻出するのか。女子なら簡単かも知れないが、奨学金返済を背負っていても普通に結婚・出産できるレベルならもはや奨学金の減免うんぬんは関係ない。

 そして出産してからかかる費用を考えれば、負債がより大きな負債に置き換わるだけとも取ることが出来る。子どもを負債と言うことは憚られるが、お金が無いとはそういう事である。1人の人間を大人になるまで育てるのと、10年かけて奨学金を返済するのとではどちらが楽か。その辺りを厳密に天秤にかける若者にとっては、その程度の政策には魅力が無い。

 ごく個人的な感情論で言えば、奨学金という制度そのものが抱える問題を正面から解決することをせず、そこで生殖を絡めて「ほれほれ、ここまで来れば金をやるぞ」と金銭的な支援をチラつかせて人を動かそうとする根性が甚だ気に食わない。自民党のオッサン連中はパパ活感覚で少し金をちらつかせれば人が動くと思っているのか知らないが、世の中そう単純ではない。いつまでそういった小手先だけの政策で失敗を繰り返し続けるのか。

 若年層が結婚して子育てをしないのは経済的な要因であり、それを改善する方向に動かず、むしろ子ども予算倍増などと言って増税社会保険料増に動いている限りはいかなる政策も無意味。

 まず経済を良くしようという気は無いのか?上がってるのは物価だけ、インフレではなくスタグフレーションだぞ?

 公明党も妙な給付案を打ち出していたが、しょうもない給付する余裕があるなら減税をしろ減税を。「10万円渡して1,000円だけ返してもらう」みたいな話はもうたくさんだ。

 企業もいい迷惑である。可処分所得が増えないから相変わらず安くないとモノは売れない。しかし世界情勢をうけて原料価格が高騰し、値上げせざるを得ないので苦しい。それでも賃上げ要請があるので賃上げもしないといけない。消費者、企業が苦しむ中で、政府や政府が養殖している”シロアリ”企業が一番楽をしている。

 

*1:何をしようと批判したいだけの人間