ヤマネコ目線

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転売ヤーをやりたい気持ち

転売ヤー擁護の記事ではございません。

転売ヤーが湧く理由

 今、問題になっている「転売ヤー」、彼らのような人間が出てくるのは正直理解できなくもない。私はしていないが今の世の中、真面目に働くのがバカらしくなるほど取られるものが多過ぎる。

 特に社会保険料と住民税。消費税だって今や10%だ。世の中、モノの値段は上がっているのに給与の水準は上がっていない。むしろ下がってすらいる。そうなると相対的に若年層が貧困化するのは必然で、そこでせめて社会保険料が関係ない収入源が欲しい」と考えるのは当然であろう。住民税や所得税からは逃れられない(逃れるべきではない)が、社会保険料から逃れられるだけでも大きなものになる。

 そこで収入源を転売で得るのか他の方法で得るのかが問題になる訳で、転売はその点、他人のふんどしで相撲を取る分、楽な方法と言える。ただ、転売ヤーはどう考えても”悪”なので、やるにしても黙ってやれよとは思う。そこで変に自己正当化しようとTwitterなんかでお気持ち表明とかするから叩かれる訳で。

 擁護ではないが、転売のような事をして儲けない限り豊かな生活を送るのが難しい、まともに仕事をするのがバカらしい今の社会も十二分におかしいと私は思う。副業解禁だの一億総株主だのとふざけた話が出て来るのも、そういう状況の裏返しに他ならない。私自身、転売はしていないが何でお金儲けをすべきかずっと考えている。株はやっているがそれ以外でも収入が欲しい。クルマ買うにしても今や軽でも200万円以上する時代、それでも初任給はうん十年前とそう変わらない。性能や先進装備などの違いはあれど、こんなのおかしいに決まってる。

 パパ活だの詐欺だのが流行るのもそう。社会的にまっとうに働く事の価値が下がってしまっている。それがどんどん世の中を悪くしている。

自己正当化への反論

 話がそれたが、転売ヤーの自己正当化への反論を改めてしておく。ついでついで。

転売ヤーに供給を絞る力はない」

 半導体に関して言えば、何の問題もなく半導体が供給されている状態であれば確かに転売ヤーにそこまでの力は無いかも知れない。しかし半導体不足の現在、実際に半導体原料は取り合いの状況にあり、メーカー側が明らかに苦慮するレベルで供給自体が逼迫している。転売ヤーはそれに乗じて買い占めを行い、供給を更に逼迫させている事は疑いようがない。

 一時期問題になったマスクや消毒液なども同様。転売ヤーによる買い占めが供給に悪影響を与えていないとは言えない。むしろ供給が細った所を狙って買い占め、価格の釣り上げを行うので本当に悪質である。

「小売業と変わらない」

 代表的なやつ。小売業は確かにメーカーと消費者の間にある存在で、売値に人件費や経費+利益を上乗せする事はある。しかし、店頭価格がメーカー小売希望価格から逸脱するような事はありえない。利益を乗せるにしても、不当かつ過剰な利益を上乗せしてはいない。「小売と変わらない」と言うならメーカー小売希望価格で売ってみろよ。出来るもんならな!

 加えて小売業は製品の流通を手助けしているのであって、あえて流通を妨げて希少性を付与し、価格を不当に吊り上げるような事はしていない。消費者が製品を購入する機会を不当に奪ったりもしない。転売ヤーはその点、メーカー側からすれば製品の流通を阻害し、他の消費者側からすれば価格に不当な利益を上乗せするだけで、両者に明らかな損害を与えている邪魔者でしかない。なぜ転売ヤーは悪かはこの点に尽きる。得をするのは転売ヤーだけであって、そこには商品価値に関する価値などなく、ひたすらメーカーと消費者に一方的な損害を与えている。それが「悪」でなくて何なのか。

「流通の手助けをしている」

 「俺たちは購入する機会を与えているんだ」?いいえ、転売ヤーが買わなければ本当に製品を欲しがっている人が買える機会が多くなる。転売ヤーが買うだけでそれは誰かの機会を奪っている=損害を与えているに他ならないし、取り寄せは小売り店のサービスを使えば事足りる。

 話が反れるが、たまに見かける「ネットだとこの価格なんだけど」とか店員に話かけてる奴、見苦しい。実店舗なので人件費や電気代その他もろもろ経費がかかるので、そこで多少の利益を上乗せせざるを得ないのは当然の事。そこで全く条件が異なる通販サイトの価格を提示して値切り交渉するのは本当にみっともない。それもいい年した男がやってたりするから余計に見苦しい。だったら通販で買えよと思う。

「市場価値=転売価格なんだから問題ない」

 これも違う。流通を妨げ、市場価格を意図的に操作している分際でよくもそんな事を言えたものだなと思う。「市場原理」という言葉を持ち出すならそもそも前提が違う。市場原理は誰しも自由に物の売買が出来る状態で正常に働くのであって、転売ヤーによって意図的に歪められた市場を前提としてはいない。「自由に」という言葉がミソだが、そこに転売ヤーの存在が含まれると思うのは都合の良い解釈でしかない。

 もしその自由に転売ヤーが含まれるとしても、メーカーが需要に応じて供給を増やして価格の高止まりを抑えようとしている努力さえ阻害する転売ヤーに、市場原理などという言葉を持ち出す資格はない。需要と供給の間に挟まる邪魔者でしかないのだから。

「古物商と変わらない」

 この手もたまに見る自己正当化の1つ。簡単に言えばBOOK OFFや骨董品店がやっている事と変わりないと言い張る訳だが、これも苦しい。

 そもそも古物商に該当する商売は転売ヤーと違って新製品の市場への供給を妨げてはいない。そういった商売は既にメーカーからの供給が途絶えたものを市場に再投入するからこそ価値があるのであって、そこには時間的な要因から来る希少性から大きな価値がつく事もある。転売ヤーの「市場流通を意図的に妨げる事による希少性」と古物商における希少性は違う。

 この点、むしろ古物商は古い製品の品質管理・修繕によって、経年劣化によって落ちた製品の価値を元に戻しさえする。そこにもまた新たな価値が発生するため、製品の価格がそれに応じて上がるのは当然の摂理。一方で転売ヤーは在庫管理こそすれ、そこで製品に新たな価値を付与する事は一切ない。

「投資と変わらない」

 半分正しく半分間違い。投資と同様に損をする事もあるある種の賭けには違いないかも知れない。ただ株式投資について言えば、転売ヤーのような社会の害悪によって意図的に市場価格が混乱させられる事は無い。基本的に市場原理にもとづいて株価は動いている。

 

今の世の中、転売ヤーやるのは止めはしないが、やるならやるで社会にごめんなさいという感情を持ちながらひっそりやって欲しい。そして不良在庫を抱えて◯ね。