ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

左手デバイスを作りたい

Arduino IDE のコードの記載はありません

 以前から少しずつ進めているのが左手デバイスの自作。既存のものを買っても良いのだが地味に高かったり、イマイチ使い勝手が悪そうだったりする。なので自分でより安く、使い勝手の良いものを作ってみたい。という訳で少しずつ勉強している。AIいじりも楽しいのでなかなか前に進まない・・・というか前の記事書いたの去年の8月かよ・・・。

 以前の電子工作関連の記事は↓

manuller416.hatenablog.com

ロータリエンコーダを使う

 左手デバイスで必ず付けたいのがロータリエンコーダ。一般的にはツマミというか、つまんで時計回り/反時計回りに回すやつ。マウスのホイールもロータリエンコーダ。ちなみに買ったのはこれ。2024年4月現在で1個100円。

ロータリーエンコーダ(24クリックタイプ): 制御部品・駆動部品 秋月電子通商-電子部品・ネット通販

 原理については下記サイトを参照されたい。

ロータリエンコーダ編(原理と構造) : オムロン制御機器

 付けたい個数は絵を描くことを想定して

  • 拡大/縮小
  • キャンバスの左回転/右回転
  • ブラシサイズの大/小

の3つ。で、最初になんとなく「こんなもん、適当に繋げば動く動く」と思って繋げてみたらイマイチ動作が不安定だった。

 原因はチャタリング。我々は普段、当たり前のようにスイッチをON/OFFしている。しかし物理的な構造である以上は理想的なデジタル信号が出るとは限らない。というか通信であれ何であれハードウェアにおいては理想的なデジタル信号などおそらく存在しない。だって現実(物理)はアナログなので。

 たとえば金属を使用している場合は小さいパーツでも振動することがある。その振動が信号として伝わると短い時間にON/OFFが繰り返されて、思わぬ誤作動に繋がる。通信においてはアイパターンなんかで調べると面白い。

 「言うてそんなごくわずかな振動なんか認識出来ないだろう」と思うのは甘い。今回使用したマイコンのCPUはクロック周波数16MHz、比較的低スペックなものではあるが、1秒間に1,600万回のペースで動作する*1。かたやチャタリングはms*2単位=1,000分の1秒単位の現象なので、CPUはこれを信号として認識できる。ちゃんと処理しないと時計回りに回した時の動作が反時計回りに回しても行われることになる。

 「ロータリエンコーダ チャタリング」で検索すると解決方法を記してくれているサイトがちらほら。今回参考にしたのはこちら。

sheep-me.me

 チャタリング対策にはハードウェア的な対策、ソフトウェア的な対策があるようだが、この方が紹介しているのは前者。ソフトウェア的な対策はどうしてもコードが煩雑化するので避けたい。ハードウェアで対策する方が楽。一般的にはソフト側で対策するのが基本のようだが*3

 紹介されている方法は2つで、まずロータリエンコーダのA相、B相の間に0.01μF*4コンデンサーを挟むこと。もう1つがシュミットトリガを挟むこと。後者の方が誤作動は少なくなるようだが部品点数が増える上に回路が複雑化する。正直、原理がどうこう以前に面倒くさい。

 という事でとりあえずコンデンサーを挟むだけの方法を試してみた。これだけではどこがどうか分かりづらいので回路図を以下に示す。

 少し分かりづらいがそれぞれのロータリエンコーダA相、B相をデジタルピンに接続し、コンデンサー(青い楕円)を介してGNDと繋いでいる。真ん中の足は元からGNDに接続する用なのでGNDに接続。

 使用しているマイコン*5の割り込みピンは0、1、2、3、7。割り込み処理ができるようにプログラムしておくとこれらのピンのいずれかに変化が起きた時、それまで実行している動作を中断して特定の動作をさせることができる。つまりどのロータリエンコーダを回した時でも思ったような処理が入る。なお、割り込みピンは各エンコーダそれぞれ1つで足りる。

 実際の動作はと言うとこれだけでほぼ完璧に誤作動が無くなった。強いて言えば時計回りに回した時に、稀に逆時計回りの動作が1回入る時がある。実用上は問題ないレベル。

 なぜコンデンサーでチャタリングが解消するか。解消と言うよりはチャタリングが抑えられていると言うべきだがこれはコンデンサーという部品の原理から知る必要があり、かなり沼にハマるので割愛する。

 回路を組んだ後はそれぞれのロータリエンコーダに割り振った割り込みピンに変化が生じた際に割り込み処理が起きるようにして、A相B相の排他的論理和を取れば回転方向が分かるので、その結果に応じて場合分けして処理をすれば良い。

蛇足

 人間と関わるよりもこういう事をやっている時がずっと楽しい(人間不適合者並の感想)。

 まったく関係無いが、私が子供の頃にアニメが流れていたZOIDSが最近になって熱い。昨日、デスザウラー(作中で最強クラスに位置づけられるゴジラみたいなやつ)のキットが新しくなって予約開始された。お値段33,000円と決して安くは無いが、この時代に今やほぼ手に入らないキットがリフレッシュして復活は素晴らしい。

 旧世代のキット(現在のシリーズよりも前のもの)は金型がタイにあったのが洪水に遭い、ほぼ全滅したと風の噂で聞く。つまり旧キットは絶版状態。プレミア価格がついている。実際、ある程度の人気はありながらも復刻されたキットはごくわずか。今回のキットも基本的なデザインは踏襲しながら新造していると思われる。価格は高いがそれにみあった希少性がある。

youtu.be

 PV。まさか令和6年になって大塚芳忠氏の声がギュンター・プロイツェン役で新録されるとは。ノリノリで「私の1/72フィギュアも付属する」と言うあたりがツボ。素晴らしい。子供ながらに氏の声の渋さに憧れたものだ。プロイツェン、アニメでは小者?的な立ち位置に思えるがバトルストーリーの方の最期は漢。

Amazonで予約すると30,000円を切る。ポチった。正直もう1個買おうか迷う。

*他のサイトでも予約可能(タカラトミーモール等)

*出品者選択に注意。Amazon公式であればポイントが付く

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%88%E3%83%9F%E3%83%BC-TAKARA-TOMY-ZOIDS-%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%B6%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/B0CZXC9336/ref=sr_1_27?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=3SMKPJTCVTE9A&dib=eyJ2IjoiMSJ9.4zjIiH2sBN3q9zkjUgwkjCigF9V1hzYpIsJSNitC8lePYipTgvc-DVirQ53u5oEmImYiQ1mMAfTfZqeue-FVoNtqdRGtGxoMgBmV6G_vAUCnaWN0ibavIlbjxBs-FnL5P20DnneYqOR_-g_rouptR-1bTHB0vljoxvBFw0KehwzC5llyqDvmkCyY4At4y98Lrkj-3LKHSnBYvPvbph5t_9Rs6CqCye0h76txmoz3LskatoFuxDGad2wVsTjFbGO2l6Wvgrge_qmHikHh1kJhXhdmO82ssq4h_M0E1XRWQxk.ZR4qS5RclLL2XAPpdPtSaOxVF8RPlrh4KeTlyW8Aqqc&dib_tag=se&keywords=%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%B6%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%BC&qid=1712803350&sprefix=%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%B6%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%BC%2Caps%2C171&sr=8-27

*1:実際はクロック周波数=処理の速度ではないが目安にはなる

*2:ミリセカンド

*3:ハード的にやると部品点数が増えるのでコスト増に繋がる

*4:マイクロファラド

*5:マイクロコンピュータ

マイナ保険証絡みの無駄金

 厚生労働省がマイナ保険証の利用が増えた病院に対し、最大20万円の一時金支給をする。「検討」ではなく「支給するとしているので既に決定事項のようだ。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「マイナ保険証」利用促進 最大20万円の一時金支給へ 3月の利用率は5.47%と伸び悩み)

またマイナ絡みで余計な金

 マイナンバーカードは利便性の欠如によって利用が停滞し、安全性の面でも不満が出て信用を失っている。これに加えて政府は保険証をマイナ保険証に統合して利用を半ば強制し、更に不信感を抱かれている。ポイント付与などで利用率を上げようとしたがそれもうまく行っていない。マイナンバーカード自体が偽造される例も出ており、根本的に制度として信用が無い。

 今回は病院に一時金を与えてキャンペーンを行わせることで利用率を上げようという試みのようだが、根本的に間違っている以上はこれも失敗に終わるだろう。記事によれば医療機関における呼びかけやチラシで利用を促進し、マイナ保険証の利用者が増えたクリニックに対しては最大10万円、病院に対しては最大20万円の一時金が支給されるとある。

 では、ここで日本全国にはどの程度の数のクリニック、病院があるか見てみよう。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/21/dl/02sisetu03.pdf

 「病院」と「クリニック」の違いはざっくり言えば「病床が20以上あるものが”病院”」で、それ未満あるいは無床のものがクリニック。上の図では「一般診療所」がこれに当たり、それぞれ数は

・病院の数は全国で約8,200件

・クリニックの数は全国で約172,000件(歯科含む)

 一時金支給の要件までは分からないが、これらのうち半数の病院とクリニックでそれぞれ一時金が満額支給されると仮定すると

4,100(件)×20万円 + 86,000(件)×10万円 =94億2,000万円

 にもなる。実際はマイナ保険証に信用が無いのでここまでうまく行かないにしても、このくらいの金をマイナ保険証利用促進のためとして払う気でいる訳で、このような遣い方をするならもっと日頃の負担を減らせと言いたい。どの役所も無駄に予算を確保し過ぎ。税金を無駄にするために仕事してるのか。

マイナンバーそのものの是非

 マイナンバー(個人番号)制度自体は2011年(旧民主党、野田政権)から出て来た話だが、自民党がそれを引き継いで久しい。先に書いておくがこの期に及んで「民主党が悪い」と言うのももはや無理がある。安倍政権だけでも民主党から政権を奪還してから7年、その後に菅政権、岸田政権と続いている。安倍元総理が政権奪還をしたのが2012年12月でほぼ2013年としてもそこから現時点で11年。その間でマイナンバー制度に対する印象は大して変わっていない。

 利便性向上がまったく無い訳でも無いが一般人が実感できる利便性は限られており、どちらかと言えば政府が国民を管理しやすいようにするための制度という印象が強い。政治への不信感・不満が募っている中では国民にとって「後からどのような不都合が出てくるか分からない」という不安の方が大きく、制度そのものの是非以前にそれを運用する政府からして国民から信用されていない。

 マイナ保険証については保守(という名の政府の太鼓持ち)から従来の保険証と比べてなりすましを防げる=外国人が偽造保険証で不正に日本の健康保険制度を利用することを防げる、という意見があるが、マイナンバーカードそのものが中国人によって偽造されていた事が発覚しておりその主張には無理がある。

 これからマイナンバーカードの券面を刷新するらしいが、それもどこまで偽造が難しいものになるのか。そのために一体どれだけ税金を投じる気なのか。あらゆるサービスを個人番号に紐づける以上、それが悪用された時のリスクも大きく不安が尽きない。

 マイナンバーカードを保険証として使用する場合は専用のオンライン資格認証読み取り機が必要なのだが、その機器の導入にコストが掛かるため小さい医療機関では設置が進まず、どこの医療機関でも使える訳ではない事もマイナ保険証の利用が停滞している理由の1つ。このカードリーダーの存在にも利権が絡んでいるのではないか。

余談:「誰がやっても一緒」の正体

 政治なんか誰がやっても一緒、どこがやっても一緒という意見がある。正直その意見にもモノ申したいが、そう思うことも理解できなくは無いので難しいものがある。ではこの感覚の正体は何なのか。

 結局、日本という国は行政機関、各種省庁、特に財務省経済産業省あたりからして腐り切っているのではないだろうか。政治家はあくまで選挙で選ばれる。曲がりなりにも彼らを選んだ責任は我々国民にある。しかし行政の実務を担う各省庁の役人は選挙で選ばれる訳でも無ければ、国益を第一に考えている訳でもない。少なくとも財務省の人間が国益を考えていると感じた事は無い。

 そうした腐り切った行政に政治家が動かされてしまっている現状がある。本来は逆で、国民の代表者たる国会議員が行政を支配するべきではないか。それが国会では官僚が用意した紙を読み上げるだけで行われているのは「議論」ではなく「茶番劇」。官僚の言うがままに予算編成し、増税社会保険料を繰り返す。政治家は物事における最低限の道理すら弁えず、金になりさえすればそれで言いと言わんばかりにふんぞり返って自分達のやりたい事だけに夢中。

 こうした現状を変えられない限り、確かに「誰がやっても一緒」だろう。政権与党が変わっても官僚は変わらないのだから。この辺りを官僚と敵対するでもなく、なおかつ利用されるでもない政治家が出て来なければ本当の意味で政治が変わることは無い。

 かなり難しいように思うが、かと言って今さら自民党の政治家の考え方や在り方を変えさせることは不可能。「政治家に良識を持たせよう」とするのではなく、国民の力で「良識ある政治家を押し上げる」ことが必要だ。

「台湾の方が日本よりも震災対応が早い」は本当か他

 台湾で発生した地震に関連して、現地の避難所と思しき写真がXで話題になっていた。曰く「日本で発生した能登半島地震では床でごろ寝だったのに、台湾の避難所ではもうテント的なものが使われている」と。

隣の芝生は青く見える

 こうした意見に対して台湾の実情を知る人々からの反応は異なるものであった。

 実際、NHKの報道の画面キャプチャ左下を切り取ると以下のようなロゴが見える。

 加えて宗教団体の名前でggって出てくるのが以下の検索結果。

 以上から避難所のテント、確かにこの仏教団体が提供したと思われる。本部があれば支援も厚いのは納得。政府行政の力というよりは運良くNGOの本拠地が近い避難所だったから支援が早かっただけであり、これをもってして日本の災害対策がことさら遅れていると主張するのは無理がある。

 日本政府の対応が遅かったと言いたい気持ちは分からなくも無いが、他所と比較して批判するのであればその論拠がしっかりしていなければならない。

裏金議員の処分が甘い

 まったく話が変わるが裏金問題でニ階・安倍派への処分が固まりつつある。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「絶対に許さない」「判断がひどい」党内で岸田首相へ怒り渦巻く 首相に責任求める声やまず 裏金処分決定から一夜)

 詳細はNHKの記事が詳しい。

www3.nhk.or.jp

 安倍派の衆参それぞれのトップだった塩谷立氏、世耕弘成氏が離党勧告。下村博文西村康稔が1年間の党員資格停止。高木毅が半年の党員資格停止など。これだけ見ても正直、甘いと思わざるを得ない。国民が求めているような処分では無い。

 派閥において上に行くほど責任が重いとして厳罰に処することも分からなくは無いのだが、特にこの軒並み最低でも1,000万円は超えるような裏金づくりをしていた連中が1年だの半年だのの党役職停止程度で済まされるのは一体、どういうつもりなのか。特に萩生田光一松野博一の処遇に関しては国民を舐めているとしか思えない。

 「党役職停止」という処分は問題の安倍派議員が既に党の役職を退いているため実質ノーダメージ。役職が停止されるだけなので選挙に出ることは可能。

 これ以下の処分=戒告で済まされている議員も裏金が500万、800万を超える連中がごろごろいる。和田義明、大塚拓にいたってはほぼ1,000万円。

 昨日、テレビを見ているとこれらの処分に関わった自民党議員が「我々だって仲間を処分するのは辛い。厳しすぎるのではという声もあった」、などと言っていた。彼らの中ではこれでも厳し過ぎるくらいなようだ。

 そもそもこれらの処分は自民党が勝手に決めているに過ない。それも身内割引ありで、これから基準を作って糺して行こうという気も感じられない。

news.yahoo.co.jp

(記事題:【独自】「離党勧告」処分の塩谷立文科相が「再審査」請求へ 自民党の処分に不服 午後記者会見へ)

 塩谷氏はそれでも不服なようで党に「再審査」を要求するらしい。往生際が悪いが、裏金自体は 234万円 なので明らかにそれより多い連中が軽い処分で済まされる中、一番重い処分を下されることに納得がいかないのだろう。

 全員まとめて政界を引退してくれればそれで良いんだけどな

 裏金にかかる納税はしない。追徴も払わない。連座制の導入もしない。ニ階も岸田も処分を免れる。政策活動費はハナから明らかにする気も無い。本当に厳しい処分とはどんなものか、我々国民が次の選挙でしっかり教えてやる必要がある。

 なお、昨日成立したNTT法改正によって研究内容の開示、外国人役員の規制緩和が決定した訳だが、これに関する議論を推し進めたのが萩生田光一である。

 通信は安全保障に直結する。今や兵士1人でも無線機無しには戦えない。それをこれから防衛力を強化していこうと言う時に競争力強化の大義の下、明らかに逆行するような方向へ推し進めた連中が私は許せない。そいつらが同じ口で経済安保だの防衛増税だのと言い出すのは我慢ならない。

写真:春の息吹2024

 今回は春の植物を適当に撮っただけの記事。なお無断転載・使用等は遠慮願います。そもそもはてなブログに貼れる画像サイズ小さい・・・小さくない?

 当初、このブログはフォトブログにするつもりだったのだが、どちらかと言えば文章を書くのが好きなこともあってついつい政治的な愚痴が増えてしまった。春の植物の写真を撮ったので、たまには原点に立ち返ってみる。

 オオイヌノフグリ。至るところで青く可愛らしい花を咲かせている。「イヌノフグリ」という別の植物と似ている上に少し大きいのでオオイヌノフグリ

 決して「デカい犬の金◯」では無い。イヌノフグリは果実の形状が犬の◯玉に似ているからそう名付けられたとか。あんまりだ。Wikipediaイヌノフグリの果実の形状が載っているが今の感性で見ると青りんごに見える。

 縁石とガードレール基礎のコンクリートの間から顔を出しているツクシとスギナ。種類で言えばスギナがメインであり、ツクシはスギナから出る胞子茎を指す。同一種が全く異なる外観で生えてくるのは面白い。春の風物詩だがかなりしつこい雑草でもあり厄介者。

 上の写真のほぼ等倍クロップ。ツクシの先端は開き切っていて胞子を放出した後。

 別の場所のツクシ。望遠でF値を8まで絞っていたので少々背景がうるさいが勘弁して欲しい。本当はもっととろけるような背景ボケが理想。

 ほぼ等倍クロップ。いい感じの開き具合。カメラを使うと目で見るよりも観察しやすい場合がある。使用したのはSONY  α7IV+FE100-400 F4.5-5.6 GM

 また別の場所のツクシ。ヒメオドリコソウオオイヌノフグリも同時に入れた欲張りショット。

 ヒメオドリコソウ。至るところで見かけるが実は明示時代に定着した外来種で、ヨーロッパ原産。

 別角度から。ツクシ、ヒメオドリコソウオオイヌノフグリが生えて来ると春が来た、という感じがする。

 ヒメオドリコソウ、ツクシと一部にヤハズエンドウ ( カラスノエンドウ ) の葉が映り込んでいる。カラスノエンドウは古代では食用として栽培されていた形跡があるらしい。

 ほぼ等倍クロップ。似た花にホトケノザがあるがあちらの方が花弁?は長い。

 桜。有名なソメイヨシノとは別種だが正直、種類が多すぎて何という種類か分からない。

 花弁の形状はオーソドックスな感じ。樹形は箒型?の低木。

 ロウバイ。漢字で書くと蝋梅。由来は花びらが蝋細工のようだから、あるいは臘月(陰暦の12月)に梅の香りの花を咲かせるからだとか。分類学的には梅がバラ目なのに対し、こちらはクスノキ目。

 確かに蝋細工のようで少し透明感ある花が雅。

 アブラナ。「菜の花」はアブラナ科の花の総称でセイヨウアブラナを含む。正直、見分けがつかない。セイヨウアブラナだったりして。

 画面左側でとまっていた蝶。おそらくキタテハ(黄立羽)。人間ウケする柄ではないものの、分類上は蛾ではない。蛾はチョウのうち特定の種を除いた残りの呼び方。

 少し調べたが、アブラナかセイヨウアブラナかの見分け方がイマイチ分からない。アブラナはどちらかと言えば野菜として育てられ、セイヨウアブラナは油の採取目的で栽培されているらしい。

 花にとまっていたハチ。先ほどの桜もそうだが近寄るとミツバチ?の羽の音がブンブン聴こえる。

 フキノトウ。フキの花の蕾で古くから山菜として親しまれて来た。漢字で書くと「蕗の薹」で薹は花茎を意味する。

 ほぼ等倍クロップ。食べごろは少し過ぎているか。なお、蕗は水溶性の毒を含んでいるため生食はあまりするべきではない。この毒は熱処理しても無毒化されづらいため、熱処理のみで食べるなら少量にすべき。

ふき・ふきのとうはあく抜きして食べましょう:農林水産省(PDF)

 おそらくアカヤシオツツジの一種。

 ムスカリ。これも咲いていると春だなという感じがする。遠目で見るとぶどうの房のようで可愛らしい。人類最古の埋葬花とされ、花言葉は海外ではネガティブなものが多い。

 ほぼ等倍クロップ。つぼみの段階では丸くてぶどうの実のようだが、花弁が開いて来るとドロワーズのような感じ。

-----ここから神戸市の王子動物園で撮った写真-----

 桜。おそらくソメイヨシノ。もうほぼ咲いている。週末あまり天気が良くなさそうなのが残念。

 別の場所から。桜と言えばソメイヨシノという感じがするが、いざ花びらを観察するとピンクというより白が多い。遠目に見れば中央部の濃い色もあいまってピンクには見える。

 その辺の植え込み。日に照らされた新緑が美しい。葉っぱ1つにしてもやたらと光沢があるもの、そうでないものがある。私は光沢ある葉の方が好きだ。風に揺られて陽光をキラキラ反射させている光景が良い。

 咲きかけのマーガレット?フランスギクは暑さに弱く日本ではほとんど栽培されていないらしい。

 おそらく西洋サクラソウプリムラ・マラコイデス。マゼンタの花弁と黄色の中心部という1株で2度映えるやつ。

 パンジー。これも園芸種として広く親しまれている。生まれからして園芸家が映え目的(悪い言い方)で野生種を交雑させた結果生まれた品種。様々な色があって良い。パンジーも地味に毒がある。

 品種が分からない。

 おそらくキンギョソウ。金魚のような花をつける事からそう呼ばれるらしい。英語では Snapdragon とも。驚くことに食用品種もある(花びらを食べる)。

 ワスレナグサ?明示時代にヨーロッパから伝わった園芸種。オオイヌノフグリとはまた異なる良さがある。

 少し離れた位置から様々な色の花を入れて。これだけ見ると凄く多くの花が咲いているように見えるかも知れないが、望遠で撮っているから誤魔化せているだけなのは注意して欲しい。

 しかし今どきの子供はなかなか・・・春休みの宿題なのか知らないが、動物園でタブレットで写真を撮ってそれを見ながら水彩絵具で動物の絵を描いている。

 天気が良ければ神戸布引ハーブ園も行きたいのだが。え?もちろん1人でですよ?1人で。主に神戸に行くのはマヌルネコに会いに行くことが目的なのであまり機会は無いのだけども。

 王子動物園の最推し、マヌルネコのイーリスくん。春なので換毛が始まっており、一番寒い時期に比べれば少しほっそりして来ている。にも関わらずこのモフみ。

 飛びつきたくなるような太くてふわふわそうな尻尾。体躯のわりに太く力強い足、後ろ足の裏に入ったオレンジの差し色がおしゃれ。イラストではグレーで描かれることが多いが体毛は白、黒、褐色、アイボリーあたりが複雑にグラデーションを描き、視覚的に岩と一体化している時がある。何より顔が良い。可愛さとカッコ良さが同棲している。

 大きさ的にはイエネコより大きい程度だが野生種なので飼えない。もともと病原菌の少ない高地に生息するため病気に弱く、これだけ触りたくなるモフモフさながら飼育員でも直接触ることは無い。

 隣にいるシベリアオオヤマネコを警戒してあまり動いてくれないのが残念だが、タイミングが良ければ活発に動く姿が見られる。ほとんどの場合は展示室奥の岩壁、上の端っこから動いてくれない。もし会いに行くならまず上を探すべき。

 動物を撮影する場合はフラッシュ、AF補助光はOFFに

センスの無い奴ら

 大阪維新の会の集会での吉村知事の発言が注目を集めていた。曰く

「今批判している名前は言いませんけど、モーニングショーの玉川徹。今批判するのはいいけど、入れさせんとこと思って。『入れさせてくれ』『これ見たい』と言っても、もうモーニングショーは禁止。玉川徹禁止」

と。多くの批判を呼んだ結果、知事は発言について釈明している。

news.yahoo.co.jp

 大阪万博には多額の国費が投入されており、内容や費用に関する批判もここでは書き切れないほど多い。全国からの注目を悪い意味で集めており、その中での今回の発言は万博を私物化していると非難されても仕方ないだろう。大阪万博は維新が主催の維新のイベントでも無ければ、吉村知事のホームパーティーでも無い。

 実際に出禁にする権限がなかったとしても、知事の立場にある人間がそういう発言をたとえ冗談でも口にするのは報道に対する不当な圧力と取れる。同時に報道に対して「批判に偏り過ぎている」と非難さえしており、万博に関するネガティブな報道の原因を潰すのではなく、万博に関するネガティブな報道を潰したいという思考のようだ。

 こういう人間が上に立つとどうなるか。民草が本当に解決して欲しい問題はいつまで経っても解決されず、報道も萎縮して問題が問題だと認識されづらくなるだろう。問題を解決する気などなく、むしろ問題を起こしてそれを知られるのを妨げようとする。

 また、大阪万博は日本国内だけのイベントではない。万博は「万国博覧会」の略であり多くの国が参加する。当然ながらそれ相応の数の海外メディアからも目を向けられている訳で、こうした質の低い冗談が出るだけでも外聞が悪い。問題視されてからもやっていることはあくまで「釈明」であって謝罪は無く、反省の色がまったく見られない点は非常に印象が悪い。

 これに関連してXでは維新の馬場議員が余計な擁護?をしている。

 維新関係者からすれば件の発言は「大阪ジョーク」らしい。私は奈良県民でお笑いセンスは関西だと思っているが、残念ながらこの大阪ジョークは何が面白いのかサッパリ分からない。関東の人からすればなおさらだろう。

 知事の発言はどちらかと言えば身内の間=維新関係者の中だけでウケる「維新ジョーク」であり、組織の外と内を敵と味方に分けて考えており閉鎖的なものだ。維新関係者にはさぞかし大ウケだった事だろうが、それ以外の人間は笑えない。これを「大阪」ジョークと言うとまた反感を買うのが分からないあたり本当にこいつらはセンスが無い。政治もお笑いもセンスゼロ。

 なお、重箱の隅だが It's a Osaka joke ではなく It's an Osaka joke だという激しいツッコミ?も見られた。オーコワ・・・

 至極個人的な見解だが、大阪万博はIR、カジノの用地整備のために維新が仕組んだ話だと思っている。夢洲整備のために国家規模のイベントである万博を誘致してしまえば、大阪府だけでなく国費を投じてカジノのための用地整備が出来る。たった半年間の開催期間が終われば建物はすべて解体してカジノに建て替えれば良い。万博自体にも余計な税金を湯水のごとく使い、懇意にしているシロアリ企業に餌を与えられる。一体何の博覧会なのか。恥か。失政か。

川勝知事の発言

 くすりとも笑えないジョークの次は職業差別的な発言が静岡県の川勝知事から出てきた。曰く

「県庁はシンクタンク。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」

 と。これに対しても怒りが広がっている。

news.yahoo.co.jp

 このような発言をする人間、知性が高いとは思えない。知性と言うか人としてどうかと思う。川勝知事はおそらく何かを激励したり褒める際に、別の何かを批判したり貶めたりするタイプの人間なのだろう。昔はそれでも通用したかも知れないが、多様性、互いを尊重することが重要視される現代ではこのようなモノの言い方は公人として通用しない。

 小売業(野菜を売ったり)、畜産業・農業(牛の世話をしたり)、製造業(モノを作ったり)、いずれも社会において重要な産業であり、それぞれの産業に応じた知識、スキルが必要になる。県庁職員には県庁職員なりの能力があるに違いないが、それ以外の産業で働く人々と比べてどちらが知性に優れるだの、どちらが劣るだのと単純比較できるようなものではない。知性だけで人や物の価値を図ろうというのはあまりに短絡的。

 自らがトップを務める組織で職員を激励するためにそれ以外のあらゆる産業を貶め、物事を極度に単純化して価値の何たるかを理解せず、以前から失言が問題視されているにも関わらず、公人としての立場を弁えずにこのような発言をする。本人は知性ある大人のつもりかも知れないが本質は幼稚なガキだ。

 人間なのでうっかり口が滑ることもあるとは思うが、川勝知事の問題発言は今に始まった事ではない。今年度から失言に関連してサポート役としてのポストが新設されたばかりだった。

www.yomiuri.co.jp 

(記事題:静岡・川勝知事に「サポート役」、言動把握や危機管理担う部長級の新ポスト創設へ)

 2019年には「県議会にはヤクザもいる、ゴロツキもいる。そういうゴロツキと一線を画してバンバンやってほしい」「反対する議員は文化力がない」「反対する人がいたら県議会議員の資格がない」と発言して後に撤回、陳謝。

 2020年には当時の菅総理日本学術会議の任命拒否をした件に関連して菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見したということではないか」「学問をされた人ではない。単位のために大学を出られた」と発言して揉めに揉めた結果、発言の一部を撤回して陳謝。

 同年12月、県としてはコロナウイルスに関連して不要不急の帰省を控えるように求めていた一方で自身は長野県へ帰省。

 2021年、リニア新幹線を巡る有識者会議において静岡県側と異なる主張をする学者を「御用学者」呼ばわりし、会議から外すよう主張。

 同年6月の集会ではかつて静岡県文化芸術大学の学長だった頃の話を持ち出し、「顔のきれいな子は賢いことを言わないときれいに見えない。ところが全部きれいに見える」などと容姿と学力を結びつけるよう発言をして後に発覚、問題化。

 同年9月に新型コロナウイルスに関するワクチンについてアナフィラキシーショックが怖いので打たない旨を公言。県としては県民にワクチン摂取を強く推奨しており、その姿勢の違いから批判を呼んだ。

 同年10月、自民党の支持基盤だった御殿場市について「あちらはコシヒカリしかない」と発言して問題化。御殿場市静岡県東部にあるのだが・・・。

 これ以外にも細々とした問題を多数起こしており、これだけいろいろあっても自身の立場や話の内容を見直せないあたり知性があるのか疑うレベル。誰が言ったか「恥性ならある」。氏は知性を物事の価値の中心に据えたいと思っているようだが、その価値観に従うのであれば県知事を辞職すべきであろう。

余談:人の振り見て我が振り直せ

 Xでは川勝知事の発言に対して、「こんな奴を選び続ける静岡県民が悪い」という論調で静岡県民全体を批判するようなツイートも散見された。

 しかし他人のことを言えるのだろうか。国政に目をやると失政に次ぐ失政にも関わらず、問題発言もあらゆる不祥事も容認して国民は自民党公明党を与党に選び続けている。今日も裏金問題に関する甘すぎる処分についての記事があった。

「全員処分すべき」85人中39人だけ“半数処分見送り”の自民党方針が波紋 不記載額500万円未満の処分見送りに「甘すぎる」の声(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース

(記事題:「全員処分すべき」85人中39人だけ“半数処分見送り”の自民党方針が波紋 不記載額500万円未満の処分見送りに「甘すぎる」の声)

 自民党公明党の政治によって失われて来た30年、40年を考えれば川勝知事の失言癖などむしろ可愛いものにさえ見えて来る。政治に不満を抱きつつもいつまでも政治を変えられず、同じ過ちを繰り返し続ける国民に静岡県民だけを愚かであると笑う権利はない。

 人の振り見て我が振り直せ。国民自ら国政においても、地方の政治においても不届き者には鉄槌を下していく必要がある。

平和のための外交努力

 今年7月に開かれるNATO首脳会議に岸田総理が招かれる予定であると報じられている。一部の自称平和主義者はこれに対して「うわ、またとんでもない事を約束して来やがるぞ」と否定的なようだ。

news.yahoo.co.jp

平和のための外交努力とは何か

 では、平和を維持するための外交努力とは一般的にどのようなものがあるか。整理してみよう。

  • 対話、協議
  • 条約等の締結
  • 国際機関の活用
  • 外交政策
  • 国際的な連携

 一番重要なのは対話、協議つまり話し合いである。対立や紛争に関して互いにチャンネルを開き、継続的に問題解決を図ることが必要。

 条約等の締結は対話・協議の結果の1つと言える。不可侵条約や軍縮条約などがこれに当たる。ただし状況が変われば離脱もあるし、戦争が起きる際は破られることが多い。ヴェルサイユ条約、日ソ不可侵条約、ブダペスト覚書、歴史を振り返ると過信はできない。

 国際機関の活用は国際連合や関連機関を通じて国家間の対話や問題解決を図る手法。国際的な非難によって事態の風向きが変わることはあり得る。現在で言えばイスラエルによるガザ侵攻が国際的に厳しい視線を向けられているか。ただし常任理事国による拒否権の行使によって常任理事国関連の問題は解決しづらい欠点がある。

 外交政策は友好関係の構築や国際的な信頼を得るための政策があたる。紛争解決の支援、地雷除去などの戦後支援、インフラ開発支援などによって相手国の発展に寄与し、それをもって相手国と友好的な関係を築くだけでなく国際機関を活用する際の協力も見込むことが出来る。

 国際的な連携は国連も含めて平和と安全を維持するための活動。PKOはもちろんの事、NATOのような条約機構も含まれる。ASEANも経済だけでなく安全保障共同体の構築を目指す動きがある。

 全体的に見ると平和の維持には予防、交渉、武力衝突への歯止めと大きく分けて3つ程度の手段があることが分かる。これらの内で確実に武力衝突を避ける手段と言えるものはあるだろうか。無いのでは。

 この点、岸田総理がNATO首脳会談に参加することも外交努力の1つと言える。NATO加盟国の争いに巻き込まれるだの何だのと言うのか知らないが日本は加盟国ではないし、目的が中国に対する牽制であることは明らかだ。

「話し合い」が出来ない自称平和主義者

 自称平和主義者は「外交努力」という言葉を好んでつかう。彼らは外交努力を「口先三寸でどうにかすること」だと認識しており、たとえプーチン習近平のような相手でも”うまくやれば”戦争を思いとどまらせることが出来ると考えている。抑止力向上を必要無いと考えているのは、対話で解決できる=それ以外の手法にコストをかけるのは無駄である、という思考なのかも知れない。あるいは単純に軍事忌避教育の賜物か。

 話し合いだけではどうにもならない現実が目に入っている筈なのに、そうした意見を頑として曲げようとせずに彼ら自身が一番話が通じないのは何たる皮肉か。一面的な「正しさ」だけで何事も押し通そうとし、交渉の余地が無い。彼らが「話し合い」と呼ぶものは彼らの正しさを相手に一方的に受け入れさせるための過程というだけであって、本来の意味での「話し合い」では無い。

 また、彼らは戦争に至るまでの過程、判断の重さを軽視している。いくらプーチンやネタニヤフその他の戦争を望む指導者であっても、指導者はひとたび戦争を起こせば自国民、少なくとも自国の兵士に犠牲が出ることは理解している。そこで人命と自分がやりたいことを天秤にかけて、なお戦争を起こすことを取るような人間がどのような話し合いで鉾を納めると言うのか。人命が失われても国家としての利益を追求することを選ぶ以上、それを止めるためには相当な理由が必要となる。「俺なら説得で何とか出来る」だの「酒をくみ交わして話し合えば」だのと言うのは青二才以下の発想である。

 能登半島地震の対応に関して的外れなアドバイスを連発していたように、そういう人間に限って実際にやらせてみるとうまく行かない、逆に丸め込まれる、不利益をもたらして反感を買う。もし本当に口先だけで戦争さえ止められるような有能な人間ならば、横から文句を言うだけの立場に甘んじてはいるまい。

 以前にも書いたが、そもそも「平和」の定義が自称平和主義者とその他大勢とで違う可能性もある。目指す方向が根本的に違うので話し合いが最初から頓挫しやすい

manuller416.hatenablog.com

余談:スイスの安全保障政策

 こうした話題になるとよく出てくる国がスイス。スイスは国際的な紛争から距離を置く=中立国となることで資産を預ける場所として信頼されるようになり、第二次世界大戦でも戦火を逃れて金融国としての地位を築いた。このため資産の保管場所としてあらゆる国から攻撃を受ける可能性を減らしていると言える。

 しかし第二次世界大戦中でも後でも、スイスはのんびり何の備えもしなかった訳ではない。「中立国」という言葉を曲解した連中はスイスをさも非武装の中立国であるかのように扱うが、実際は全く違う。武装中立であり国民皆兵、兵役が終わっても有事の際は招集。家庭用核シェルターがあり国境には対戦車用障害物、トーチカが常設と日本よりもはるかに要塞化が進んでいる。

www.swissinfo.ch

jp.reuters.com

 自称平和主義者たちは「中立」という言葉に憧れるようだが、中立であるということは争いの当事者にならないという事であり、なおかつ誰の味方もしない誰からも味方されないという非常に難しい立場。

 日本がスイスのマネをしようとしても立地の面、政策の面で不可能だろう。アジアにおける金融の中心でもなければ、国としての大きさも位置も全く違う。今からやろうにも時間が足りないしそもそも政治は腐っている。中国からすれば海洋進出のために邪魔なことに変わりは無い。

The True Size Of ...

 地図上で各国の実際の大きさを比較できるサイト「The True Size Of...」で日本列島をヨーロッパに重ねてみるとこうなる。スイスは面積的には九州と同じくらい。大きさだけ取ってもこれだけ違うところ、その他あらゆる要素を無視した上に誤ったスイス観にもとづいて、「スイスを見習え」というのは無理がある。

 ちなみにスイスは武器輸出もして来たし、現スイスアームズ傘下のSIG、そのアメリ現地法人SIG Sauerの拳銃 P320 は最近、米軍に制式採用された。

 

機能性表示食品は信用に足るか

 小林製薬の紅麹を使用した機能性表示食品が大問題になっている。「意図しない成分」が混入し、サプリメントを摂取していた100人以上が腎機能を破壊されて入院、2024年3月28日時点で4人が死亡している。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「紅麹」相談3600件超 病院でも...対応に後手? 2カ月後に会見 2人死亡106人入院)

 小林製薬の対応が後手に回っている上、未だに「意図しない成分」とは何だったのか、紅麹をどの企業に卸していてどのような製品に使用されているかが明確になっておらず不安が広がっている。この点は明らかに小林製薬が非難されるべき点だ。

機能性表示食品とは

 事態の行方は逐次観察しておくとして、機能性表示食品とは何かを整理しておこう。

 機能性表示食品は企業が消費者庁に対して表示したい機能に関する根拠を提出し、企業の責任において健康維持・増進に役立つことを謳う食品を言う。消費者庁に対してはあくまで機能性の根拠を提出するだけで審査はなく、個別に国から許可が与えられたものでは無い。

 この点で国が審査を行い、消費者庁長官から個別に認可が与えられる特定保健用食品(トクホ)とは敷居が違う。当然ながらトクホの方が敷居は高いのだが国の審査も完璧な訳ではなく、2017年にはトクホ認証を受けた粉末青汁で肝機能障害を発症した被害がある。いずれも信用して良いかどうかは難しいところ。

トクホの健康被害に関する事例)2ページ【情報1】

https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170803_1.pdf

結局、何を信じれば良いのか

 今回の一例だけをもってして「機能性表示食品は信用できない」と言うのは些か大げさに思うものの、機能性表示食品を謳うことのハードルが低い点には注意が必要だろう。トクホとの違いを知らなかった消費者もそれなりにいるのではないか。企業が独断で謳える以上、私は機能性表示食品を価値ある表示として信用したくない。

 また、健康を増進・維持できるだけの作用があると言うことはそれが悪い方向へ転んだ時の影響も大きいのではないか。薬とまでは行かずとも、それなりに作用を期待するのであれば近いものはある。今回の事例は完全に小林製薬の落ち度だが、既に処方されている薬との相性や自分自身の体質を知らずに機能性のある食品を摂取することもかえって健康被害を招きかねない。

 結局は規則正しい生活、健康的な食生活、適度な運動などの基礎的な生活週間改善こそが健康のための最適解であって、機能性表示食品だの特定保健用食品だのといった小手先のサプリ等に頼ることがそもそもの間違いなのかも知れない。

機能性表示食品の導入背景

 機能性表示食品の導入は第二次安倍政権時に当時の規制改革会議からの提言で行われている。Xでは機能性表示食品への批判と同時に安倍政権批判を展開する例が散見された。

 今回の1件だけをもって「安倍政権の負の遺産」とまでは言い過ぎだと思うが、安倍政権が機能性表示食品という如何にもしっかりした認証を受けてそうな売り文句を許可したことは事実であり、調べない消費者にも一部非はあるものの優良誤認を広めて消費者の利益より企業の利益を優先した、と捉えられなくも無い。

 Xではこの提言を強く行ったのが森下竜一氏だったという資料が挙げられている。当時の肩書はアンジェスMG株式会社取締役。

 氏は大阪万博における大阪ヘルスケアパビリオンの総合プロデューサーでもある。

iyakutsushinsha.com

 正直ただの印象でしかないが、あまり良い感じはしない。

 この巻き添えとして、再生可能エネルギーに関する規制見直しをするタスクフォースの大林ミカ氏が機能性表示食品の推進に関与したとの指摘も見られたがこれは何かの勘違いだろう。機能性表示食品の提言が採用された2013~2016年の規制改革会議のメンバーに大林氏は含まれていない。

www.sankei.com

 大林氏は反原発運動家でありエネルギー問題関連で何かが指摘されるならともかく、機能性表示食品という医療あるいは食品関係での関連したというのは無理があろう。

余談:右翼の色メガネ

 日本企業の不正問題が近年次々と明らかになっている。長年データの改ざんを続けて来たのがバレた、というようなものが多数。ぱっと思いつくだけでも豊和工業神戸製鋼日野自動車ダイハツトヨタ。最近で言えば近畿ツーリストのコロナ事業での過大請求、ビッグモーターの保険金不正請求。

 ここに来て小林製薬がある種薬害のような事件を起こした訳だが、右翼というか愛国保守・兼・陰謀論者にはこれらの不正が「日本企業潰しを狙った攻撃」に見えるらしい。彼ら曰く「日本企業を守るために攻撃された企業の製品を買い支えないと」とか。偏見もここまで来ると恐ろしいものがある。

 あまりに都合の良い解釈で厳しい現実から目を背け、日本と日本に属する個人・組織の善性を盲目的に信じているあたり、彼らが一番嫌う空虚な世界平和理論を信じて疑わない連中と大差ない。