ヤマネコ目線

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防災バッグの中身

 他ブログで言及されたついでに。災害に備えれば備えるほど装備は多くなっていくが、その多くはいざという時に使えない可能性を考えておいた方が良い。極端な話、旅行先で災害にあえば備えもへったくれもない訳で。家が倒壊しても取り出せないし、地震の後に火災で焼けたら、などと考えていけばキリがない。

 しかしそれは災害対策をしない理由にはならないので、段階的に分けて準備しておくことが重要だろう。半分趣味でやってるしたとえば

  • いつも身につけておきたいもの
  • 防災バッグとしていつでも持ち出せるようにしておくもの
  • 可能なら後から出しやすそうな場所に備えておくもの
  • 無くてもいいがあった方が助かるであろうもの

 くらいに分けて考えておくと良いかも知れない。先の記事ではテントなどのキャンプ道具を紹介したが、これは自分の中では3番目。クルマに積んでいるので地震で取り出せなくなる可能性は比較的低い。乾電池などはスチール製防水ケースに入れて屋根付きの半屋外に置いている。

防災バッグの中身をどうするか

 では防災バッグとして備えておきたいものは何か。Amazonや家電量販店で売られているものを買ってもいいが、不要なものが入っていたり、懐中電灯は入っているのに乾電池が入っていないなどの不備がある可能性がある*1。自分で調べて必要そうなものを用意しておく方が確実。

 この点、内閣府から非常用持ち出し袋のチェックリストが出ている。

https://www.kantei.go.jp/jp/content/000111250.pdf

上記URLより抜粋

 しかしこのリスト、余計なものも含まれている。たとえば防災ヘルメットやずきんなんか本当に被るか?あれば良いかも知れないが、本当にそんな余裕があるのだろうか。何なら腕や防災バッグで頭を覆うくらいでも良い。それでも防げないレベルならどのみち無理。

 衣類や下着も別に着替えなかったからと言って死にはしない。洗面用具や歯ブラシ、歯磨き粉もこれを使わなかったからと言って死にはしないし、何なら貴重なリソースである水を使う。軽いので歯ブラシ1本くらいなら入れても良いと思うが、「とっさに持ち出したいもの」と、「その後の避難生活で使いたいもの」がごっちゃになっている。

 避難の段階は一次避難とニ次避難があり、まず身の安全の確保。ニ次避難が生活の確保。感染症対策なんか1人なら関係ない。石鹸・ハンドソープなんか入念に手を洗う気満々だが水が貴重な状態では不必要。

大前提

 まず大前提として防災バッグ自体が防水あるいは耐水性であることは重要。中身が簡単に濡れてしまうようなものは論外。電子機器が水に弱いのはもちろん、雨に濡れてしまって着替えようと思ったらバッグの中の着替えも濡れていた、なんて事になると悲惨。また、反射テープなどいざという時に探しやすい、発見されやすい要素も欲しい。

最低限のリスト

 極端なことを言えば死ななければ良い訳で、最低限まで削っていけば以下のような感じになる。

 これ以外は大体、少しでも快適に過ごすためのもの、あるいは防災バッグと言うよりも避難生活で使うもの、復旧作業で使うものが多い。持ち出せなくても後から何とかなる。これらに加えてまだ自分が持って逃げられる重量的な余裕を見て、残りのチェックリストに優先順位をつけて入れるのが良い。貴重品は言わずもがなというか持ち出し袋にいつも入れられる訳ではないのでオミット。通帳や印鑑なんかはまあ・・・個人の判断で。

 水は1人1日3Lが目安とされているが、これは調理用も含めた数字なのでそこまで必要ない。500mLのペットボトル5本くらいで良いのでは。キャップに注いでちびちび飲めばそれでも数日持つ。そこまで我慢できるかは個人によるが

 塩は塩分補給用に入れておく。人間に必要なのは水だけではない。なおかつ塩単体ならば保存期間をあまり気にする必要がない。ポカリや経口補水液でも良いが消費期限に注意しなければならないし、ほかの用途に使いたい場合に潰しがきかない。

 食品は水を使用しないものの方が水を節約できるので良い。お米を食べたくなるのは理解できるが贅沢。缶詰やレトルト食品など適度に水分を含んだものであれば、調理に水を使わずに済むし喉も渇きづらい。ただし冬、凍ってしまったものを食べると余計にカロリーを消費するのでチョコバーなんかはあっても良い。ビスケットや乾パンもいいが口の中の水分を持って行かれる。1日0.5食にして寝ているだけなら3食分で6日は凌げる。そこまd(略)

 懐中電灯は防災バッグの中というよりも近く、寝具のすぐそばで良いと思うが入れておいても損はなさそう。最近のはLEDなので小さくても明るい。ただし懐中電灯機能を備えた防災ラジオを入れればこれ自体をオミットできる。

 「紐なしのズック靴」はバッグに入れず、地震であれば割れたガラスでケガをしないようにすぐ使える場所に置いておくべきなのでオミット。ベッドの下や防災バッグの近くに軽いカバーに入れて置いておけば良い。

 ラジオは情報収集用に必須なのでバッグの中。電話回線よりもラジオ放送の方が復旧しやすいはず。手回し充電できるタイプは便利だが充電しないで放っておくとバッテリーが弱るので注意。充電もできて乾電池でも使えるタイプがあるのでそれがベスト。紙とペンは記録用。スマホがメモ用にいつでも使えるとは限らない。

 乾電池は普通の乾電池で。充電タイプもあるがノイズがラジオに影響したりで使いづらい場合があるので普通の電池が無難。

 これらに加え、クルマに防寒具や寝袋でも入れておけばまず死にはしないだろう。クルマがないならブランケットやカイロもバッグに入れるしかないが。ぶっちゃけクルマがあればテントは要らない気もするが居住性が違う。冬に暖房を入れながら過ごすとマフラーが雪で埋まって排気ガスで死ぬ可能性があるし、ガソリンもいつまでも持つ訳ではない。

余裕があれば入れておきたいもの(優先順位上から順)
  • 防水バッグ
  • レインコート
  • ライター、マッチ
  • ゴム軍手
  • モバイルバッテリー
  • アルミシート
  • トイレ紙とスコップ
  • 応急処置キット
  • ケミカルライト

 防水バッグがあれば、電子機器を水から保護することが出来るし給水の際の入れ物にもなる。

 可能な限り濡れないような場所にいることを優先すべきだが、それでも避難しなければいけない場合もあると思うのでレインコートはあれば便利。

 ライターやマッチを入れておくと最低限、焚き火などで暖を取ることができる。ろうそくはどこでどう使う想定かよく分からない。モバイルバッテリーや可燃物は車内に入れておくのは炎天下に放置することを考えると不安なのでバッグに入れる。

 手袋系は軍手よりもゴム軍手の方が良い。手のひらの面がゴムでコーティングされたタイプ。ささくれが貫通しづらいし、水を通さないので泥水があっても手が汚れづらい。軍手は意外と?ささくれが簡単に手にささる。ちょっとしたモノをどかすにしても素手より安心。手が汚れるとキレイな水で洗わなければいけないので、出来るだけ汚さないことが第一。どうしても心配ならウェットティッシュは入れておいて良いかも知れない。

 スマホも重要な情報収集の道具。なのでモバイルバッテリーはあった方が良い。東日本大震災の時には「皆が欲しがるので隠れて充電してた」という話もある。私は通常のモバイルバッテリーをバッグの中に、クルマにソーラーパネル充電器とケーブル類、スチール製のケースにソーラーパネルとLEDを搭載したモバイルバッテリーを入れてある。

 ブランケットは代わりにアルミシートを入れておく方が保温も出来るし、アルミシートならばほかにも使いようがある。

 これらに加えて冒頭で貼ったリンクの資料下段、女性や子供、老人にとって必要最低だと思われるものを個別の事情に合わせて入れる。トイレ用品もあれば便利。紙とスコップ(小さめ)を用意しておけば穴を掘って用を足し、埋めるだけ。

 応急処置キットくらいは避難所にありそうな気がするが、あまりアテにするのも良くないので絆創膏くらいは入れてある。

 元自衛官のYouTuberはケミカルライトもおすすめされていた。便利そうではあるがぶっちゃけ無くても良い。しかし使い捨てにしても惜しくない光源というメリットはある。懐中電灯の電源がなくなった時の保険としても悪くない。そんなに嵩張るものでも無いし軽いので、どうしても夜間に移動しなければいけない時にリュックにつけて目印にするなど使いようは沢山ある。手で懐中電灯を持って前を照らし、後続への目印にはケミカルライト、これで何の不自由もない。

余談:東日本大震災で重宝されたらしいもの

 盲点だったのは延長コード。口数の多いもの。災害支援でスマホの充電コーナーが設置されたり、あるいは自前でポータブル電源を持っていたりまでは良いが、充電できる数が限られる、一度に使えるコンセントの数が少ないなどで重宝されたケースがあるとか。ただしこれも災害支援が来る段階では支援者が持参してくれる可能性が高いし、どちらかと言えば二次避難で役立つもの。

余談の余談:ゴミをその辺に捨てるな

 どちらかと言えば災害ではなくキャンプ絡みで聞いた話だが、その辺にゴミを捨ててしまうと野生動物を呼び寄せてしまう。思わぬ病気や害虫をもらうリスクが上がる上、イヌ・ネコやアライグマ程度ならまだ良いがクマやイノシシなんかが来るとたまったものではない。ゴミを捨てる場所には気をつけましょう。

 自分の身は自分で守る

*1:実際に小さい文字で「電池は別売りです」と示された商品がある