私はNECアンチ(というかパソコンに関しては国内家電メーカー大体アンチ)なので、最近見かけた「NECがゲーミングPCに参入する」件をネタにする。
スペックに対してやはり割高
NECに限らず国内家電メーカーのPCはいずれも本体価格が割高になっている。同じ日本企業でもBTOメーカーではそんなに高くなかったりするので、純粋に家電メーカーの製品自体が(筐体デザインや品質などで差別化があるにせよ)高い。
今回ネタにするNECのゲーミングPCも例にもれずそうなのだが、うだうだ言う前にスペックと値段を見てみよう。因みにNECの発表プレゼン画面の写真も確認したが、国内家電メーカーのいつもの手でメモリ速度は記載がなかった。メモリクロックくらい書けや！
よくもこの価格でグラフィックボードをGeForce RTX3060 or Radeon RX6400にしてくれたよね、というのがまず第一の感想。これだけ見て概ね察する事が出来る人はまずこの記事を読む必要がないのでアクセスありがとうございました。としてこれから先はこれに騙されそうな人向けに書いていく。
グラフィックボードは簡単に言えばゲームをやる上で(ほぼ)一番重要な部品であって、それの性能が低ければまず快適なゲームプレイが難しい。なのでゲーミングPCを買うにあたっては、まず自分がやりたいゲームが要求するのはどのレベルのグラフィックボードなのかを確認する。もちろんグラフィックボードだけが高性能でも意味がないのでCPUの性能も気にするべきではあるが、より支配的なのはグラフィックボードの性能。
で、このNECのパソコンにおけるグラフィックボードはNVIDIA GeForce RTX3060とAMD Radeon RX6400のどちらかになる訳だが、正直この２つのボードでこの価格はボッタクリと言わざるを得ない。ゲーミングPCにおいて一番重要である筈のグラフィックボードの性能が、値段不相応に低いのだ。車で例えるなら300万で軽自動車を買わされるようなもん。
とは言っても値段の相場が分からない人もいるだろうと思うので、日本のBTOメーカー、九十九電機の場合のスクショを貼っておく。
おわかり頂けただろうか。抑えるべき所(CPUはCore i7-12700、グラボはGeGorce RTX3060、メモリ16GB、1TB SSD)を抑えてかつNECのより実に90,480円も安い。予算レンジが30万までとすると、実にRTX3060より３つ上のRTX3070Ti搭載モデルすら狙える。ゲームをする上では単純にスペックが上の方が良いので、NECのパソコンを買うメリットはほぼ無い。一応、CPUに関しては「i7-12700」と「i7-12700F」ではクロック周波数に違いがあり12700Fの方が有利ではある。*1
因みにRTX3060自体の性能位置はこんな感じ。引用：the 比較 さん
＊ベンチマークはあくまでベンチマーク(計算処理をさせて性能を数値化させる)なので、この結果は概ね信用できるものの絶対ではない
RTX3070Tiが載っていないがおおよそRTX3070程度と仮定すれば、RTX3070TiはRTX3060のおおよそ1.5倍の性能がある訳で、同じ予算が使えるならどう考えてもRTX3070Tiモデルを約26万円で買った方が良い。
そもそもRTX3060に対して最新のIntel Core i7-12700は少々バランスが悪いのでは？と感じる点があるがどうなのだろうか。ぶっちゃけ分からんが3060とならCore i5で良い気がする。まあそれはともかく続けよう。
下位機種であるGX550（約22万）のグラフィックボードはAMD Radeon RX6400な訳だが、これもまず性能的な立ち位置を見てみよう。引用：ちもろぐ さん
*上のベンチマークとテストの種類は違うが、おおよそ立ち位置は変わらないはず
あれ？先のベンチマークでは下の方にあったGTX1660Superがまだ上の方にあるぞ？あれ？
九十九電機のBTOで約21万で買えるパソコンはRTX3060を搭載しているので、やはりNECのパソコンは性能に比して値段が高い事になる。それも九十九では約21万でCPUがIntel Core i7-12700なのに対し、NECは同じ価格帯でCPUがIntel Core i5-12400F。そこでも差を付けられてしまっている。
グラボが全てではない？
いいえ、そんな事ありません、他がどれだけ優れていようとこのグレードのグラフィックボードでこの値段はまごう事なきボッタクリです。
「購入してすぐ使えるよう、XboxワイヤレスコントローラーやUSB-Cケーブル、チャットができるヘッドセット、Xbox Game Pass Ulitimateの3ヶ月無償利用権などを同梱する」、はい！出ました！国内家電メーカーお得意の余計なものてんこ盛りにして値段釣り上げ作戦！ぶっちゃけ要らん。ターゲット層はレトロゲーマー世代やZ世代と書いてあるが、レトロゲーマーはRTX3060が必要なレベルのゲームあんまりやらん、やる人間はきちんと調べて買うのでまずNECのPCは買わないだろうし、Z世代に至ってはパソコンでゲームをすること自体が希。あんまりまともに商売する気無い？
まずXbox関係はそれ欲しいならXbox買うよね、という話。ゲームの種類にもよるがパッドでゲームするならますますXboxで良い。USB-Cケーブルもヘッドセットも実質10万近く高い価格を考えると割に合わない。普通に自分が欲しいの買うわ。Xbox Series Sなら10万もしない。というかレトロゲーマーにとってXbox系は魅力あるのか？それに加え
「ゲームに関する質問を24時間365日電話で問い合わせできる「LAVIEゲーミングサポート」サービスを1年間無償提供する」
はあ。パソコンで出来るゲームなんてそれこそ星の数ほどある訳で、一口にゲームと言ってもそれでトラブった時のサポートなんてNECに出来ると思えない。そんなサポートサービス込であの値段なんですかね。要らないから安くしろ。安い方が売れるぞ。「1年間無償」って書いてるけどどう考えても価格に転嫁されてるし。
他にはPC-9801で発売されたレトロゲームが遊べるサービス、プロジェクトEGGで使用できるポイントがもらえたり、先着500名でモンスターハンターライズがもらえたりするらしい。うん、BTOメーカーで安くPC買って個別でそれら買う方が圧倒的に安くつくわ。
真面目に商売する気あんのか？
記事では「Project炎神(えんじん)」だの「これからパソコンでゲームを始めたい人に最適」だのといった御託が並ぶが、正直、真面目に商売しようという意思が感じられない。公官庁が贔屓してくれるから阿漕な商売ばっかりして感覚が麻痺しているのではないか？まず売れない、まとめサイトにもネタにされるレベル。買うのはよほどの情報弱者だけだろう。これで真面目に商売していると言うのであれば本当に先が暗い。
ちなみに私のメインPCはザックリ書くとこんな感じ。そろそろ新調したい。
- CPU : Intel Core i7-9700K
- GPU : GeForce RTX2070 Super
- RAM : DDR-4 3000 32GB
- SSD 1TB, サブSSD 512GB, データ用HDD 4TB
- 750W電源
これでケース等込みで大体、値段が23万。
*1:F付きの方が最大周波数が上
