ヤマネコ目線

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昆虫食は世界を救うか

 昆虫食、特にコオロギが注目を浴びている。昆虫食は食糧難を、人類を救えるのだろうか。

 まず最初に断っておくが、私は別にアンチ昆虫食な訳ではない。ただ昆虫食を異様に称賛しはじめた世の中の動きに違和感を覚えるだけである。

「昆虫食は食料難を救う」の虚像

 まず根本的な話から考えてみよう。世界人口の増加にともなって食料難が予想されることは事実である。そこで昆虫食が注目され始めている(という事にしたい)訳だが、人類は世界人口をどこかで抑制しなければならないという気がさらさら無い。いくら効率の良い食料を見つけ出しても、それをすぐに食いつぶす勢いで人間が増えつづける限りは食糧難を救うも何も、食糧難から逃れられる訳がない。

 それに人間、「昆虫さえ食べていれば生きていける」訳ではない。確かにタンパク質が他の動物よりも効率よく得られるかもしれない。が、それ以外の栄養素もバランス良く摂る必要がある。食料問題の解決策を昆虫食だけで考える訳にはいかない。いま話題のコオロギに関して言えば必須アミノ酸の含有量に偏りがある。タンパク質と一口に言っても、タンパク質であれば何でも良いという訳でもない。

それ以前に

 私は甲殻類アレルギーなので、コオロギを始め昆虫食はまず食べること自体にリスクがある。多数派ではないにせよ、そうしたリスクは気にしておくべき。

 それはそれとして実家が農家だった身として思うのは、一次産業を冷遇し続けて食料自給率を改善する気もなく、フードロスも政府としてどうにかする気もなく、増えつつある耕作放棄地、どんどんソーラーパネルに置き換わっていく農地をよそ目に今さら何をくだらない事をしているのか。正直、怒りさえ覚える。コオロギ養殖業者には認定農家として補助金が出るとかバカじゃねえの。そういうのにNTTだの何だのが群がって税金を食い物にする。どうせコオロギ推しは税金をシロアリ企業の利益に替えるための口実だろう。

 食料難に備えるのであれば、まず従来の一次産業へのテコ入れを行うべきだ。人手不足になっているのは単純に儲からないからで、それでも重要な産業であるからにはそれを保護するのが国の、政府の役割である。それを放棄しておいて何がコオロギだ。ハエの幼虫だ。政治家連中は「庶民はコオロギやウジ虫でも食べていろ」と言いたい訳だ。自分たちは食べたとしてもカメラの前でパフォーマンスのために1口2口、夜は高級料亭でお口なおし。結構なご身分だ。

コオロギの養殖はそこまで簡単でもない

 コオロギは確かに1kgのタンパク質を得るための飼料が少ない。だから効率が良いとされて今、持て囃されている訳だが(ハエの幼虫も同じく)、養殖自体はそこまで簡単でもない。特に湿度管理が重要になる。虫の呼吸器官はちょっとした結露でもすぐに詰まって窒息死するため、湿度を適度に保たなければすぐ全滅する。また、共食いもする。

 言ってみれば飼料が少ない分はそうした環境をつくり、維持するためのエネルギーとして別の形で環境負荷になっているに過ぎない。飼料の量だけみてSDGsとやらに繋がるなどとは浅はかが過ぎる。そんな過ちを人類はどれだけ繰り返して来たのか。残念ながら何も学んでいない。

 それも昆虫食をたしなむ人いわく、コオロギはそんなに美味しい訳でもないらしい。カミキリムシの幼虫の方が美味いとか。一部のメディアは「陸のエビ」などと言い出したらしいが、乾燥させないといけない時点でエビなんかに敵うわけがない。エビがぷりっぷり(らしい)のはおそらく海の中で頑張って泳がなければならないからで、コオロギは明らかにそこまで筋肉が発達していない。

 残念ながら、美味しいとされる昆虫食に関しては必要なエサの量がニワトリのそれと大差なかったりもする。じゃあニワトリ食べれば良くね?卵も産んでくれるし。オスのヒヨコなんかただ殺処分されてるだけだぞ。その辺もどうなんだよ。

 なお、一部で見かけた「コオロギは共食いするので毒が体内で濃縮される」という話は信憑性にかけるように思う。そうしたことが養殖で起こり得るのはもとから毒素を含んだエサを与えている場合、なおかつよほど多くのコオロギを1匹のコオロギが食べたりした場合。貝毒シガテラ毒のような現象が養殖で起こるとは考えづらい。

シロアリは以前から政府が養殖してるよな?あれはどう料理すべきか