ヤマネコ目線

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こども家庭庁、やっぱ要らなくね?

 書き散らし。こども家庭庁の小倉将信担当相の発言が反発を呼んでいる。いわく「子連れ客優先でJリーグ観戦を」だとか。アホか。

まだ発足してそんなに時間は経っていないが

 こども家庭庁の発足自体は今年4月1日なので、そこから3ヶ月ちょいと考えればそこまで大きなことを期待する方が間違っているのかも知れない。ただ、発足以前から予算をムダにするためだけのムダな役所であることは目に見えていた。上部組織は内閣府だが内閣府が何だ。思えば「教育で壁ドンを」などと抜かした研究会も内閣府所属である。何の期待ができようか。

 これまでに打ち出されている/こども家庭庁の管轄となっている政策は下記の通り。

  • 出産・子育て応援交付金
  • 産後ケア事業(産後母子に宿泊費、デイサービス等を提供)
  • 低所得妊婦への産科初回受診料補助
  • 施設への交付金による保育士の待遇改善(就学前教育・保育施設整備交付金)
  • 子連れ優先レーンの設置
  • 若者の子育て家庭への訪問
  • Jリーグの優先観戦

 出産・子育て応援交付金は伴走型支援、経済的支援が同時に受けられるサービスであり、要件を満たせば下記サイトの通り出産応援交付金5万円、子育て応援交付金5万円の計10万円が受け取れる。が、この事業の主体はあくまで地方自治であり、10万円の支給方法や対象(~年~月以降に産まれたか)は自治体によって異なる。こども家庭庁、要る?そもそも「子ども作ったら10万円あげる」と言われて「じゃあ子ども作ろう!」、となる人はどれだけ居るのか。

jichitai.works

 産後ケア事業に関しても実施主体は地方自治体であり、宿泊も長くて6泊7日程度。そもそもこの産後ケアが公表されたのは下記サイトの通り2017年8月であってこども家庭庁は欠片も関係無い。

tokuteikenshin-hokensidou.jp

 低所得妊婦への産科初回受診料補助も同様に実施主体は自治であり、なおかつ”初回”、当然だが領収証、診療明細書を保存しておいて後から手続きをする必要がある。対象となるのは少し調べた限りどの自治体も令和5年4月1日以降。初回の受診は良いとして出産にかかる費用はそれだけでは無い訳だが、どこまで効果があるか。実施主体が自治体ならこども家庭庁はやっぱり要らないのでは?

 また、参考までに下のような自治体のページを見ると分かるが住民税非課税"世帯"と記述されている。"低所得妊婦"ではなく世帯レベルで住民税が非課税な場合なのか・・・。調べた限り会社員+専業主婦/夫の2人、こども1人で住民税が非課税となる目安世帯年収205万円以下。は?そもそも子ども作れないか作れても事故レベルだろそれ。

www.city.chikugo.lg.jp

 また、就学前教育・保育施設整備交付金以前から同様の交付金がありこども家庭庁が打ち出したものでも何でも無い。こども家庭庁の管轄に入ったというそれだけの事で、特にこども家庭庁でやる必要は無かった。交付金自体の成立は平成27年(=2015年)であり約8年前である。

 子連れ優先レーンは公共施設に子連れ客が優先して入場できるようにする、という措置。確かに子連れは大変だろうが、こういう事をするとますます「子連れ様」と社会から反感を買うことになるし、子どもは”待つ”ということを覚えなくなるのではないか。これもあくまで実施主体は各公共施設であり、別にこども家庭庁という組織が必要とは思えない。他方この時代に子育てをするのは大変だろうし、この程度の優先ルールはあっても良いような気もする。

newsdig.tbs.co.jp

 若者が子育て家庭を訪問する、という話も挙がっており、小倉担当省が民間の事業現場を視察している。

news.yahoo.co.jp

 これはまだ実施されてはいないが上の記事を読めば分かる通り実施主体はあくまで各自治である。こども家庭庁は別に必要無いのでは。アイデア自体も民間事業の借り物に過ぎない。第一、子育て家庭を訪問などして一体何になると言うのか。このご時世にそんな余計な仕事を引き受けられるほど余裕がある子育て家庭は少ないだろうし、多くの若者はそのような余裕ある生活とは縁が遠い。結局、恵まれたご家庭を目の当たりにして自分自身の現実との格差に絶望するか、せいぜい元から何の不自由もなく結婚・子育てできるような人間が参加して「ああ大変ですね」、それで終わり。自分がやるのと他人がした話を聞くのとは全く違う。他人の経験談を聞いて自分も同様のことができるようになるか?

 そして冒頭で貼ったJリーグの優先観戦。何だ?小倉担当相は国民をおちょくっているのか?

news.yahoo.co.jp

news.biglobe.ne.jp

 批判を受けて小倉氏は「補助金は出さない」と弁明しているが、問題はそこではなく約5兆円もの予算を投じて作られたこども家庭庁から出てくる少子化対策が、これまで述べたような前々からあった政策へのタダ乗り・焼き直しか、少子化対策において屁の突っ張りにもならないような全く的外れのものばかりな点である。本当にこども家庭庁という旧統一教会くさい名前の組織に予算約5兆円をつけ、さらに今後数年間で”こども予算倍増”とやらで約10兆円もの予算をつける価値があるのか甚だ疑問だ。マイナンバー事業といい他のあらゆる政府の施策といい、あまりにコスパが悪過ぎないか。過去最高の税収は一体どういう使われ方をしているのか。

 政府はこども家庭庁を今すぐ解体して5兆円減税するなり防衛費に回すなりしろ。もともとあった政策の予算はマイナンバー事業でも潰してひねり出せ。国民と同レベルの支出を減らす努力をしろ

余談:大増税の根っこ

 ついには奨学金や遺族年金への課税などという話も出始めた増税の話だが、通勤手当や退職金など一連の増税ターゲットを岸田総理に進言しているのは政府税制調査会のようだ。

news.yahoo.co.jp

 政府税制調査会自民党税制調査会とは別で、内閣府の諮問機関である。自民党の税調と区別するために”政府”税調と呼ばれる。ではその政府税調を構成するメンバーはどういった面々か。公式ページに名簿のPDFが載っている。

https://www.cao.go.jp/zei-cho/konkyo/doc/meibo.pdf

 ざっと見た感じ、名だたる大学から民間企業まで幅広いメンバーで構成されている。こうした面々からこうも愚かしい増税ターゲットが発信されているとはなかなかだが、まず自民党増税ありきでこうした機関に議論を投げているからそのような結論が出されている、とも考えられる。

 一部では岸田総理ばかりを非難する声も聞かれるが、安倍政権、菅政権と来て今があり、それまでも「悪夢の民主党政権」を挟んだものの、基本的に自民党の失政によって今の日本がある。根本から変えない限りは何も良くならないだろう。まず自民党を政権与党から引きずり降ろし、増税ありきの潮流を、議論を中断させなければならない。