ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

政倫審の時間って必要?いや、いらん

 国会で政治倫理審査会が開かれている。自民党派閥の裏金問題についての審査なのだが、意義があるとは思えない。

news.yahoo.co.jp

(リンク切れ対策|記事題:新事実語られず、遠い真相解明 政倫審、識者は「パフォーマンス」)

やるべき事はすでに決まっている

 裏金問題に関してやるべき事はほぼ決まっている。

  • 政治資金規正法を改正して厳罰化、連座制の導入
  • 裏金分について収支報告書を修正するとともにその分を追徴課税も含めて納税
  • 政策活動費のさらなる透明化
  • 裏金問題に関与した議員の処分

これらの対応から逃げて政治倫理審査会を開くことはただの時間稼ぎであって、まったくもって誠意ある対応とは思えない。それも萩生田、ニ階は出席せず。政治倫理審査会は出席が強制でもなければ虚偽の答弁をしても罪には問われない。やるべき事から逃げて嘘つきに無駄な弁明とさらなる嘘をつくための場を与えているだけではないか。時間のムダ。

 これに関してXでエセ保守は

「野党は政倫審を開かなかったら『疑惑は深まった』といい、開いたら開いたで『時間のムダ』と批判する」

 と文句を垂れていたが、自民党が最初から誠意ある対応をしていればどう転ぼうが時間のムダは発生しない。野党は野党で問題があるのは理解できるが、そもそも裏金問題に対して詳細を明らかにすることにも、関与した議員を処分することにも、今後の再発防止策の制定にも自民党が非協力に過ぎることが一番問題。

news.yahoo.co.jp

(記事題:【速報】安倍派の現金キックバック「一度やめる方針決めた」 西村前経済産業大臣が明らかに)

 政倫審における西村前経済産業相の答弁がさっそくニュースになっているが、「一度やめる方針を決めた」としつつも実際はキックバックをやめていなかった訳で、これもただの見苦しい言い訳に過ぎない。そういう話があったというのは以前にも報道があったしそこから何ら進展は無い。本当に一体何の時間なのか。年収4,000万円の国会議員1人1人の時間がひたすらムダにつかわれている。こんな事が社会で通用するか?議員報酬からして返納して欲しい。というか裏金問題に関わった者は直ちに政界を引退すべき。それが出来ないなら全員、国会議事堂前にござでも敷いて切腹しろ。

 岸田総理が出席してフルオープンで行われるだの何だのもまさしくただのパフォーマンス、正直どうでもいい。岸田総理が出席するしない、公開されるされないで今後に何か影響あるのか?何ひとつ解決しない。実効性のある再発防止策が作られない内はこの問題は終わらない。決して終わらせてはいけない。

 政治倫理審査会の開催自体が無駄。いい加減にして欲しい。

ジャンボタニシ農法

 Xにて参政党奈良支部が発信源のジャンボタニシ農法なるものが話題だった。ソースを調べると奈良県連における農業研修の投稿が出てくる。ここで言う奈良県連は参政党奈良県連合?を指すのだろうか。

Facebookスクショ

 ジャンボタニシ (=正式名称: スクミリンゴガイ )は南米原産の淡水巻貝であり、もとは食用として台湾経由で持ち込まれ、それが野生化している。イネやレンコンなどに対して食害を起こすことが知られており、生態系被害防止外来種に指定されている。放流するなどしても法的に罰則は無いが、飼育などを条例で禁止している自治体はある。

 イネ以外の雑草を好んで食べる習性があるらしく、水田の雑草を防除する目的で放流されることも確かにあるようだ。しかしその場合、思ったような働きをさせるための水位の管理などが難しく、ジャンボタニシ農法をしていない/するつもりがない周辺の水田にも生息域が広がる可能性があるのでお世辞にも良い農法とは言えない。はっきり言って迷惑以外のナニモノでもない。

 また、スクミリンゴガイは広東住血線虫の宿主の1種なので素手で触るだけでも危険な生物である。卵はあざやかなピンク色でいかにも毒々しい見た目をしており、実際に神経系の毒がある。孵化した幼生は極めて小さく、用水路にフィルターを設置するなどしての防除は難しい。

ja.wikipedia.org

www.nies.go.jp

 参政党は保守的な理念を掲げて出てきた比較的新しい政党であり、「3つの重点政策」の1つとして「食と健康、環境保全」を掲げている。「化学物質に依存しない」とも併記されており、どうやら自然派というかそういう感じの人間を取りみたい感じらしい。

 Facebookの投稿では「ジャンボタニシさん、ありがとう!」とまで書いている訳だが、これは環境保全にも保守的な思想にも反するのではないだろうか。厄介な外来種環境保全とは。古きよき日本の農業にジャンボタニシなんかいなかった筈だ。

 一部では参政党の人がジャンボタニシを放流したと解釈する人もいたが、Facebookの投稿内容からはそのような内容が確認できないので注意。化学物質=農薬を忌避するゆえか、ジャンボタニシを雑草防除の手段として活用しようという意見には疑問がある。

 「自然農法」だの「農薬を使わない」だのは良いように思うのか知らないが、非効率が過ぎる農法ではますます若者は一次産業から離れるだろうし、農薬を使わなければ消費者が求める量や質を維持することは難しい。農薬=なんか体に悪そうというイメージがそもそも無知。日本の農業にジャンボタニシは必要ない。

生態系被害防止外来種リスト

 なお、特定外来生物は放流はもちろん、生きたまま輸送するだけでも違法になるので注意。最近で言えば2023年6月からアカミミガメ、ザリガニが特例付きで特定外来生物に指定されている。特例は既に多くの家庭等で飼育されている個体がいることに鑑み、本来であれば飼育許可が必要なところ届出を免除するという点。

たくましい実習生

 元は食用として入って来ただけあってか、外国人技能実習生が捕獲して食べている地域があるという。継続的に捕獲されているので数が少なくなっているだとか(それでも根絶できないようだが)。そう言えば私の会社の社員寮にも、実習生が作ったとおぼしき畑や香辛料を育てるためのポットがある。食べ物と言えばスーパーで買うもの、という我々とは一段違うたくましさを感じる。

 日本人では一部の野食系YouTuberが食べている程度。中には有毒である卵にあえて挑戦する者も。エスカルゴ風にして食べたりしているが私は食べたいとは思えない・・・いずれ食糧難になって嫌でも食べることになったりするのかも知れないが。

余談:こども家庭庁

 何かにつけて下らないことしかしない*1こども家庭庁だが、その予算は令和4年度で4兆6,871億円。2023年の出生数は外国人を含めて75万8,631人なのでこれで割ると1人あたり約618万円にもなることが話題になっていた。

 かと思えば「月額500円の負担増をお願い」などと言い出し、それもあっという間に「やっぱり月額1,000円でした」になり、今は「月額1,250円」がどうのと言っている。一体どうやったらここまで金を無駄に出来るのか理解に苦しむ。

 どこぞの誰かが言っていたが、「日本政府はこの数十年、育児支援はしても少子化対策なんて1つもしていない」との言葉が頭に浮かぶ。結婚して子供が出来たあとの話ばかりで、結婚に至るまでの構想が無い。というか余計なことで負担を増やすなら少子化対策なんかしなくていいから、負担を減らすべきである。

*1:ヤングケアラー対策として「こどもらしい時間が過ごせるようにキャンプを企画等

難民認定で450万円支給はデマ

 最初に書いておくが私は迂闊な難民受け入れやその数自体を増やすことには反対である。特にクルド人のような明らかに日本に馴染む気がない外国人は受け入れるべきではない。「自分たちの国が欲しいなら他所でやれ」としか思わん。

 Xにて「難民申請すると1人あたり450万円がもらえる」というようなデマが飛んで盛り上がっていた。発信元はjapannewsnaviというサイトで例のごとくニュースサイトに見せかけたアフィリエイトサイト。人の怒りを煽って拡散、アクセスさせて広告収入を稼ぐ手法。

情報の一次ソースを確認する

 「難民と認められると1人あたり年間450万円」という情報はどこから来ているのか。検索してみるとおそらくその根拠であろう内閣府の資料があった。悪質なアフィリエイトサイトの稼ぎになるのが嫌なのでjapannewsnaviの記事内容は確認していないがそれっぽい内容がある。

諸外国における第三国定住による難民受入れの概要 平成24年6月19日(内閣府)より

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nanmin/yusikishakaigi/dai2/siryou3.pdf

 画像が少し小さくて見づらいかも知れないので文字起こしすると

「日本の場合、おおむね難民1人あたり約450万円の中央省庁における予算措置がされているが、例えば、ニュージーランドでは約490万円、米国では約110万円、カナダでは約80万円、スウェーデンでは約240万円となっている」

「日本(パイロットケース)では、政府予算は約1億3,500万円であり、年間約30人を受け入れる場合、難民1人あたり予算額約450万円となる」

 とある。難民1人あたり450万円というのは難民受け入れのための行政の業務全般にかかる予算の平均であって、難民と認められれば1人に450万円が支給される訳ではない。まともな読解力があるならばこの資料からはそう読み取れる。あえて人々の怒りを煽る方向へ情報をねじ曲げるつもりが無ければ「難民1人あたり年間450万円支給」などとは書かない。

 そもそもこれ、平成24年=2012年と実に10年以上前の古い資料であって、今さらこれで騒ぐのもなという感じだが、それはひとまず置いておいてもう少し続ける。

 難民に対する他国との予算比較ではニュージーランドの約490万円がある一方、米国で約110万円、カナダで約80万円とかなり安い国がある。数字だけ見れば日本は高い部類だが、これらの国は難民認定数が桁違いであることを忘れてはならない。たとえばアメリカであれば2021年の難民認定数は 20,590人 である。

難民認定者数と認定率の世界比較、受け入れ数ランキングや日本の現状|国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン

 先ほどの内閣府の資料でアメリカの予算措置全体の額を見ると約10.65億USDであり、同資料に記載のレート( 81円/USD )で換算すると約862億円と予算全体の規模でも明らかに規模が違うことが分かる。それにしてもドル円81円か・・・。

事実といえる部分

www.refugee.or.jp

 上のサイトを参考にすれば難民申請中は単身で月48,000円の生活費と上限6万円の家賃が支給されるとあるので、審査期間中に一定額がもらえるという部分については事実。ただしその額は単身世帯か4人世帯かによっても違うし、上限額もあって日本においてはことさら多いといえる金額ではない。そもそも法的根拠が無いともある。

上記サイトより抜粋

 japannewsnaviの煽りを間に受けると「難民申請さえすれば申請者全員が4年間の審査期間中に月85,000円がもらえる」と取れる訳だが、上の図を見れば丸々4年でもなければ難民申請者全員がもらえる訳でもない、保護費支給までに時間もかかることが分かる。事実といえる部分は一部あるが半分嘘といえる質の悪さであり、ニュースナビなどと名乗る価値は無い。

何が問題で、何が問題ではないのか

 日本における難民を取り巻く環境は目くじらを立てるほど良いものでは無い。常識的に考えて、難民認定されればその辺の社会人よりももらえるなどと言う甘い話は無い。このような外国人あるいは難民に対するヘイト誘導は裏金問題のような別の問題から矛先をそらす狙いがあるのではないだろうか。生活保護もそうしたヘイト誘導、ガス抜きの対象にされやすい。

 我々が目の敵にするべきは弱者ではなく、まともに生きている人間がセーフティネットにかかるレベルの弱者よりも生きづらいような社会、それを作ってしまった政治家たちである。

 一方でクルド人による治安悪化は本当に問題だと思う。1人しか知らないが難民申請を繰り返しながら川口市に住民票もなく20年在住、フェラーリやボートを乗り回しているようなのがいるのは明らかにおかしい。当人いわく会社は妻のもの、高級車も船も株主から提供されたと言うが一体どうなっているのか。先日は「日本死ね」と叫ぶデモか何かの動画がXで拡散されていた。日本に来ておいて日本という国の一部になる気が無い、あくまで自分たちの我を通して国でも作ろうという自称難民は強制送還すべき。

 外国人というだけで差別的な扱いや迫害をすることは禁止されてしかるべきだが、自らそうした扱いを受けるだけの行動をすれば反発は生まれて当然だ。

 なお、病院前にクルド人100人が集まって乱闘騒ぎという話もあったようだが(ソースがゲンダイというのも何だが)一部報道によれば喧嘩が大きくならないように止めに来た親族や友人らだったらしい。それでも簡単に100人集まるのはどうなのか・・・放っておけばもっと集まったのかと思うとそれはそれで怖い。

gendai.media

 記事の最後でビッグボスなる人物は日本の報道姿勢にご不満のようだが、日本人の感覚からしてヤンキーでも喧嘩で100人はなかなか集まらない。しかし彼らの中ではそれが全く不思議ではない、むしろ善処した部類。その辺りの認識の違いは大きい。大手マスメディアがクルド人側に一切話を聞かないのはそれはそれでどうかと思うが。

嘘を嘘と見抜けなければ

 年収450万円未満で暮らす日本人も多い中、japannewsnaviの煽り記事のような話を聞けば頭に来るのは当然と言えば当然だが、こうした情報で瞬間湯沸かし器になってアクセス、拡散してしまうと思う壺になる。それで引っかかる人間が多いと実際にそれで稼げてしまうので、発信者はより扇った記事を書くようになる。重要なのは一時の怒りにまかせて拡散することではなく、まず情報の発信源(今回で言えばjapannewsnaviが何モノか)を確認し、別の根拠があるかどうか裏取りをすること。そうしなければ「嘘を嘘と見抜けない」。

 今やGoogle検索もあらゆるサイトもYouTubeもゴミ同然の広告であふれ返り、昔のような検索してそれなりの情報が出てくる時代は終わっている。その中では結局オールドメディアの配信する記事、公的機関や公式サイトが発する情報が信頼のおけるものであって、まずどこが発信しているかがひときわ重要になっている。

最近チェックしている/した作品

 漫画、アニメを少しは見ているがそれらについて出来るだけネタバレしないように感想でも。

呪術廻戦

 知らない人向けにざっくり説明すると「呪い」とそれを祓う者たちの物語。

 ジャンプで連載中の方を追っている。今は最終決戦の真っ只中。終わりが近いので作品への評価は固めやすい。現時点で個人的な評価をすれば粗は目立つものの概ね面白い。ツッコミ所が無い訳ではないし展開の粗さやキャラ造形のツギハギ感はあるものの、何だかんだ言って「ここから先どうなるの・・・?」と思わせるものがある。なのでヒット作ではあるし注目もされ続ける。

 ただし第ニの鬼滅と言われる程ではないと言うか、「呪い」というテーマからして万人向けではないしグロテスクな要素も多い。ダークファンタジーらしいと言えばダークファンタジーらしい感じで私は嫌いではない。

 ちなみに萌え系の女性キャラはほとんど出て来ない、出番が少ない。イカした男性多めでどちらかと言えば女性向け。というか作者が女性。

葬送のフリーレン

 アニメは3話まで、原作漫画は最新話まで履修。これも第ニの鬼滅といえるほど万人向けでは無いがまあまあ面白い。内容をざっくり説明すると、仲間の死をきっかけに人間をもっと理解したいと決意したエルフの魔法使いが、かつての仲間の魂に会うために旅をする話。

 盛り上がるシーンはあるものの、基本的には旅をする魔法使い一行の日常という感じで戦闘シーンがふんだんに無いと物足りないとか、もっと濃い内容を求める人には不向き。それよりかは人間同士の交流、心の理解から来るような柔らかい感動が欲しい場合に良い。そういう場面は丁寧に描写されている。

 かと言って戦闘シーンが無い訳でも手を抜いている訳でも無いのだが、魅せる必要があるシーン以外ではすごくあっけなく終わる。日常も戦闘も、長命であるエルフの時間感覚を擬似体験させられているかのようにあっさりと流される場面が多い。情報量の多さに慣れた人間にとっては少々物足りないが。

 なので人によっては「何が面白いのか分からない」で早々に観るのをやめてしまう。

 個人的に楽しいと感じる部分は、エルフの主人公と人間の感覚のズレから人間の心への理解が少しずつ拓ける所、魔法がある世界への解釈。前者は私自身の感覚がエルフに近い( )ので。後者は魔法がある世界で魔法の発展過程や攻撃・防御のロジックがある程度しっかりしている所。厨二的な魔法陣は出るが詠唱*1は無いので共感性羞恥もあまり感じずに済む。

 露骨すぎる性的要素が無い点は万人向けといえる。強いて言えばユーベルは多少狙ってる感はあるが、子供と観るのも問題ない程度。フリーレンやその他の女性キャラを見て性癖が歪む可能性はあるがそれはいずれ他でも歪むレベル。もう1人の主人公は女性だが丸い。顔もフォルムも丸い。

ダンジョン飯

 冒険者の一行が訳あってダンジョン*2の最深部まで急いで向かわなければならない状況に陥り、そのために食料を現地調達=魔物を調理しながら行く話。

 魔物と言われて一般的に連想される多くの生物をいかに調理して頂きながら進んで行くかが面白い。まったくの架空生物をあえて調理してみようという試み、決して新しくは無いが解釈の仕方に幅があるのでその辺りを楽しめる。あと主人公の好奇心が悪い意味でヤバい。

 逆に「魔物」全般に詳しくなければあまり楽しめないかも知れない。たとえばセイレーン、ケルピー、ゴーレム、スライム。エルフですら一般人にはどういう種族か分からないとも聞くので、ファンタジーに興味がない人間には合わないか。フリーレンに出てくる魔物は独自要素が強いのでこの辺は気にする必要がない。

 なお、主人公一行にエルフがいると葬送のフリーレンと共に話題になった事もあるが厳密にはダンジョン飯のマルシルはハーフエルフ(人間とエルフのハーフ)である。長命には変わり無いらしいが雰囲気や描かれ方は違う。フリーレンは超マイペースなクール系(というか恋愛も含めて感情自体が希薄)。マルシルは周りに振り回される感情豊かな少女で恋愛にも強い興味がある。

マッシュル

 ハリー・ポッターのような魔法世界で魔法を一切使えない主人公、マッシュ・バーンデッドが平穏な日常を取り戻すため、力業であらゆる局面を乗り越えていく話。後半はオリジナリティが強くなって来るが序盤の魔法学校編はハリー・ポッターへのオマージュが非常に強い。

 世界観的には[ 魔法が使えないマグルの数>>魔法使いの数 ]のハリー・ポッターとは真逆で、むしろ魔法が使えない人種が少数派かつ差別される世界。そんな世界で魔法使い相手に笑えるレベルの力業で立ち向かっていく姿がギャグマンガとして面白い。主人公の性格もマイペース過ぎる上にブレないので良い。

 ただ1つ興ざめな点があるとすれば、主人公が血統主義的な出自であったこと。ただの魔法使えない脳筋マイペース人間が力で魔法をねじ伏せるのが面白かったのに、結局その出自は只者ではなかったという点で少々醒めた。それにしてもやる事が毎回毎回おかしいのだが。創る側の立場から見れば、そういう出自のほうが何かと大事に巻き込む理由が出来て良いのだろう。

 ハリー・ポッター以外では鋼の錬金術師も読んでおいた方が楽しめるシーンがある。

余談:漫画やアニメが流行る理由

 昔と違って大人も漫画やアニメを楽しむ時代になって久しい。これは何故か。理由は複数あるが大体が少子高齢化の根本的な原因と繋がっている。要は「お金が無い」のだ。

 失われた30年とも言われる低迷の中でも遊ぶためには金が必要なのは変わり無い。しかしお金に余裕は無いし、多少あっても将来への不安から財布の紐は硬い。そこであまりお金をかけずに楽しめる娯楽が流行るのは当然のことで、マンガ、アニメ、ゲームといったものが娯楽の主流になる。

 上の世代が言う「日本人が幼稚になった」はそういう意味では正しいが、一方で「大人になるべき者が大人になり切れないような社会にした」のもまた上の世代と言えよう。だから古い作品のリメイクが流行ったりもする。今の年齢的に大人である人々が子供だった頃に流行っていたアニメ、ゲームのリメイクが多い。本来は子育てに振り向けられる筈だった経済力、しかし中途半端な経済力ではそもそも結婚できない。余った経済力は趣味へと向かう。

 何にせよ、マンガを読んだりアニメを見たりして世界観に浸っている内はつまらない現実を忘れられる。ゲームに集中していれば面白くない世界から目を背けられる。それが大流行する世の中がどうにかならない限り、まだしばらくこの流れは続く。

*1:滲み出す  混濁の紋章  不遜なる狂気の器ナントカカントカ的な

*2:地下にある入り組んだ遺跡で一般的には魔物の巣窟

ツイ速由来のデマ

 Xで「鈴木財務大臣が『円安の原因はNISAにある』と発言」したというような内容がトレンド入りし、NISAに早くも規制が入るのではという憶測が飛び交っていた。

 しかしこの内容、リンク先を見ればツイッター速報というまとめサイトばかりで、まともなニュースサイトの記事リンクが1つも無かった。Xではツイート自体に「デマです」とコミュニティノートが付いている。

 ツイッター速報はたびたび事実を誤認させる方向で煽るまとめ記事を作成し、Xで人々の怒りを煽って拡散させてアクセス数を稼ぐ手法を取っている。これまでも一次ソースとは異なる内容で何度かトレンド入りしたのを知っている。私は一次ソースがどこかに気をつけているので釣りデマだと理解できたが、まとめサイトはXに限らず様々な場所からアクセス可能なのでこうした内容には気をつけたい。

 一次ソースとして挙げ得るのはロイター通信の以下の記事。

jp.reuters.com

(記事題|為替円安、新NISAだけに変動要因求めること困難=鈴木財務相

 内容を一部引用すると

鈴木俊一財務相は19日、新しい少額投資非課税制度(NISA)が年初来の為替円安を招いているとの指摘が出ていることに対し、「新しいNISAだけに変動要因を求めるということは困難」との見方を示した。

 とある。日本語の読解能力がある、あるいはあえて事実をねじ曲げる意図が無ければ鈴木財務大臣が「NISAに円安の原因がある」などとは欠片も言っていない、むしろそうした指摘を否定していることが理解できる。

 鈴木財務大臣の発言を誤認させるようなソースらしきものが他に無いか探したが、FinancialJuiceという海外の投資系メディア、それも英語で書かれた数行のツイート程度だった。それもネット記事ですら無いので取るに足らない。

余談:汚職議員の沈黙

 地元区議らに現金を配って公職選挙法違反で逮捕された柿沢議員が裁判所で黙秘している。

news.yahoo.co.jp

 黙秘権を行使することは自由だが、起訴内容を認める一方で詳細の解明に非協力的な態度はいかがなものか。検察側がイラっと来るのも分かる。普通の感覚で言えば「答えを差し控えさせていただきます」などと言うのが通用するのは国会くらいなものだ。こういう議員を見るに、やはり国民は国会議員を甘やかし過ぎなのかも知れない。少なくともこいつは二度と当選させないで欲しい。本当はこういう人間を一発で実刑にするべきなのだが、どうせ執行猶予付きの判決が出るのだろう。

雑多な時事ネタ

 雑記。細々とした内容について

確定申告会場で文句を言う日本人

 自民党の裏金問題をめぐって、政治資金収支報告書の修正だけで済む=追徴課税が無い、裏金が課税対象とならないことへの批判が税務署職員に向けられる場面があった。

news.yahoo.co.jp

(リンク切れ対策| 記事題:議員は非課税「不公平」 確定申告会場で批判相次ぐ)

 気持ちは分からなくも無いが、税務署職員に言ったって仕方がないと思う。彼らに制度を変えることが出来る訳でもないし、彼らへの抗議内容が政治家へ伝わる訳でもない。そんな相手にいくら上に対する文句を言っても相手を困らせてしまうばかりで何も変わらない。

 かと思えば裏金問題に関してデモをしたとか、国会議事堂の前に集結しただとかそんな話は一切聞かない。私もあまり人のことを言えないが、言っても何にもならない所で文句を垂れて、選挙では結局自民党に入れる。一体何がしたいのか。政治家、特に自民党の政治家は国民の怒りを全くもって真に理解してはいないと思うが、その理由は国民が正しい形で怒りの意思表示をしないことにもあるのかも知れない。

 Xでは「確定申告ボイコット」なんてタグも見かけたが、そんな事をしても損をするのは自分だけ。どうせ言い出しっぺはさっさと済ませてるか、大した事のない内容を来年あたりに過去へ遡っての申告でもするのだろう。

 私は医療費控除のために既に申告を済ませた。2023年の医療費は約24万円でした(アトピー性皮膚炎治療の注射薬で1月2万円かかる)。

 政治資金収支報告書については修正がある場合、追徴もするべきだと思う。もちろん普通の税と同じ基準で。連座制についても必要。連座制にしなければ今回のように会計責任者になすりつけて逃げられる。政策活動費についても具体的な内容を1円単位で明らかにするべきだ。事務の手間がどうのとは言わせない。インボイス制度と同じ苦しみを味わってもらう。

伸び悩む野党

news.yahoo.co.jp

(記事題:「支持政党なし」最多の 52%ナゼ? 小渕優子議員「野党転落を思い出す」……自民支持率“最低”の 24% 野党は受け皿になれず)

 自民党の致命的な不祥事の一方で、野党の支持率は伸び悩んでいる。この原因は明確で、彼らが国民に対して自民党に取って代われるレベルの明確な将来へのビジョン、政策を打ち出していないからだ。そういえば「マニフェスト」という言葉をしばらく聞いていない気がする。もちろん、この将来へのビジョンの中には「消費税を即刻廃止する」といったような非現実的な人気取り政策は含まれない。あくまで現実的な路線でなければ国民は納得しない。

 同時に、国民にはどこかで「野党も結局はやることが自民党と変わらないのでは」という見方がある。よく「誰がやっても一緒」というが、その一言にそうした意識が隠れている。そしてこれは間違いとは言い切れない。結局、野党の政治家も現役世代の感覚を理解するには歳を取り過ぎており、浮世離れしている。支持を広げるためには現役世代の感覚に即した少子化対策や経済対策が求められるが、それが出来ないのなら支持は伸びない。

 本当に政権交代を狙うのであれば、現役世代の候補者を立てるまで行かずとも2、30代の政策アドバイザーくらい雇ってはどうか。

 それぞれ異なる伸びない理由もあるが。参政党、れいわ新選組あたりはビジネスで野党をしようという臭いがするし、どちらも信者の発言が異常。立憲民主党は問題のある議員が多く(特に原口)旧民主党の悪い部分がそのまま。国民民主党は良くも悪くも目立った人材がいないし、維新の会は劣化版自民党共産党は論外。「反共は時代遅れ」などと言うが共産主義そのものが時代遅れも甚だしい。いくら旧統一教会問題で対決の構図を作ろうとしてもムダ。共産主義勝共連合ももろとも日本国民にとっては敵。

広がる貧困

news.yahoo.co.jp

(記事題:神奈川の中学2年生「10人に1人が貧困家庭」 県が初調査、支援ニーズ把握へ)

 これだけ見ると「なんだ、10人に1人くらいは貧乏家庭くらいあるさ」と思うかも知れない。しかし記事をよく読むと調査サンプリング数が4,320件。このうち回答したのが1,715件(約40%)。なので実態はもっと酷い可能性がある。調査するにも調査に回答するだけの余裕が無ければ応じてもらえない。

 加えて「貧困」と見なされる基準について記事には

貧困率は、2022年の世帯所得の中央値の半分(187万5千円)以下で暮らす世帯の割合。

 とある。「年収」ではなく「所得」なので注意。これは果たして妥当な基準なのだろうか。根拠が無い訳ではなく今までもこの基準を適用して様々な調査が行われて来たのだろうが、では世帯所得200万円の世帯は「貧困ではない」のか。何とも、「貧困は広がってなんかいない」「格差拡大なんかしてない」と言いたい人間にとって都合が良さそうな基準だ。

 給与所得の算出方法に基づいてざっくり計算してみると、年収280万円で所得が188万円になる。あくまでざっくりした計算だが、世帯でこの所得なのにむしろ結婚子育てしている世帯がある方が個人的には驚き。

悪質な永住者の永住権取り消し

www3.nhk.or.jp

(記事題:故意に税金未納や滞納繰り返した場合 国が永住許可取り消しへ)

 記事では「永住者になっても税金や社会保険料を納めなかったり、資格を取り消されない、窃盗など1年以下の懲役や禁錮にあたる罪を繰り返したりするケースがある」ため、これに該当する外国人の永住許可取り消しが制度化されるとある。

 え・・・?今までは野放しだったんですか?日本国民からはこれだけふんだくってキッチリ追徴もするのに?まあ、悪質な輩に退去を迫ることが出来るのは良いことだ。ただ永住許可を剥奪されたからと言って、彼らが大人しく母国へ帰るかはまた別問題だろうが。クルド人とかマジでどうにかしろよ。

 逆に言えばそれだけ永住する外国人は増える見込みであり、税・社会保険料を納める限りは外国人に永住して欲しいと政府与党は考えている訳だ。技能実習生制度から育成就労+特定技能の制度へ移行し、将来的に外国人の永住者が増える見込みであることは以前の記事でも紹介した通り。

manuller416.hatenablog.com

統一教会問題

 文科省は旧統一教会(現:世界平和統一家庭連合)を指定宗教法人に指定する方針で調整に入った。

news.yahoo.co.jp

(記事題:文科省、旧統一教会を「指定宗教法人」に指定へ 財産の監視強化)

 旧統一教会については2023年10月に裁判所へ解散命令請求が行われている所だが、2024年2月20日時点でまだ裁定は下っていない。その中で指定宗教法人への指定は今さら感がある上に、より扱いの厳しい特定指定宗教法人への指定では無いあたりに甘さを感じずにはいられない。

 安倍元総理暗殺事件が発生したのは2022年7月8日。現時点で1年と7ヶ月が過ぎている。あまりに動きが遅い。

日経平均高騰と景気

 日経平均は歴史的な高値をつけている。記事を書いている時点で約38,458円と1991年以降で最高値。一方で実質賃金は下落を続け90年以降で最低水準。

www.nikkei.com

(23年の実質賃金2.5%減、2年連続減 90年以降で最低水準)

 円安による物価高もあって、実感としても景気が良くなったという感じはしない。日経平均株価実体経済はますます乖離している。アベノミクスが始まった当初は日経平均が上がっているから景気は回復に向かっているんだ」と言われていたものだが、今やそれも手垢のついた嘘という感じ。未だにそう言ってる人間がいるが何が見えているのだろうか。そういう人はいわゆる”上級国民”か。

2024/2/20日経平均ヒートマップ

 なお、日経平均ヒートマップを見て見ると主として上がっているのは電気機器つまり半導体関連。医療機器は第一三共が上がっていておそらく決算が良かったために上がっている。その他の上がっている業種も業績の情報修正を受けて、あるいは半導体が関連するゆえに多少上げている感じか。ごく一部の業種とアメリカの株高に牽引されて株高になっている。最近で言えば中国の投資家からの資金流入もあるだろう。逆にダウ平均が下がれば日経平均も下がる。アメリカ市場に付いてくるオマケのおもちゃ。

 政府はNISAで庶民に投資を呼びかけているが、国内の株式市場は特定の分野に投資しなければ儲けることは難しい。伸びない業種に投資してもムダ。日本政府は日本政府でアメリカ株に投資しているようなので、手を出すならアメリカ株では。もっとも、有名な所は既に手をだすのが難しいほど高騰しているが。

 投資で資産所得倍増などと言うが、まず投資できるほどお金に余裕が無ければそんな事は夢のまた夢。それもあくまで自己責任、儲けたら儲けたでおそらくそこに課税しようと目論んでいるのだろう。どこまでも格差是正に消極的で何かと金を取ることしか考えていない最悪の政府だ。

 ちなみにNVIDIAの株価は記事を書いてる時点で約726ドル。日本円*11株約108,900円スーパーマイクロの株価は今は約800ドルだが数日前は1,000ドルを超えていた。株約150,000円。ファ~wwwwww。まだ手を出しやすいARMで1株約128ドル=19,200円。買うとすれば100株~なのでそれだけで約200万必要になる。金持ちしかそんな投資は出来ない。まさに金持ちがより金持ちになっていく世界。

*1:1ドル150円換算

替え歌:千の金になって

私の所得に税を 課さないでください

そこに所得はいません 稼いでなんかいません

千の金に

千の金になって

この社会の中を

吹き渡っています

 

毎月肥やしになって タンスに降りそそぐ

いずれ老後のための きらめく財になる

今は株になって あなたを儲けさせる

先は富になって あなたを支える

 

私の所得に税を 課さないでください

そこに貯蓄はいません 貯めてなんかいません

千の金に

千の金になって

この 社会の中を

吹き渡っています

この 社会の中を

吹き渡っています

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 Xで見かけた画像からFull verを作りたくなって考えてみた。大きな声で歌うと楽しい?かも知れない。「千の金」は千円札を連想させるが、しみったれた現実には合っているのでは。個人的にお気に入りは「そこに貯蓄はいません 貯めてなんかいません」。

 なお現実は「千の税になって」。所得税、住民税、社会保険料と風は強まる一方。飛ばされる金はますます多く。勘弁してくれ。無能は千の風になってくれ頼むから。

 

教育勅語の是非

 X (旧Twitter)で不定期に盛り上がる話題の1つに教育勅語の是非に関するものがある。それも今回の火種は杉田水脈議員。日本国旗をアカウント名に入れた自称愛国保守の皆さまがこれに同調して多数のツイートをしているのだから気色悪い。

そもそもの話として

 教育に関しては既に現代に合わせた教育基本法が制定されており、1948年(昭和23年) 6月19日には教育勅語の失効を確認する文書が国会から出ている。記載されている発行の経緯としては「既に教育勅語等は失効はしているが、その失効に疑義を持つ者がいるので念のためここで明示する」というような流れ。

教育勅語等の失効確認に関する決議(第2回国会):資料集:参議院

 つまり教育に関しての教育勅語の出番など今さらどこにも無い。内容に関する正当性をもってして教育勅語復権を図ろうなど愚かな話。国会議員たる者がこうした流れを顧みず復古主義的な思想に流れることは嘆かわしい。一体どこの誰の代表者でいるつもりなのか。国会議員は主権者たる国民の代表者であって、大日本帝國における天皇の忠臣では無い。天皇陛下の忠臣にでもなったつもりか?

 身の程知らずが。今、現代日本における国会議員であるという自覚が足りない。それでいて教育勅語に準ずるような善良で賢明な日本人のつもりでいやがる。教育現場に必要な金も人員も回さず、教育勅語に沿った教育が様々な問題を解決するための一番の近道などと抜かす。極めて不愉快。極道に道徳を説かれたような気分だ。

現代でも通じる内容はあるか

 前述した内容に尽きる気がするが、では教育勅語の内容に関して現代に通用する内容はあるのだろうか。

 「教育ニ関スル勅語」は、元はと言えば勅語つまり天皇の政治的権威をもってして定められた教育方針である。杉田水脈氏らが引用している画像はあくまで都合の良い要約であり原文はこのような箇条書きでは無い。「朕惟フニ」、つまり「天皇である私が思うに」で始まるもので下記サイトに現代語訳が載っている。

www.tarojiro.co.jp

 保守を自称する者たちが投稿に貼り付けている画像には記載されていない(あえて載せていないのだろう)が、原文には

「我カ臣民、克ク忠、~(我が臣民はよく忠であり、~)」

「独朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス(ただ天皇である私の忠実で順良な臣民であるだけでなく)」

とあり、終盤で「天皇の子孫も臣民もともに(この在り方を)守り従うべき」としている。つまり教育勅語は日本国民が天皇の従順な臣民であることを奨励するものであり、純粋な教育方針の策定というよりは国家主義を掲揚するためのものと言える。

 実際、教育勅語全体の流れを要約すると

  • 神話的な国家観の提示
  • 国民がよき臣民であることの礼賛とそれを教育の根源とすること
  • 天皇および国家に忠実で道徳に厚い臣民たる在り方の教示
  • 順良な臣民であることが祖先に対しても誇りであるということ
  • 勅語そのものを絶対視させるための権威の発露
  • 天皇として臣民と一体となってこの道徳を体現する決意

という感じか。教育に関するくだりはどちらかと言えばおまけ、人々に「これは確かにそうだ」と思わせるための部分。実際に言いたいのは道徳に関して示した一文の最後、

「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(非常事態のときには大義に勇気をふるって国家につくし、そうして天と地とともに無限に続く皇室の運命を翼賛すべきである。)」

であろう。

 本質的な部分は現代日本の政治体制=民主主義、国民主権とは相容れない。君主制も神話的な国家観も80年前に死んだのだ。いつまでその亡霊を引き摺っているのか。いつまで帝國臣民のつもりでいるのか。

 結局、「現代でも通用する内容」というのは都合の良い切り取りであって、やっていることは自称愛国保守の彼らが嫌うマスコミと大差無い。「なに一つおかしなことは書かれていない」は大間違い。

 問題無いと思える内容の部分についても本質的には国家主義的体制の下における価値観の押し付けであり、特に都合の良い要約verでも最後の一文、「正しい勇気をもってお国の為に真心を尽くしましょう」は明らかに現代の感覚に合わない。そう思わないのはもはや救いようが無い。

 それはそうと、あのような内容を日本国民が実践できるような国、社会を自民党政治は壊し続けて来たではないか。百歩譲ってよき臣民たる生き方も良しとしよう。しかしそれが可能であるためには政治経済も良くなければならない。国民に教育勅語のような道徳を押し付けられるほど国会議員、特に自民党公明党の政治家は相応の仕事をしているのか。して来たのか。そう思っているのなら甚だ大間違いだ。お笑いにもならん。追い詰めるだけ追い詰めておいて今さら出来もしない綺麗事を抜かすな。精神論でどうにかしようとするのはそれこそ戦時中と同レベル。

生ける亡者

 教育勅語を賛美するような復古主義的な流れを愛国保守とは認めない。最低限の道理も分からぬゆえに路頭に迷い、過去を美化することに囚われてそこに現代の諸問題を解決する手段すら求め、現実に合わせて物事を考えること、価値観を改めることを放棄した者は生ける亡者である。

 彼ら自身はそれでも「誇り高き日本人」であるつもりなのだろうが、まだこの国において「日本人であること」はそこまで特別な事でもない。私だって日本人だし、善良な日本国民は少子高齢化こそすれそこら中にいる。それでも彼らはXのユーザー名に日本国旗を入れたりなんかして、日本人であることを誇張したがる。自尊心の拠り所がそこにしか無いのだろうか。一周回って憐れ。

 見方を変えれば彼らもまた悪政の被害者の一員と言える。そのような状況になってしまった責任の一旦は政治に無いとも言い切れない。国家が危機に瀕すれば危機感を覚えるのは自然であるし、その過程で保守的な思想に寄ってしまうのは理解できる。しかし今、我々が目指すべき道は過去の帝國への逆戻りでは無い。国民1人1人が民主主義国家の主権者たる立ち位置を理解し、政治参加をもって国を変える、政治を変えさせることが必要ではないか。

 それにしても万が一、今から天皇制に戻したとしても今上天皇は困惑なさるのではなかろうか。政治の現状を見ればその方がうまく行くのではとさえ思えるレベルだが、こうもボロボロにされてから「どうにかしてください」と国権を渡されてもどう思われるか・・・

 耐え難きを耐え、忍び難きを忍び(現在進行系)