ヤマネコ目線

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出産一時金の増額に思うこと

 書き散らし。自民党議員連盟が出産一時金の増額について検討している。

news.yahoo.co.jp

焼け石に水

 出産費用にかかる費用が高額になっているからなどと言って、出産一時金を42万円から40万円半ばまで増額などしたところで一体何になると言うのだろうか。少子化対策の皮を被った選挙対策にしか思えない。7月に控える参議院選挙を前に、自民党は他にも人気取り政策を打ち出している(そして一部は批判を浴びて取りやめ)。

 「産みやすい環境を」というのは理解できるが、そもそも結婚自体できない人間が増える中、今さら出産一時金がどうのと言うのがもう周回遅れも甚だしい。最初からそんなこと真剣に考えていないのだろうが。今のご時世で結婚、子育てできる家庭には多少の増額など少子化云々には関係ない。子育てしない人間が4~5万程度の一時金の増額で子育てをしようと思う筈もなし、そういう人がいたとしてもごく一部だろう。

そもそもの話として

 少子化が叫ばれて一体何年経つだろうか。その中で出産費用の無償化はされて来なかった。まず無償化すべきとすれば出産費用からではなかったのか。あくまで義務教育の範囲外である高校教育の無償化はされたのに、国会議員は物事の順序すら考えていないのではないか。もっとも、「40数万円すら払えない家庭が子育てなどするな」と言う声も聞こえて来そうではあるし、それはそれで正論のように思える。

 もとより国策として非正規雇用を増加させ、低賃金化を推し進めて来た中ではいかに小手先の策を講じようとも、少子化など止まる筈がない。最初から大筋が少子化対策と逆を行っているのでうまく行かなくて当然。晩婚化晩婚化と言われるが、その本質は何のことはない、「結婚・子育てできるような年収になるまで時間がかかり過ぎるようになった」だけの話。一時金がどうとか、給付金がどうとか、結婚して子供が出来た後を前提にどうこう考える時代はとっくに終わっている。

 政治家はそれでも、「結婚して子供が出来る」前提で物事を考えている。その思考と現実にズレが生じる根本的な原因は、政治家の頭の中の日本と現実の今ある日本が急激にズレており、さらに政治家自身が生産年齢の当事者でもなければ、頭の中をアップデートする気もない所にある。ましてや世襲で、小さい頃から金に何ひとつ困ることなく政治家になったような連中に今の20代30代の一般人の感覚、気持ちなど理解できる筈がない。

 他方、ただの一般人、それもどちらかと言えばレベルが低い方の人間の私ですら、昨今の日本社会における「普通」が自分と同等かそれ以下に下がりゆくのを感じる。閉塞感、人々の余裕の無さ、文化的な衰退、一体何だこれは?こんな社会でこれからの子供たちは生きて行かねばならないのか、そう思うだけで半身が絶望に浸かる。過去には「最低でも3人」などと抜かした大馬鹿者もいたが、とてもそんなどころの話ではない。政治の実権を握っている年代の認識と、現代日本の実情が乖離し過ぎている。

今から出来る少子化対策

 もう手遅れです。と書けば簡単だが、少子化対策の本質は経済対策である。経済が上向けば自然と子育てする世帯は増える。そんな当然のことすら考えられない政治家の方々には一刻も早く辞めて頂きたい。自分が経営者なら月100万どころか無償でもクビにする。

 とにかく無駄な役所や予算を削って減税の1つでもやれよ。まずはそこからだ。特に消費税は逆進課税である。コロナ禍でも消費減税の1つすらしないのは流石におかしいのではないか。もう、今から日本人労働者の賃金を上げようたって、何をどうすれば良いか分からないレベルで悪化しているので本当に手遅れの可能性もあるが。

 就職氷河期世代の特集が先日、テレビで流れていた。彼らは確かに不憫ではあるが、あれはこれからの世代全員の将来像だと感じた。氷河期世代より後の世代では、就職こそ出来てもそれが氷河期世代よりも良い待遇に繋がっているとは限らない。いずれにせよ低賃金で結婚そのものが出来ない人間が多いのであれば、その辺りの実情に大差はない。多くの人間が若い頃は低年収で結婚できず、歳を重ねてからは年収が上がっても年齢で弾かれ、そのまま年老いていく。

ベーシックインカムの罠

 最近、ちょくちょく話を聞くベーシックインカムだが推進しているのは竹中平蔵である。もうその時点で私は反対せざるを得ない。あれは「月10万円やるから働きたい奴だけ働け、貧乏人は10万で全部何とかしろ。それ以外の社会保障は全て無くすから」という話。竹中平蔵がテレビで話した案では月10万すらない。どうせ月10万の給付事業にパソナを噛ませ、「税金中抜きおいしいです!」したいのだろうが。

 更に追加でどういう話が出て来るかと言うと予測されるのは最低賃金の廃止」。それで国際競争力の強化という名目の下、ますます人件費は安くなり、結婚どころかちゃんとした交際すら出来ない人間が増えていく。

 まあ、どうだって良いか!そのうち滅ぶしな。この国。若者が政治に関心がないというのは賢い選択だ。どう足掻いたって良くなりはしない。それが彼らなりに分かっているのだ。人間の物事を予測する力は優れているし、若者だってその点において老人に劣る訳ではない。