ヤマネコ目線

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成田悠輔はテレビに出す価値が無い

 書き散らし。NHKで成田悠輔(「高齢者は集団自決すべき」と発言した人物)が出演しており、心底うんざりした。

成田悠輔のような人間の本質

 まず最初に氏のような「過激なそれっぽい事を言って注目を集める者」の本質に触れたい。と言っても大抵の人間は見透かしているのだが、結局ああいった人間は過激かつ、注目を集められるような言葉をあえて発して、それによって仕事を得ることが目的で活動している。言ってしまえば、自分の利益になるならその内容の是非はどうでも良いのである。

 それを自覚しているしていないに関わらず、そこには何ら中身らしいものは無い。ただ「それっぽい言葉」があるだけ。ブランド品と同じで、それをありがたがる人間がいるのでそれっぽいものを売っている。

 「優生学」の観点から批判が強いが、当の本人はそうした歴史上の教訓などアタマの片隅にも無い。ただ無知な人間が無知な人間にウケやすい発言をしているだけである。それを称賛し、迎合し、もてはやして仕事を与えるから余計に調子に乗るのであって、NHKが氏を出演させた事は本当に残念というか情けない。本来なら「集団自決」発言だけでも出演にNGを出すべきであるところ、公共放送としてのレベルが低過ぎる。民放も同様。公共の電波を使う以上、「表現の自由」や「多様な意見」で許容して良いレベルには限度がある。

 養老孟司氏は成田氏について「問題にする気も起きない」とコメントしているがそれもそうで、あまりに愚かしい人間は本来であれば全員で無視するに限る。

「高齢者は集団自決すべき」の是非

 成田氏の発言からもろに影響を受けた高校生が「(社会システムとして)高齢者を排除するにはどうしたらいいか」といった質問をしたらしいが、本当に背筋が寒くなる。そうした考えの浅い人間には、いきなり「優生学」の話を持ち出しても理解が難しいかもしれない。

 彼らは「今、この時点で上の世代が邪魔に感じるから」老人を社会的に排除するシステムが肯定されてしかるべきだと考えている。そこに「人間はどんどん入れ替わっていくが、社会システムは残り続ける」という長期的な見方は無い。実に浅はかな思考回路であり、高校生でもその程度のモノの見方しか出来ないのは些か残念に思う。

 まずもって人間は老いる。先の発言をした高校生だって老いていく。それが本人からすれば実感しづらい事であれ、考えづらいほど遠い先のことであれその事実は変わらない。そうして老いた時、社会から強制的に、自動的に、機械的に排除される(=殺される)ことを良しとするのか。して良いのか。

 人間に対してそうした扱いをすることが倫理的に許されるのかと言えば、答えはNOに決まっている。憲法生存権が明記されていることを忘れたのだろうか。それ以前に善悪、道徳的な観点が抜け落ち過ぎではないか。あの高校生が頭に思い浮かべた「排除して良い老人」とは誰か分からないが、自分自身の祖父母に対してでもそう言えるのだろうか。

 そうしたシステムが実現するとすれば、皮肉なことに件の高校生がちょうど老いた時期かもしれない。どう足掻いたって、今いる老人方なんか悠々自適に死んでいく。政治家連中がもろその世代なので、自分で自分たちを排除などしようとする筈がない。Z世代はむしろ自分たちが老いた時にもまだこの国があるかどうかを案じるべきだ。

優生学」の観点から

 厳密に言えば優生学「的な」観点からだが、とにかく「命に優劣を付ける」行為はそう簡単にするべき行為ではない。特に「誰を排除すべきか」という思想が付いて来る時は。

 なぜか。一度それを許してしまえばその対象が拡大しかねないからだ。まず「高齢者は集団自決すべき」と言う理由は何か。社会全体にとって負担になっているからだろう。そうした論理は裏を返せば、「社会にとって負担になる=利益の無い(薄い)人間は排除して良い」という考え方といえる。

 となれば、高齢者だけでなく「障がい者も社会のお荷物だから排除されてしかるべき」、といった論理も許容されるかもしれない。ナチスドイツが優生学にもとづいて行ったのは、まさに障がい者の排除だった訳だが。もし成田氏の発言が最初から「障がい者は社会のお荷物なので集団自決すべき」だったらどうなったか。NHKは出演を許しただろうか。単純な損得勘定から生命に優劣をつけ、劣っていると認定した者を排除しようという点で氏の発言はナチスドイツのそれと本質的になんら変わり無いのだが。

 そうした行為は都合よくどこかで収まったりはしない。ひとたび邪魔者を排除する論調が許容されれば、また次の敵を見つけ出して排除し、また次の敵を排除しとエスカレートすることになる。障がい者の次は鬱病患者だろうか。生活保護世帯だろうか。年収~万円以下だろうか。上に歯向かうのは苦手なくせに同じ日本国民同士で足を引っ張り合うのは大好きな国民性からして、最終的にろくな事にはならないのが目に見える。

 だからこそ、成田悠輔の発言は許してはならない。氏の発言に肯定的な人間には、それが誤りであることを教えなければならない。残念ながら本当に人間は歴史に学ばないのだなあ、と思う。

あなたは社会のお荷物でないという自信はありますか?

私は無い