ヤマネコ目線

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外国人生活保護について

 Twitter日系ブラジル人女性が生活保護に関する虚偽の説明をされて受給を拒絶され、そこから一転して受給決定がされたことが話題であった。それに関して。

news.yahoo.co.jp

永住者・定住者ならば受給資格はある

 Twitterでは「外国人に対する生活保護」という側面だけが注目され、それに対する批判的な意見が多く見られた。しかし外国人でも永住者あるいは定住者であれば生活保護の対象であるし、このニュースで一番悪いのは虚偽の、それも脅しも含んだような内容の情報を教え、自身の職務を放棄して「国に帰れば良い」などと言ってのけた安城市役所の職員である。

 「無免許運転で逮捕された」というのはこの女性ではなくその夫であり、そもそも生活保護受給の可否とそれは本質的には無関係。「犯罪者は国に帰れ」と言っている人間はまず日本語の読解力をつけるべき。

 なお、興味深いことに「外国人であっても永住者/定住者であれば生活保護の対象となる」との答弁書閣議決定したのは安倍晋三内閣*1。外国人が大嫌いで何かとヘイト誘導しようとする、あるいはそれに乗せられる右翼の大好きな安倍晋三元総理大臣の下で、そうした決定がなされていた訳だ。それでも彼らは安倍派の政治家を支持し続けるのだろうが。

外国人に対する生活保護の是非

 「日本に来てすぐに外国籍のまま生活保護申請を受給すること」は認められるべきではないと思う。*2こういう事を最初に書いておかないとすぐ揚げ足取りが湧くので最初に書いておく。中には日本人でさえ生活保護を拒否され、追い返される人がいる中で外国人に対する生活保護を出すという事に抵抗がある、という気持ちも十分に理解できる。2007年には生活保護を打ち切られたタクシー運転手の男性が餓死した事件があった。

 しかしながら、外国人であっても定住者あるいは永住者となった者に関しては、感情論はひとまず置いてその権利を認めざるを得ない面はあるだろう。現状、定住者/永住者となる条件はそこまで甘いものではない。定住者の条件はざっくり書けば(参考)

  • 日本人との間に子供のいる外国人
  • 日本人と結婚して配偶者としての在留資格を得たが、その後離婚あるいは死別して在留期間の更新が難しい外国人
  • 難民等
  • 連れ子/連れ親
  • 特別養子の離縁者
  • 棄児

 難民に関しては本来は難民申請の範疇であり、定住者として認められるかはケース・バイ・ケース。連れ子/連れ親も無条件で認められる訳はなく、その下2つも同様に厳しい。永住者に関しては(参考)を見た方が早いので割愛するが、いずれも極端に甘い条件という訳でもない。

 そうして日本に在留し、時として就労し収入なりの納税もしている以上、外国人であっても人間である以上、彼らの権利をいつまでも何1つ認めないと言うのはこの国の在り方として無理がある。特に生活保護法は生存権に基づいた法律・制度であり、外国籍のままであっても人間の生存の権利を認めないというのは難しい。就労もその意思も一切なく、入国直後から生活保護を申請というような者であれば確かに「国に帰れ」と言いたくなるが、そうでない場合は外国人というだけで人権を軽視する姿勢は認められない。

反発の根底

 一部の人間からは「外国人と日本人を決定的に隔てよう」という意思、ある種の選民思想さえ感じられるが、彼らが支持している自民党少子化を加速させて日本人をどんどん減らし、代わりに技能実習だ特定技能だと外国人を入れ、「留学生は日本の宝」だとか抜かし、「海外の優秀な人材を確保しよう」などと言っている以上、これからも国内に彼らの大嫌いな外国人は増え続ける。長期的に在留して永住者あるいは定住者となる外国人も増え続ける。母数が増えるということは当然、生活保護を受ける人数も増えて来る。それでも彼らは自民党を支持し続けると思われるが、一体どこまで行けば気づくのだろうか。自民党が彼らの言う「売国奴」と何ら変わりないことに。

 中身も軸も考える力もなく日本人というアイデンティティに縋りつき、外国人やLGBTといった者に対するヘイトを露わにすることでしか自尊心を満たせないのなら、悲しいことである。それでは視野も考えも狭すぎる。

 悪いのは外国人ではなく、日本人を減らして外国人をどんどん入れている政府与党ではないか。外国人実習生(特にベトナム人)だって最初から犯罪をしようとこの国に来ている訳ではない。お金を稼ぎたいから来ているのに、この国の労働環境があまりに待遇も悪くお金も稼げないから犯罪に走る者が多いのではないか。この国の社会がどうしようもなく歪んでしまっているから、あらゆる所でいびつな事象が発生しているのではないか。その元凶をどうにかして行かなければ何も変わらない。

外国人参政権について

 私はこれを認めるべきではないとずっと考えているが、先に述べたように日本に入ってくる外国人の数が増えるほど、在留期間が長くなるほどそれを認めないことは難しくなるだろう。今はまだ難しくともこれから今のままのペースで日本人が減り続ける一方、安い労働力として外国人を入れ続け、外国人の在留期間が長くなればなるほど、生活保護同様に彼らの権利を認めざるを得なくなる。それが「今すぐ認めるべき」という一部政党の意見は極端にしても、今のままの政治でもいずれは認めざるを得なくなる。

 特に在留期間だけでなくその数が増えて来ている点は重要で、日本人の数がどんどん減る一方、技能実習生だけでもその数はかなりのペースで増えている。日本にずっと居る、日本人と結婚するという人間も増えている。というか私自身がそういう実例を知っている。

 と言うことは、まだまだ時間はかかるだろうがいずれこの国の人口の半数が外国人(あるいはその子ども)となっても何ら不思議ではない。今の若年層は男女とも貧しいので、国際結婚も増えるだろう。一部の人間が大好きな純日本人は減っていく一方になる。大げさと思われるかも知れないが、先を見据えるとすればそうしたレベルまで考えなければならない。特に何事も転がり落ちる時はあっという間。

 そこでどこまで外国人の参政権を認めないことが許されるだろうか。外国籍のままでは不可能としても(私としてもそこは揺るがないで欲しい)、外国人の政治に対する発言力は強くなる。それは何も投票権、被選挙権という形にとらわれない。日本人はあまり意識しないが、民主主義というのは人民みずからがあらゆる形で社会を動かすという事である。デモでも不買運動でも何でも、社会を変えたければ国民自身が動かなければならない。その国民の半数あるいはそれ以上が外国人になったら?

 どこまでを「国民」と認めるかという話は置いて、国の人口を占める割合で外国人の数が増えれば増えるほど、その意思も比例して大きくなる。特に外国人は日本人ほどの遠慮深さ、帝國臣民らしい我慢強さも持ち合わせていない。日本人が本来主張するべき権利を主張しないのに対し、彼らはキッチリ主張すべき権利を主張して来る。そのための行動もしっかりする。そうなれば誰が彼らを止められると言うのか。特に社会の根底*3外国人労働者にどんどん置き換えているこの国が、いざ彼らが動いた時にどういった理屈をもって彼らを無視できるのか。いいや、できない。

結局、日本人としては何をすれば良いのか

 このままでは少子化という面でも、外国人が増えすぎるという面でも日本というアイデンティティは滅んでいく。それを止めるには我々国民がここ数十年成果をあげられていない自民党をクビにし、少しずつでも過去のトラウマを克服しながら政治を変えていくしかない。もっと経済というエンジンを回し、社会に経済的な豊かさをもたらさなければ待っているのはゆるやかな死である。

 前々から書いているがいよいよコロナも一段落、これから経済を回そうという時に、それも物価高騰で庶民が苦しんでいる中でたとえ防衛のためであっても増税の話が出るような政府は最悪。お話にならない。外国人うんぬん以前にまずもって政府与党が一番の「国民の敵」。それを倒すことから始めるべきだろう。

消去法で自民党しか選択肢がない?それで選んで来た結果がこれだよ

 

*1:記事中段参照

*2:難民などの特別な事情は除く

*3:第一次産業など