ヤマネコ目線

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雑巾の自然発火

 書き散らし。熊本県で雑巾が自然発火した事故があったので書いて見る。原理的には知っている人は知っている話。危険物乙4を勉強した人なら分かる。

news.yahoo.co.jp

原理

 油は酸化されると熱を発生させる。これが折りたたまれた布や今回のように積み重ねられた雑巾の中で発生すると熱が籠もり、布が燃えるだけの温度にまで達すると発火する。可燃物かつ油が染み込むもの、発火点が比較的低いものなら布以外でも起こり得るので布以外ならOKという訳ではない。紙類でも起こり得る。

 材質で言えば綿は発火点が約260℃と低い*1ので、化繊で出来たものより注意が必要と言える(化繊で出来たものなら注意しなくて良い訳ではない)。発火点だけで言えば新聞紙も約290度と低い。とにかく、油を吸わせた可燃物は積み重ねない、丸めないのが重要。乾燥させずに何なら水を吸わせて捨てる

 熊本の事故では剣道場の床をワックス掛けした雑巾を一度水洗いし、干してから積み重ねていたらしい。しかし記事内でも指摘されている通り繊維の中に染み込んだ油を水で洗い流し切ることは困難というかほぼ不可能なので、水洗いしたからといって油断するのはご法度である。油は水を弾くというのは常識だが、どこかで油断が生まれてしまったのだろうか。事態が発覚した時はさぞ面食らっただろう。

食用油でも発生する可能性がある

 油であれば酸化する時に熱が発生するので、身近なところで言えば食用油でも自然発火事故は起こり得る。揚げ物をした後の油は適切に処理しなければならない。キッチンペーパーや新聞紙に染み込ませて丸めて捨てると、ゴミ箱の中で発火して火事になるという可能性も考えられる。「そんなことするヤツ居ないだろう」と思うかも知れないが、そういう思い込みもまた事故を招く。

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 揚げ物に使用した油を捨てる場合は凝固剤を使用するか、紙製の吸着剤やキッチンペーパーなどの紙に吸わせるなら温度が下がってから行う・油を吸わせてから水の入ったビニール袋に入れて捨てる、などの対応が必要。なお、凝固剤は温度が下がる過程で網目構造が形成され、その中に油が閉じ込められて固まるらしい。原理(SCジョンソン)

 なお、動植物油は第4類危険物に指定されている天ぷら油など(引火点250度以上の食用油)は危険物からの指定を外れている(平成14年に規制緩和)。とはいえ危険性があることには変わり無いし、とにかく可燃物を扱う際は要注意。

*1:化学繊維系なら400度は超える