ヤマネコ目線

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借金投資

 NHKクローズアップ現代で「借金してまで投資をする人々」が特集されていた。

www.nhk.or.jp

ぶっちゃけた話

 番組は借金をして投資をした人の目線、そういった人々が一方的な被害者であるかのような内容に終始していたが、ぶっちゃけた話をすれば「騙される方が悪い」域の話だった。もちろん騙す側も悪いのだが、騙された側に非が無いとも言えず(特に銀行に実態を偽ってローンを組んだ話)、金を貸した側の金融機関に至っては純然たる被害者である。

 お金が無い中では投資に使える元手が無いのでそこで焦るのだろうが、しかし借金してまで投資をしようとするのは良くない。投資も広い意味で言えばギャンブルであり、損をすることは当然ある。借金をした上でさらに損をすれば生活はより苦しくなる訳で、それはあまりにリスキーである。

ケース1

 まず最初に出て来たのがよくある「必ず儲かる投資用ソフト」を高額で購入した女性。マッチングアプリで金持ちっぽい男と親しくなり、そこで特別なソフトを使えば株で絶対に儲かると言われ、ほいほい食いついてソフトが入っているというUSBメモリーを60万円で購入。しかし思うような結果は出せず、結局60万円払い損をしただけだった。

 必ず儲かる方法など無い。まずこの常識が無い時点で投資をしようとする資格がない。というかよく聞くような典型的な情報商材詐欺じゃん・・・。多少親しくなった程度でよくそこまで相手の事を信用出来るなあとしか言えない。金持ちっぽいと感じて信用したのだろうが、この手の詐欺師があの手この手で自分がいかに金持ちかをアピールするのは当然。そのために下手すれば借金までしている。資産の状態を100%把握出来ている訳でもないのに他人を信用し過ぎるべきではない。高い授業料だったな。

ケース2

 不動産投資のために居住実態を偽り、銀行でローンを組んで本当はそこまで価値のない物件を高額で購入したケース。複数の被害者インタビューが紹介されていた。

 これに至っては被害者とされる人々は加害者でもある。他人にそそのかされるがまま銀行を騙してローンを組んでしまっており、契約違反を理由に銀行側が貸付金の一括返済を求めるのは仕方ない。番組内では「Aさんは業者に言われるがまま5,000万円のローンを組みました」とさらっとナレーションされていたが、よく他人に言われるがまま5,000万円のローン組めるなとしか言えない。

基本を抑えられていない

 基本というか常識レベルの話だが、本当に楽して儲かる方法があったとしても他人に教える訳がない。特集に登場した被害者は単純に想像力が無いのか考えることが苦手なのか、そんな事すら分かっていないので騙されるのも無理はない。もし人に教えるシチュエーションがあるとしたら、結婚して子供もいる状態で配偶者や子供に教えるくらいだろう。

 一応書いておくと、「絶対儲かる」ではなく「これをすれば儲かるかもよ?」くらいの話は転がっている。はてなブログにも投資家が書いた記事は普通にある。ただそこには何の保証も無いし、そこに書かれている内容を信じて投資するか否かはあくまで自己責任。成功体験は一番人を狂わせるので、自分であれ他人であれ過去の成功体験に囚われ過ぎるのは良くない。

 「楽して」というのもポイントで、「楽して」儲かる方法などよほど恵まれた生まれや非合法な手段等でない限りあり得ない。何も知らない人間から見れば「楽して」いるように見えても、実際は全然楽ではない方法が断然多い。「農家なんて種植えて収穫待つだけで楽そうで良いよな」とか抜かす人間を見ると◯したくなる。ふざけんじゃねえよ。

 そして「絶対に儲かる方法」など存在しない。金融機関や証券会社の営業に聞いてみればいい。「御社の投資サービスは絶対に儲かりますか?」と。まともな教育を受けている金融機関の人間ならば首を縦に振ることはない。

 ケース1の詐欺で使われた売り文句はそらく「株価予測を正確にして絶対に利益を出せるソフトがある」とかだろうが、そんなものを金持ちとはいえその辺の一般人が持っている事に違和感を覚えないのだろうか。もし本当にそんなものがあったとして、なぜ自分や一部の人間だけがそれを使えると思うのか。購入金額は60万円だったがその程度の金額で絶対に儲かるのであれば、金持ちでなくとも投資家は誰だって買う。誰だって買うと言うことはそこにアドバンテージは生まれない。市場をそのソフトで制する事は出来ない。

 そしていずれの被害者も投資は自己責任という事を理解していない。投資して成功するにせよ失敗するにせよその責任、結果は自分自身に掛かって来る。自己責任は裏を返せば他人をアテにしてはいけないという事であり、他人に言われるがまま投資をするのは詐欺に遭わないまでもいずれは何らかの形で損をする、身を滅ぼす。私の祖父がまさにそれで証券会社の営業マンに良いように言われた結果、資産が減った。どの程度からどの程度まで減ったか正確には把握していないが減った事は変わりない。こと投資において「他人が自分の利益のことを親身に考えてくれる」と思うのは愚か者のやることである。

個人的な投資に関する考え方

 自分で考えて自分で決断することが最も重要。そこに判断材料として他人の意見が入る余地はあるが、最終的に判断を下すのは自分自身であるべき。他人に言われるがままなどもってのほか。損害も利益も自分自身の選択の結果だからこそ納得できるもの。特に他人に言われた通りにして自分だけが損害を被った時、それで自分を納得させられるか。納得させられないなら頼れるのは自分自身しかいない。

 積立NISAだの投資信託だの、全自動で投資など何が面白いのか私にはさっぱり分からない。銀行や証券会社はあくまで他人であり、顧客の利益を真摯に考えてなどいない。彼らは顧客から預かった資金でお金儲けをし、その利益の端くれを還元するのであって、そこに手軽さ以外の魅力はない。最近、CMをよく見かけるウェルスナビとやらはそれで悪どく儲けているのだろう。このご時世、広告宣伝費は真っ先に削られる費用だが、その中であれだけテレビCMを打てるのだから大したものだ。

 情報収集も重要。当然の話だが、投資詐欺に遭うような人間はその辺がおそらく出来ていない(出来ない?)。最低限、国内や海外のニュースをチェックするのはもちろん、買おうと思う銘柄の業界関連のニュースも見るべき。「自分で考えるのが面倒臭い」「ニュースなんて見てられない」、そういった情報収集を怠る人間はただ誰かにカモにされるだけ。「考える力がない」、「自分の意見がない」は言い換えれば中身が空っぽの人間で、そこに他人が悪い考えを吹き込むのは簡単な事である。

 そして果報は寝て待ては至言。何事もすぐ結果を出そうとするのは良くない。すぐに結果を出せたとすれば、それはよほどの幸運であり例外的なもの。焦って下手なものに手を出すくらいなら、「果報は寝て待て」の精神でゆっくりで良いから資産形成をしていくべき。株式であれば少なくとも数年単位持ち続ける事は覚悟すべき(あくまで「覚悟」であって絶対ではない、状況次第)

 直近で言えば私はウクライナ戦争が始まってから、持っていた米国株を全て売り払い、資金はドルのまま保持している。円高に振れるかな?と考えた事もあったが、どのみち日本の株は眼中にないのでドル建てで残した。今はアメリカの株式市場が落ち着くのを待っている。資産としては始めた頃の4.5倍くらいにはなったので、まあまあ何とか。

 退き際を見極めるのも大事