ヤマネコ目線

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こども家庭庁は不要

 書き散らし。

 そういえば少し前、学校給食の現場がテレビで映っていた。限られた給食費の中でこれまで工夫に工夫を重ねて来たが、ウクライナ戦争などの世界情勢の不安定化、物価高騰の影響で油などの価格が高騰し、努力だけではもう限界が来ているというような内容だった。これまでは1人3切れだった唐揚げが1人2切れになったシーンが流れていた。

 そのシーンで感じたやるせなさ、私は結婚していないし子供もいないが、もし子供がいたとして給食すらこんな感じなのかと言う思いが最近の「こども家庭庁」新設に感じた怒りと重なった。

 クソみてぇな役所ばっか作ってるなら現場に予算を回せ!

 門外漢の私ですらこう思わざるを得ない。給食費に公費がどれだけ投入されているかは自治体によって違うだろうし、そもそも給食自体があるかどうかも分かれるだろうが、義務教育の間くらいは給食でちゃんと食わせてあげられる社会にならないものか。貧困家庭が増える日本では家庭での食卓事情も厳しくなっている。下手すれば1日3食のうち、栄養バランスを考えられた十分な食事が学校給食しかない場合もあるだろう。

 そういった事を放置し、何の役に立つのか分かったものではない余計な役所を作る政府に怒りを感じる。いくら払う税金が増えても教育現場からの怨嗟は無くならない、何なら自分が子供の頃より良くなるどころか酷くなっている。出来る出来ないは別として、こんな社会で子育てなどしようとは思えない。少子化が進むのは当然だ。

 実をいえば私も一時期、教員になりたいかな?と思った時期はあった。ただ中学生だったか高校生だったか、その時点で教職の大変さをうすうす感じており、その道には進まなかった。10年以上前の学生ですらそんなザマで、今の子供達は先生方を見て何を思うか。

炎上した#教師のバトン

 「#教師のバトン」は当初、ポジティブなイメージを作ろうと文部科学省が始めた企画だったが現場からの批判が相次ぎ炎上、今ではすっかり教職の方々の怨嗟吐き出しタグになっている。

 そもそも教育現場が「何とかしてポジティブなイメージを作らないと人手不足」な時点で根本的なものが間違っているのだが。

 Twitterで検索すれば下記のような怨嗟が際限なく出てくる。本当に再現無く出て来るので、紹介するのはこの記事を書いている直近で目についたものだけ。

 なぜ現場の増員、待遇改善をする予算は無いのに、こども家庭庁などという余計な役所を作る予算はあるのか。そんな役所を作らなければ現場に予算を回せないとでも言うのだろうか。金の使い方下手過ぎないか?直接現場にその予算回せよ。

働き方改革の無意味さ

 安倍政権で始まった働き方改革だが、教育現場の実情は変わっていない。ただ小手先で「~時までに帰りましょう」と政府からお達しを出した所で現場の仕事量、人員不足は解消されない訳で、教育現場以外でも同様であろうが「本音と建前」の乖離が一層進んだように思う。これまで誤魔化して来たものを、より酷い誤魔化しにしただけだ。

www.kyobun.co.jp

 部活であろうと何であろうと、小学校であろうと保育園であろうと基本的に仕事の内容に比して待遇が悪く、人員が少ない、予算割当も少ない。そんな状況でルールだけ変えても無意味なのは明らかであり、必要なのは余計な役所ではなく現場への投資である。

 これに関してはNHKクローズアップ現代でも取り上げられ、勤怠データが教育委員会によって大きく改ざんされていた一例が明らかになっている。22時まで勤務していたところを17時までというようなレベルの改ざん、これが働き方改革ですか。

新任教員が辞める理由

 新任教員がすぐ辞めたという話もよく聞くようになった。「新任教員 やめた」あたりで検索すると思い悩んでいる人の多さを実感する。労働環境の悪さも当然あるが、問題はそれだけではない。

 どこの記事だったか記録していないのでリンクを貼れないが、今の若い教員に多い悩みを詳しく書いた記事を見た。そこで指摘されていたのが「紙書類の多さ」。なんでもかんでも紙!紙!紙!、紙書類の多さで忙殺され、そこに毎日の授業の用意、テスト等の採点、部活動、ミーティング、いじめ問題の対応などが入り、どんどん精神的にも肉体的にも疲弊していく。

 新任の先生といえば今現在で20代前半、パソコン、スマホに慣れ親しんで育って来た世代である。その世代があらゆる処理を紙で行うことを強要された時、どれだけのストレスを感じるか。上の世代は考えたことも無いのだろう。それも新人の教育係にあたる人は5、60代のまだまだアナログ万歳な世代。ただでさえ効率化しないと仕事が追いつかない中で非効率的な手段を強制されるなら、それは辞めたくなっても全く不思議ではない。「私のやり方が不満なら変えてね」と言ってくれる年配の指導者も中にはいるかも知れないが、若者は礼儀正しく遠慮を知っているので大抵、気をつかって年上の言うことを尊重し、やり方を変える事はしない(そしてストレスを蓄積していく)*1

 特にデジタル・ネイティブな世代は効率化を求める傾向にあるので、それがアナログな仕事方法と真正面からぶつかるのは当然。アナログな方法が全て悪いと言いたい訳ではないが、そこにかかる労力を適切に評価、比較してより効率的な方法を取るべきだ。

 それが今の教員の環境では出来ない。公務員なので下手に自分たちでやり方を変える訳にもいかず、上から押し付けられた方法で仕事をしなければならない。何でも決めるのは現場を分かっていない「お上」、「以前からの伝統」、「非効率さを問題視しない意識の低い人間」。それで延々と疲弊を強いられる教員は傍から見ていてさながら日本軍の兵士。そんな状態で若い世代が感じるのは「ここに居ては潰される」、「ここに居ても何も成長できない」という危機感である。精神がまともで向上心のある人間ならば、そう感じた時点で辞めるのは当然だろう。逆にいえば残っていく人間は悪い言い方にはなるが、向上心が無いがストレス耐性は高いという人になる。

 であれば今、人員確保のために必要なのは現場ベースの業務改善・効率化だろう。あらゆる観点で現場ベースで業務手法を見直し、時代に合わせたやり方に変えて行く必要がある。教育内容や社会は変わっているのに、教育現場があらゆる点において変わっていない点こそが問題であり、国はその齟齬の改善に予算を投じるべきである。こども家庭庁がそれに役立つかどうかは知らないが、結局上の判断だけで何でも決める限り、現場が良くなる事はない。

新しい役所を作れば何か解決するのか

 あくまで私の見立てではあるが、こども家庭庁では何も解決できない。ただ文部科学省が予算を多めに取りたいがための全くもってムダな組織だ。少子化も教育現場も役所さえ作れば何とかなるならとっくに解決出来ている。一刻も早く解体し、その予算で現場の人員増、業務効率化、待遇改善などに充てるべき。それがこども家庭庁無くしては出来ないとは言わせない。現場ベースでする限り、そんな余計な組織は必要ない。何も分かっていない「お上」でどうこうしていてもズレた解決策しか出て来ないだろう。

 少子化問題も同様、「お上」は実務者の心情や状況を理解していない。理解していれば今のような、ズレにズレた政策や言説が出てくる筈がない。これからも少子化はどんどん加速するだろうし、こども家庭庁にそれを止められる事はない。私は今20代後半だが、今の社会を見ているとこの社会で子育てをしようとは思えない。こんなザマでは、これから先の時代を生きていかなければならない子供達が可哀想だ。そもそもそんな余裕も無いし。結婚や子育てを考えると行くも地獄、退くも地獄という感じ。まあこれから先、そういうのは好きな人だけがやれば良い。なるようになるって。

GIGAの闇

 上に紹介したツイートの中で「GIGA」という言葉が出て来るが、これはGIGAスクール構想のことである。これに関しては以前、書いたと思うが改めて書くと、要は「子供1人1人にパソコンを与えてIT人材育成に励みましょう」的なもの。今や簡易的なプログラミングが義務教育に取り入れられている。

 しかしこれ、文部科学省が用意したGIGAスクール構想に使うパソコンの最低スペックが時代に合わないもので、それがただでさえ過酷な現場を疲弊させ、国内の悪徳メーカーが税金を食い物にする一因となっている。正直、こども家庭庁なんて作るならこれもどうにかしてやれよと思う。高校時代の同級生は小学校の教員をしているが軒並み頭を抱えている。

 要求スペックは下記リンクのPDFで確認できる。

https://www.mext.go.jp/content/20200303-mxt_jogai02-000003278_407.pdf

 要求スペックのスクショがこれ

 Windows10Proなのは学校が端末を管理しやすい機能面もふくめての話なので、これはまあ良いとしよう。

 「(CPU) Intel Celeron同等以上」、はい、ゴミです!CeleronIntelのCPUの中でも最弱クラス。一応、下位にAtomと言うミジンコレベルのもあるが、基本的にCeleronは最下層と思ってもらって構わない。「昔のCore2Duoくらいの性能はある」とかたまに聞くが、今の水準のOS(特にWindows10Pro)をCore2Duoで動かそうと思うか?私は思わないし少なくとも快適ではない。型落ちで良いからせめてCore i3くらいにはしろよ・・・。

 もうこの時点でゴミ確定なのだが更に問題なのが「(ストレージ)64GB以上」、「(メモリ)4GB以上」。一応「以上」という言葉が書かれてはいるが、日本企業にとって「以上」という言葉は「これ以上は無くても良いです」と言う意味なので実質、GIGAスクール構想向けに作られるパソコンはメモリ4GB、ストレージ64GBになる。

 メモリ4GBは単純に容量が足りない。Windows10を使うのであれば8GBが最低限のラインである。実際、Windows10搭載の職場のPCを見ていると何もしなくても平気で4GB以上使っている。メモリが足りなくなると言う事は、現実世界でよくある例えでいえば作業机の上が一杯になるということ。当然、処理能力は落ちる。ストレスフルなレベルで。

 ストレージに関してはHDD(ハード・ディスク・ドライブ)かSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)かの指定すらない。おそらく容量単価の安いHDDが搭載される可能性は大きく、そうなるとメモリが一杯な上にデータの読み書きも遅いので処理速度は悪夢のように遅くなる。OSにはメモリが一杯な時、ストレージをメモリの代わりにして使う機能がある(先の例えで言うなら、本棚を少し間借りして作業スペースにするような感じ)。が、その読み書き速度が遅いとそれすらままならない。SSDだったなら御の字といったところか。それでも容量64GBはWindows10で使うには少な過ぎると思うが。WindowsUpdateで容量足りなくなる可能性すらある。あとSSDは容量が大きければ大きいほど読み書きが速い。逆もしかり。

 特にWindows10からはストレージへのアクセス頻度が多いのか、HDDで少し重めの処理が発生すれば目にみえて処理速度は遅くなる。ウイルスバスターのスキャンなどが起動した時は悪夢の中の悪夢。あれはウイルスバスターじゃなくてウイルスそのもの。

 結局、GIGAスクール構想では「こんなパソコン使わされたらパソコン自体、嫌いになるわ」レベルのパソコンが生徒に配られている。そしてパソコン発展全盛期からスマホ世代あたりで育って来た新進気鋭の先生方は、それを使った指導でさらなる疲弊を強いられている。教育側の予算も限られるだろうが、富士通NECあたりがスペックに見合わないような値段でこういったパソコンを売り込んでいるのは想像に難くない。

 こども家庭庁なんてどうせ何十億円と予算をつけるのであろうが、そんなに金に余裕があるなら多少はGIGAスクール構想で使うパソコンをまともに使えるレベルのパソコンにしてはどうか。

 余談で身も蓋もない話をすれば、日本でIT人材を育てても良い事はあまり無い(全く無いとは言うまいが)。日本におけるITエンジニアの地位は低く、待遇も業務に求められるレベルや量に比して悪い。本当に優秀な人材は外資に引き抜かれる。私が高校時代の時でも、プログラミング大会で優勝した人がそのまま外資に引き抜かれた話があった。初任給1,000万円ポンとくれる会社と、低賃金で過労死ラインまで酷使される企業、行ける力があるならどちらに行きたい?比較にすらならない。

 次は「穀潰し庁」でも新設するか?

*1:「君ならどういうやり方をしたい?」と聞けば何か返ってくるかも知れないが