ヤマネコ目線

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マイナ保険証絡みの無駄金

 厚生労働省がマイナ保険証の利用が増えた病院に対し、最大20万円の一時金支給をする。「検討」ではなく「支給するとしているので既に決定事項のようだ。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「マイナ保険証」利用促進 最大20万円の一時金支給へ 3月の利用率は5.47%と伸び悩み)

またマイナ絡みで余計な金

 マイナンバーカードは利便性の欠如によって利用が停滞し、安全性の面でも不満が出て信用を失っている。これに加えて政府は保険証をマイナ保険証に統合して利用を半ば強制し、更に不信感を抱かれている。ポイント付与などで利用率を上げようとしたがそれもうまく行っていない。マイナンバーカード自体が偽造される例も出ており、根本的に制度として信用が無い。

 今回は病院に一時金を与えてキャンペーンを行わせることで利用率を上げようという試みのようだが、根本的に間違っている以上はこれも失敗に終わるだろう。記事によれば医療機関における呼びかけやチラシで利用を促進し、マイナ保険証の利用者が増えたクリニックに対しては最大10万円、病院に対しては最大20万円の一時金が支給されるとある。

 では、ここで日本全国にはどの程度の数のクリニック、病院があるか見てみよう。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/21/dl/02sisetu03.pdf

 「病院」と「クリニック」の違いはざっくり言えば「病床が20以上あるものが”病院”」で、それ未満あるいは無床のものがクリニック。上の図では「一般診療所」がこれに当たり、それぞれ数は

・病院の数は全国で約8,200件

・クリニックの数は全国で約172,000件(歯科含む)

 一時金支給の要件までは分からないが、これらのうち半数の病院とクリニックでそれぞれ一時金が満額支給されると仮定すると

4,100(件)×20万円 + 86,000(件)×10万円 =94億2,000万円

 にもなる。実際はマイナ保険証に信用が無いのでここまでうまく行かないにしても、このくらいの金をマイナ保険証利用促進のためとして払う気でいる訳で、このような遣い方をするならもっと日頃の負担を減らせと言いたい。どの役所も無駄に予算を確保し過ぎ。税金を無駄にするために仕事してるのか。

マイナンバーそのものの是非

 マイナンバー(個人番号)制度自体は2011年(旧民主党、野田政権)から出て来た話だが、自民党がそれを引き継いで久しい。先に書いておくがこの期に及んで「民主党が悪い」と言うのももはや無理がある。安倍政権だけでも民主党から政権を奪還してから7年、その後に菅政権、岸田政権と続いている。安倍元総理が政権奪還をしたのが2012年12月でほぼ2013年としてもそこから現時点で11年。その間でマイナンバー制度に対する印象は大して変わっていない。

 利便性向上がまったく無い訳でも無いが一般人が実感できる利便性は限られており、どちらかと言えば政府が国民を管理しやすいようにするための制度という印象が強い。政治への不信感・不満が募っている中では国民にとって「後からどのような不都合が出てくるか分からない」という不安の方が大きく、制度そのものの是非以前にそれを運用する政府からして国民から信用されていない。

 マイナ保険証については保守(という名の政府の太鼓持ち)から従来の保険証と比べてなりすましを防げる=外国人が偽造保険証で不正に日本の健康保険制度を利用することを防げる、という意見があるが、マイナンバーカードそのものが中国人によって偽造されていた事が発覚しておりその主張には無理がある。

 これからマイナンバーカードの券面を刷新するらしいが、それもどこまで偽造が難しいものになるのか。そのために一体どれだけ税金を投じる気なのか。あらゆるサービスを個人番号に紐づける以上、それが悪用された時のリスクも大きく不安が尽きない。

 マイナンバーカードを保険証として使用する場合は専用のオンライン資格認証読み取り機が必要なのだが、その機器の導入にコストが掛かるため小さい医療機関では設置が進まず、どこの医療機関でも使える訳ではない事もマイナ保険証の利用が停滞している理由の1つ。このカードリーダーの存在にも利権が絡んでいるのではないか。

余談:「誰がやっても一緒」の正体

 政治なんか誰がやっても一緒、どこがやっても一緒という意見がある。正直その意見にもモノ申したいが、そう思うことも理解できなくは無いので難しいものがある。ではこの感覚の正体は何なのか。

 結局、日本という国は行政機関、各種省庁、特に財務省経済産業省あたりからして腐り切っているのではないだろうか。政治家はあくまで選挙で選ばれる。曲がりなりにも彼らを選んだ責任は我々国民にある。しかし行政の実務を担う各省庁の役人は選挙で選ばれる訳でも無ければ、国益を第一に考えている訳でもない。少なくとも財務省の人間が国益を考えていると感じた事は無い。

 そうした腐り切った行政に政治家が動かされてしまっている現状がある。本来は逆で、国民の代表者たる国会議員が行政を支配するべきではないか。それが国会では官僚が用意した紙を読み上げるだけで行われているのは「議論」ではなく「茶番劇」。官僚の言うがままに予算編成し、増税社会保険料を繰り返す。政治家は物事における最低限の道理すら弁えず、金になりさえすればそれで言いと言わんばかりにふんぞり返って自分達のやりたい事だけに夢中。

 こうした現状を変えられない限り、確かに「誰がやっても一緒」だろう。政権与党が変わっても官僚は変わらないのだから。この辺りを官僚と敵対するでもなく、なおかつ利用されるでもない政治家が出て来なければ本当の意味で政治が変わることは無い。

 かなり難しいように思うが、かと言って今さら自民党の政治家の考え方や在り方を変えさせることは不可能。「政治家に良識を持たせよう」とするのではなく、国民の力で「良識ある政治家を押し上げる」ことが必要だ。