ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

動物園・水族館での心得

 動物園や水族館を単なるデートスポットと思っている人は多いが、私は推しの動物がいるのでそういう事に関係なく行く機会がある。そうなって来るとマナーの悪さやそういった施設への認識の甘さに気付かされる。今回は啓蒙ということで。

フラッシュ・AF補助光はOFFに

 まず生き物を撮影する時にフラッシュ、AF補助光をOFFにするのは常識レベルの話だと思うが、それが分かってない人間がたまにいる。分かっててやってる人間もいる(聞いてるか遠足お付きのカメラマン)

 AF補助光はAF(オートフォーカス、ピントを合わせる機能)を補助するための光で、フラッシュほどではないがそこそこ光量がある。「そんなの知らない」「切り方が分からない」は甘え。

 フラッシュやAF補助光は人間にとってはどうってこと無いが、それは人間がそういった人工的な光に慣れているし、眩しい光が来るという心構えができるのでどうって事ないだけ。自然界にはほとんど存在しない突発的で強い光は生き物にとっては相当なストレスになる。人間だって、日常生活で不定期にフラッシュを浴びせられればノイローゼになるのではないか。野生動物の情緒は思いの外デリケートなので、そういう事をされると体調を崩すことがある。

 昔、マグロが展示されている水槽でフラッシュが問題視されたことがあったがあんなのは最悪。たしかに水族館内は暗いのでフラッシュを焚きたくなる気持ちは分からんでもないが、薄暗い水中を遊泳中に突然フラッシュを浴びせられればそれは目くらまし以外の何なのか。それも高速遊泳中にそんなことをされればただでさえ見えづらいガラスにぶつかっても仕方ない。

 晴れている日に屋外でペンギンにフラッシュ焚きながら一眼で写真を撮っていたおじさんもいたし。正直そんな晴れの屋外でフラッシュ焚く意味が分からない。ただの嫌がらせか?

ガラス叩き、手遊び、おもちゃ遊びはNG

 動物園でよく見かける行為。動物を自分の方へ来させたい、自分の方を向かせたいと思うのかガラスを叩いたり、車のキーや手をつかって動物の気を引こうとする人間は多い。しかしガラスを叩くのもそういう無用に動物を興奮させる行為もよろしく無い。興奮し過ぎるとエサが食べられなくなる動物なんかもいるので実害がある。小さい子がやっているならまだしも・・・大人でやってるヤツいるんだよなあ・・・。

どちらにも言えること

 カメラのフラッシュ・AF補助光とガラス叩き、手遊びどちらにも言えることだが、そういう事をする輩がよくする言い訳は「ちょっとだけの事じゃないか」。しかしその考え方は自己中心的でやはり他者の(動物など込みで)視点に立っていない。

 確かに人間側からすれば2,3分で前を通り過ぎる動物に対して行うごくわずかな時間の行為なのだが、動物園や水族館の限られた空間に閉じ込められている生き物たちにとってはそうではない。そういうマナー違反をする人間が多ければ一日何回、フラッシュの光を浴びるのか。一日何回ガラス越しに挑発されるのか。生き物たちにとっては一時のことで済まないし、それで疲れてしまう、体調を崩してしまう生き物がいるから「止めろ」と言っている。

動物園・水族館などの施設の存在意義

 多くの人間が動物園や水族館などの存在意義を考えていないのでは?と思う。単なるレジャー施設としか思っていない人間が多い。そういった施設の本来の意義は単なる娯楽ではなく、「世界には実に様々な生き物がいるんだ」という事を実際に眼で見て観察し、大きさを体感して、臭いを嗅いで学ぶことではないか。

余談:許せない一言

 これまで動物園で耳にした言葉の中で一番許せない言葉が

「ここの動物たちみんな寝てるよ。サービス精神ないね」

 は???本来であれば野生でのびのび暮らしている動物達を人間の都合で狭い空間に閉じ込めているのに、そこでなぜある種の被害者である動物達がお前のようなサルにサービス精神などというものを持たなければならないのだ???むしろサービスしろよ???暑い時期に動物園の動物たちがぐったりしているのを見て可哀想と思いこそすれ「サービス精神が無い」だぁ???

 そういう男に限って奥さんと子供連れて歩いてたりするから本当に嫌になる。これは妬みだが本当に何なんだ。

帰国したはずの技能実習生の国民年金請求が来た件

 書き散らし。社会保険関係の手続きはたまにイラっとさせられることがあるのだが、今回は既に帰国したはずの技能実習生の国民年金請求が来たのでネタにする。というか愚痴。書いて発散。

一連の流れ

 技能実習生は入国して働き始めると社会保険に加入するが、そこには当然のごとく年金も含まれる。将来的にもらえる訳でもないのに毎月、日本人と同じ基準で手痛い額を持っていかれる。これがまず可哀想。

 で、帰国するとなれば厚生年金の資格喪失を出して、帰国してからは本人が脱退一時金の請求を行う。要は年金制度から脱退したので、今まで払った分のお金を返してもらう制度。ただし、全額は返ってこない。悪どい話である。

それはともかく

 脱退一時金の請求をするには当然、基礎年金番号が必要になる訳で、そこで技能実習生が帰国した事は分かるはず。もし一時帰国した際に一旦請求したという形でも、再入国の時に年金に再度加入するので脱退一時金が請求されており、その後の再加入も無いならば帰国したとみなすべきではないか。

 そこを年金事務所はしれっと「厚生年金から抜けられたので国民年金第1号へ資格を切り替えました」などと過去形で文書を送って来る。電話でも聞いたが厚生年金とは別なので~ということだが何でそこが連携取れてないんだよ。デジタル庁こういう所こそどうにかしろ。ふざけるな。すーでーにー帰国してるってんだよ!

 そうでなくとも5年以上前に帰国した技能実習生のねんきん定期便はこっちから止めるまで延々送って来るし(前任者はそういう連絡をせずただ捨ててた)、たまにカラー刷りの役に立つ訳でもなんでもない機関紙みたいなの送ってくるし、そういう印刷物の印刷費用、郵送料(後納郵便で届く)でどれだけの費用がムダになっているかを考えると腹が立って来る。

 一応、年金事務所に電話したら帰国済で処理するとの了解を得たが、この辺のいかにもお役所な縦割り業務どうにかならんものか。こういう所こそデジタル庁の出番だと思うが何してるんだあの役所。各省庁で個別にデジタル化が出来ないから、横断的にそれを進めるためにデジタル庁を作った訳ではないのか。gBizIDによる申請も使い勝手カスだし。

ベトナム人が減れば犯罪が減る、か

 書き散らし。日本に出稼ぎに来るベトナム人が減っている。ネットではそれを喜ばしいことのように捉える声が多いが、私は違和感を感じざるを得ない。

nordot.app

安くなった日本

 ベトナム人が来なくなった、来づらくなった理由は単純明快。ただでさえ低賃金悪待遇なうえに日本円の価値が落ちたからである。この記事を書いている時点で為替は1ドル140円後半。すぐにでも150円行くのではないか。これはベトナムドンに対してさえ言えることで、日本円の価値はベトナムの通貨に対してすら下がり続けている。弊社のベトナム人はこれを理由に賃上げを要求して来たりもしているほどだ。ただでさえ少ない仕送りの額が更に目減りするのだから、それは当人たちにとって面白くないだろう。

 これは何もベトナム人だけに言えることではない。諸外国から見て、東南アジアからしても今や日本は出稼ぎに来るだけの魅力がない。今この国がそんな状態にあることを「ベトナム人が減って喜ばしい」などと抜かしているは本当におめでたい頭だ。これまで日本社会を縁の下で支えて来た労働力がさらに加速度的に減っている中で、これまでその安い労働力にどれだけ支えられて来たかも知らず、ただ一側面的な部分だけを見て外国人が減ると喜ぶとは。

 外国人が減って治安も給与体系も良くなるならまだ良いが、現状はそうは思えない。日本人にはますます余裕がなくなって来ており、給与は多くが相変わらず最低賃金付近に張り付き。増えるのは税金・保険料ばかり。余裕がないゆえの犯罪や行動がどんどん増えている。あらゆる点において、精神的・経済的な余裕の無さが国民の行動に表れている。外国人が問題なら日本人はもっと問題だ。政治を根本的に変えることも出来ない、社会も変えられないなら、このままゆるやかにこの国は死んでいく。

「犯罪が減るから良い」か

 日本に出稼ぎに来た外国人が犯罪に走りやすい理由は待遇の悪さもあるが、何より「犯罪でも何でもしないと思ったようにお金を稼げないから」に尽きる。犯罪に走ることは擁護しようがないが、習得の難しい日本語を勉強して借金してでも出稼ぎに来た日本で、明らかに彼ら自身も悪いと分かっている事をしてしまうまで追い詰めてしまうこの社会、これが「美しい国」か。特に最近はその傾向が酷くなりつつあったが、ついに「日本は稼げないから韓国とかほかの国に行きたい」という声が多くなって来た。

 日本という国がここまで落ちぶれた現状。私は日本人として彼らに対して恥を感じずにはいられない。今、この国にいる技能実習生に申し訳なさを感じずにはいられない。素晴らしい国だと思って来たこの国に、彼らはどれだけ失望して帰るのだろうか。「外国人は犯罪に走る」のではない。「外国人を犯罪に走らせる」のがこの国の現状なのだ。何が「ベトナム人が減るなら犯罪が減るから良い」だ。恥知らずが。

 逆に言えば、東南アジアの人々なら犯罪に走らざるを得ないような社会で辛抱強く暮らしているのが我々、日本国民なのである。それは果たして良いことか。忍耐は美徳か。いつまで我々は”大日本帝國臣民”なのだろう。最近は政府が国葬なり統一教会人事なり好き放題やっている。物価高騰対策も為替対策も無為無策。今や日本政府の言うことで信用できることなどどれだけある?情けない。岸田政権に黄金の3年間を与えてしまったのは最悪。

愚かな国家は愚かな国民でできている

 民主主義の本質は国民自らが動くことであって、それは何も選挙で投票権を行使するだけではない。ただ、この国の国民は君主制、帝国臣民の国民性が強く残っているのでそうした習慣というか文化がない。デモをするのは一部の妙な連中で、それと同じに見られたくないがために大衆はデモを行わない。それどころか投票権すら行使しない連中が多い。最低でも投票は行くべきである。

 以前試算したが改めて書くと、投票率の高い国でも投票率は80%程度。ここでは近似して80%としよう。日本の衆議院選挙の投票率は前回で大体56%。日本の有権者数を大体1億と近似すると、もし投票率が80%であれば投票する人の人数は約8,000万人。56%なら約5,600万人。実に2,400万人ほどの票が国民の怠惰さによって政治に反映されていない。

 「よく分からないからいいや」「投票したいけど支持したい政党がない」という声はある程度理解できるが、国民が民主主義国家における最低限の義務すら果たさないならそりゃ国は悪くなるわ、と私は思う。投票率が下がれば組織票が強くなるという点もあるし。「よく分からない」と言って投票に行かない人間がいる一方でここ数十年間、統一教会信者はせっせと指示された人間に投票していたのである。

日本国憲法第12条 

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

「ポリコレ」が嫌われる理由

 書き散らし。Twitterで何が火元かしらないが盛り上がっているのを見かけたので書いてみる。

 ポリコレが流行りだしてどれくらい経っただろうか。私の記憶にある限りでは、大々的に流行り出したのがFPSゲーム、BattlefieldVが発売された時のようにも思う。もちろんそれ以前にもいわゆるポリコレ、ポリティカル・コレクトネスの流れはあった訳だが、近年はそれがジェンダーの問題などもあって強く前面に出てきてるように感じる。ちなみにBattlefiedlVの発売が2018年11月20日なのでかれこれ4年くらいになるか。

 世界はそんな流れの真っ只中にある訳だが、ポリコレという言葉はどうも良くない文脈で使われるケースが増えているようにも思う。これは特にデータとかある訳ではない。ただ私の感覚的な話。映像作品などの批評において、ポリコレに対して批判的な意見を見かける機会は増えているのではないか。

押し付けられたものは嫌いになる

 ポリコレの思想としての正しさ、是非はさておいてそれが嫌われるのには訳があると私は常々感じていて、それは結局「人間は押し付けられたものを嫌いになる」という事に尽きると思っている。何かを変えようとする側からすれば押し付けざるを得ない面もあるのでなかなか難しい話ではあるが、何かにつけて押し付けは反発を生む。押し付けられるものの正しいか正しくないか、良いか悪いか、合理的か非合理的かは関係がない。

 一番の好例?は勉強だろうか。親に「勉強しなさい」と言われて「はい!やります!」と言って来た人間はどれだけ居るだろう。中にはそういう素直で従順な人間も居たか知らないが、大抵は子供心ながらにも勉強することは大事であり親の言うことは正しいとは理解しつつも、「勉強しなさい」「宿題はもうやったの」と言われるたびに嫌になった人間の方が多いのではないか。一方で本当に勉強が出来る人間は自然と自分からやるとも聞く。親として焦る気持ちは分からなくもないのだが。

 それはともかく、問題はその押し付けがポリコレという思想の正しさがゆえにどこまでも押し通されてしまうことだろう。正しいが故にどこまでも押し通されてしまう、それを阻害すれば差別主義者だの何だのの誹りを免れない、なので誰も止めることが出来ない。そしてどこまでも押し付けがまかり通り、不必要なまでに大きな反発を生み出し続ける。それがポリコレが嫌われる理由ではないだろうか。

棒を振り回す猿の風刺画(AIによる生成画像)

 純粋に物語を面白くする要素として取り入れられる訳でも何でもなく、ただポリコレに配慮してますよというパフォーマンスのためだけにキャスティングを変える、登場人物の性別を原作から変える、そうした行為はたとえそれがある種の正義にのっとった結果であっても嫌われて当然だと私は思う。「正義」を掲げれば何をしても許される訳ではないのだ。いわゆるサヨクもその点ではポリコレと似ている。彼らには彼らなりの正義があるのだろうが、いかんせんその主張の仕方が反感を買うものでしかないので結局嫌われる。マジョリティになろうと焦るあまりいつまでもマジョリティになれない。一部の過激なヴィーガンや反原発も同様。嫌われるか否かはその主張の正しさとは関係ない。

 ちなみに冒頭で書いたBattlefieldVというゲームではポリコレ色が第二次世界大戦の世界に反映されており、なぜかナチス・ドイツの戦車兵が全員女性だったり、なぜか旧日本軍に刀を持った女性兵士がいたりする。第二次世界大戦の戦場に女性が全く居なかった訳ではないが、多くは後方支援や狙撃手に回されているしナチス・ドイツ、日本における役割は察するべきである。一線で女性が活躍したのはソ連くらい。こっちはリアリティ求めてるんだよ邪魔すんな。

余談:Fate/stay nightのセイバー

 ネタバレと言えばネタバレなので、Fate/stay nightに関するネタバレを許容できない方はブラウザバックください。

ネタバレ防止の丘

 前提が分からない人向けに書いておくと、Fate/stay nightにおけるセイバー(下記サイトの金髪美少女騎士)は作中の設定が「アーサー王伝説におけるアーサー王その人」である。要はよくある?偉人の美少女化なのだが、Twitterでこれにポリコレを絡めて論じる人間がおり、それに対する反論が多く見られた。

fate-15th.com

 まず最初に言わせてもらいたいのは、Fateはポリコレとは無関係であるということ。上記サイトのタイトルに「15th」とある通り今となっては15年以上前の作品であるし、アーサー王の性別を変えたのはオタク的にその方が面白いからでしかない。なので最近の流れであるポリコレをFateと共に持ち出すのは非常に分が悪い。

 それにFate/stay nightは「アーサー王という設定の美少女が登場する」だけのアーサー王伝説とは全く別のお話」である。一応アーサー王伝説に基づいた描写や関係者(円卓の騎士)は登場するが、実在する伝説におけるアーサー王が実は女性だったのではないかとかそういった言説は一切無いし、何なら元は男性キャラクターだったのを原作者の親友が無理やり金髪美少女の方がウケがいいからと女性にさせただけである。ポリコレなんか掠ってもいない。派生作品では男のアーサー王も登場する。男のアーサー王

 そして作品を見る側はそれを受け入れた上で作品を楽しんでいる。アーサー王伝説とはまた別の創作物なのでアーサー王が男性でなければ納得できない要素は無いし、別の話だとしても納得できないならば見なければ良いだけの話。そこにポリコレがよくやるような押し付けはない。

 これがポリコレならば、実在するアーサー王伝説を再現するドラマや映画に「いや、王が男性と限られているのはおかしい」などと言い出して準史実をねじ曲げにかかるといった事が考えられる。そういう事をするのがポリコレである。

 因みに全くFateシリーズを知らない人向けにシリーズの概要を書くと、要は偉人をキャラクター化していろいろ遊んでる感じ。あらゆる時代、あらゆる国の英雄が現代に蘇り、どんな願いも叶えてくれる聖杯を巡って争う「聖杯戦争」が基本形。スマホゲームFGO(Fate Grand Order)はまた別の話。それにしても、世界各国の英雄を同時に1つの時代に呼び出すという発想はもうその時点で面白い。

防衛省がマッスルイージス艦を建造しようとしている件

 防衛省が全長200m以上、全幅40m以上、基準排水量2万トン以上のイージス艦を作ると発表し、私が知る限りTwitterで(悪い意味で)話題になっている。

 私はミリオタな面もあるがぶっちゃけ艦船に関しては全くなのでうっかり流しそうになったが、このサイズは確かにズムウォルト級よりもデカいし何なら第二次世界大戦日本海軍空母、赤城でも全幅は約31m程度である。さすがにアメリカの原子力空母よりは狭い幅だが・・・。なお、自衛隊最大のイージス艦あたご型で全長約165m、最大幅約21m。空母化が検討されている護衛艦いづも型でさえ全長248m、全幅約38m、基準排水量19,500t。小さい空母より太いイージス艦を作るという訳ですかい。戦艦大和でも全幅38.9mという事実が笑えてくる。いや笑えない。

また大艦巨砲主義の道を行くのか

 実際にどの程度”使える”イージス艦になるのか知らないが、実質的にやっている事は大艦巨砲主義と大差ない気がするのは私だけだろうか。イージス・アショアが用地などの問題で立ち消えになったのでそれをイージス艦に載せようと言うのはまだ分かる、しかしそれが現代版弩級戦艦のような形で出てくるなら話は別だ。

 これまでの戦争(第二次世界大戦以外でも)から学べるのは、いかに単一で優れた兵器を作ろうともそれが戦局を大きく左右するほどの力を持つ・発揮するのは極めて希だということ。今回の弩級イージスはその戦訓に反している。そうでなくとも自衛隊の運用する兵器はユニットコストが高く、思ったように数を配備できない場合が多い。兵器はいかに優れていようと消耗品であるのだが、防衛省はそれを意識できているのだろうか。いかに闘魂が宿ろうと神風が吹こうと数の暴力には勝てない。その点、防空の要を数がかなり限られるマッスルなイージス艦に託すというのは、私にはあまり良い考えとは思えない。2隻建造予定らしいがそれこそ実質的な戦艦大和戦艦武蔵の再来ではないか。

 イージス・アショアは弾道ミサイル迎撃のためのシステムだが、中国がもし戦争を始めるなら必ず弾道ミサイル発射の前にこちらの防衛システムを通常兵器で叩いてから、弾道ミサイルで飽和攻撃を仕掛けるだろう。そうなれば巨大なイージス艦は真っ先に的にされて沈み、沈むまでに迎撃ミサイルを発射出来ても全て迎撃し切れずに終わる。もちろん無いよりはマシなのかも知れないが、掛かるコストに対してどこまでその性能が実際の戦場で生きるのか危惧せざるを得ない。

 それに日本は少子化が止まらない。そんな中で現代技術で省人化が多少出来るとは言え、少空母並の巨大イージス艦を運用できるだけの人員をきちんと確保して行けるのか。それもパワハラで悪名高い海上自衛隊で。この点は巨大イージス艦のみならず問題であるのだが、単体で運用に多数の人員を要する兵器を積極的に建造するのはいささか現状に逆行してはいないか。

news.yahoo.co.jp  ほんの一例

ではどうするべきか

 能力向上が必要なのは理解するし、弾道ミサイル迎撃能力が必要なのは確かである。ただその手段が「迎撃ミサイル」に限られるかと言われればそうではない訳で、敵基地攻撃能力、相手の国土内であっても弾道ミサイル発射地点、弾道ミサイル発射直後を叩けるような兵器の開発・法整備を進めるべきだと私は考えている。それこそ超音速巡航ミサイルでも良し、空対地ミサイルを搭載可能なドローンでも良し。巨大な兵器を作る予算があれば、少しでも量産できて有効打になり得る兵器を作るべきである。数の暴力では勝てないのは明白ではあるが、少数精鋭で勝とうとするのはより無謀でもある。

 また、少子化の中で防衛力を維持・強化するには無人兵器の研究加速が必須だろう。日本はアカデミックな場において邪魔が多過ぎるが、いくら日本人が意固地にそういった研究を拒み続けても世界各国はどんどん無人兵器の研究を進めている。もはやその流れは止められない。むしろ無人兵器こそ、止まらない少子化の中で嫌でも省人化を求められている日本に必要なもの。その研究そっちのけでレールガンだ弩級イージスだと抜かす連中の気が知れない。

外交・安全保障の迷走

 安倍政権の頃はまだ外交・安全保障がしっかりしていたし、それで国民に支持されて来た面もあっただろう。逆に言えば外交、安全保障だけで保っていたようにも思うが、それはそれとして近年はそれすら迷走し始めているように思う。

 特に防衛面において、防衛省はあのアメリカすらまともに実用化出来ていないレールガン開発にも手を出している。日本の防衛戦略においてレールガンが役に立つのか非常に怪しいと思うのだが。

 レールガンだけに関して少し触れれば、確かに弾体を従来の火砲より高速で打ち出せるかも知れない。しかしあくまで無誘導の砲であり、誘導性能を持たせるとすれば結局は迎撃ミサイルで良いという話になる。いくら飛翔速度が速くとも大気の温度や風の影響を受けるのは確実で、弾道ミサイルに対してレーザーのように使用するのは不可能。それも充電が必要になるため、連射は出来ない。

 その他、EV化された装甲車を研究するも結局、次期装甲車は外国のパトリアAMV XPを買うような感じであるし、その一方でドローン開発は遅れに遅れている。未だに技術的優位で兵器を売ってくれるアメリカがバックにいるからやれレールガンだの極太イージス艦だのと遊んでいられるが、アメリカの軍事技術における優位性がいつまでも変わらないという前提に甘えていて良いのだろうか。

 そもそも貧しくなること著しいこの国が、同盟国とはいえいつまでアメリカに武器兵器を売ってもらえるのかという話もあるが。AAV7の時も時代遅れの水陸両用戦闘車両の割にかなり吹っかけられた値段だったし(生産ラインの再稼働の問題があったものの)、数を揃えられない事態はこれから増えるだろう。

www.jiji.com

trafficnews.jp

AI遊びがやめられぬ

 書き散らし。前々から何回か記事を書いているStableDiffusionだが、かなり遊び甲斐があって本当に面白い。相変わらず最大解像度は512piexl四方と小さいが、どんな景色を見たいかをテキストで書くだけで見たことも無い景色が無限に生成できる。あんなものも見たい、こんな景色も見たい、そういった願望を無限大に叶えてくれるこのAIは人間の欲深さの象徴かも知れない。

AIによる創作の限界

 AIによる生成の限界についてこれまで少し触れているが、新しくぶち当たった限界があったのでついでに書いておく。上の画像は「宝石で出来た砂浜」を指定して生成させた画像(の中でもまだマシな部類)なのだが、大抵は普通の砂浜っぽい画像が生成されてしまう。おそらく「宝石で出来た」を比喩的に解釈して「宝石のような」と認識しているのではないだろうか。

 私が欲しかったのは砂がまるまる宝石で出来た感じの砂浜だったのだが。これもpromptと言うか、指定するための英文の表現が悪かっただけかも知れない。ネイティブではないのでその辺りの表現を英語でどうするか四苦八苦しながら遊んでいる。画像そのものは自動で生成してくれるものの、どういう景色が見たいのか具体的に指定する必要がある以上、ある程度の英語力と使用者の想像力が試される。

 また、修飾語をどこにかけるかも変わる場合がある。たとえば「青い砂漠」と書けば少なくとも「青い色(に見える)砂の砂漠」を想像すると思うが、この「青い」が空に適用されてしまったりはよくある。AIの中でも砂漠は赤茶色なのだ。この点、学習元のデータにおける概念はなかなか超えられない。「青色に染められた砂漠にある遺跡」と入力してやっと下のような画像が生成される。AIによって心象風景を具現化させることが可能かと思ったが、なかなか難しいものだ・・・思ったんと違う

 

manuller416.hatenablog.com

生成画像サンプル

 ここから少し、生成させた画像のサンプル。多少は厳選あり。全てが全て良い感じではない。呪文をいい感じに練ることが出来れば歩留まりは上がる。まず先にこういう画像を生成させてから、何か物語を想像していくのも面白いかも知れない。なお、どんな呪文をつかって生成したかはあえてここには書かない。魔術の神秘性は秘匿により生まれる。ただ参考になるサイトのリンクはすぐ下に貼っておく。

lexica.art

 崖にある遺跡。上の方にある柱の妙に横に多い筋掘り、中央右寄りの石造りの建物からぴょこっと生えるアホ毛石、左下の通路入口に感じる角度の違和感を除けばおおよそいい感じに出来ている。

 スチームパンクな町の中を走るスチームパンクな車。町自体にあまり「スチームパンク」の修飾がかかっていない気がする。呪文にカメラ、レンズの名前を仕込んだのでカメラで撮った風になっている。車から地面に続いているレール?のようなものは路面電車か何かから拾った要素だろうか。あと電線っぽいのが映るのは何なのだろう・・・。

 サイバーパンクな町を走る古いタイプの戦闘車両。まあまあいい感じ。ただ「サイバーパンクな町」は色味だけでかなり寂れた町になっているように思う。「戦闘車両が走っている町」なので中東あたりの街並みが要素として入っているのだろう。また、タイヤがタイヤなのかクローラー(キャタピラ)と混ざった感じになっている。どっちで走るんだお前は。

 狂気山脈の窪地にある異形の廃墟と化した町。クトゥルフチックな画が見たくて生成させて見たがこういうのもなかなか。非常に面白い。入り口や窓の形は人間が作るものからそう逸脱してはいないものの(おそらく別で指定が必要)、街並み自体は群生するキノコを彷彿とさせる。あるいは夥しい数の墓標か。狂気山脈(Mountains of madness)はクトゥルフ神話の創作者、H.P.ラヴクラフトの小説に登場する架空の山脈。要は未知のバケモノが済む遺跡のあるクソデカ高山地帯。

 魔法図書館とクトゥルフ要素を組み合わせた画像(具体的にどういう指定をしたか忘れた)。「ハリー・ポッター」という語句を入れたのだけは覚えている。面白いことにハリー、ハーマイオニー?らしき後ろ姿と歪んだスネイプらしき人物が描かれている。後ろの異形が描かれた絵画は腕だけが飛び出してるように見えるが・・・スネイプ後ろ後ろ!

 レーザー砲を備えた多角形宇宙船。まあまあいい感じではあるが砲がなんか溶けている。コンセプトアートとしては悪くない。こういう所から着想を得て船体デザインをするのも面白い。ステルスと入れると大抵F-117っぽいものが発生する気がする(これは入れたか忘れたが)。一部の世代ではステルス=F-117らしいので、AIもそうなのかも知れない。確かにインパクトある形ではあるが。

 宇宙船の中の植物園。有機的曲線を描く船体らしき屋根の下で、清流のある植物園が広がっている。太陽光こそ無いが人工的な光でも植物は育つので、決して不可能ではない光景なのだろう。遠い未来の人間はこうした空間で川とは何か、植物とは何かを学ぶのだろうか。

 軍用車っぽい4ドアタイプの角張ったSUV。を生成したかったが思ったよりトヨタ要素が強い。エンブレムなんてほぼトヨタ。さすが世界のトヨタ、AIの世界でも強かった。でも俺が欲しかったのはジムニー寄りの軍用車っぽい4ドアSUVなんだ・・・。

 青い砂漠にある町の遺跡。前述したのと同様に「青い砂漠」ではなく「青く染まった砂漠」という語を用いたが、今度は遺跡の一部が青く染まってしまった。というかまだら模様になってしまっている。まあ、青い砂漠で建物が青い砂岩で出来ていても全く不自然ではないのだが。

 サクラ散る幻想日本庭園。池の中のコイ?の断片は微妙ではあるが、サクラの花びらの散り方や構図、橋を横から撮るこの感じ、こういうのあるなぁ~と思わせられる。橋がもう少し古びた木の質感か、赤かったら良かったのだが。あと擬宝珠?の描き方が甘いのが惜しい。

人間はやはり欲深い

 理想郷の景色を生成させていてふと思ったことがある。もしこういった世界、こういった景色の中に飛び込めたとしても、我々はそこで満足して永遠に暮らすだろうか。そこにいつまで留まるだろうか。最初どんなに美しいと思った景色でも、それが”当たり前”、”日常”になってしまえば人はまた別の景色を目指すのではないか。きっとそうだろうと思う。

 では人間はどうすれば満足するのか。変化があるという事が重要であり、毎日とは行かないまでも、時間をかけてゆっくり変化する世界であれば人間の欲求は満たされる(満たされやすい)のだろうと思う。たとえば上のような世界でも、数日後に来ると全く別の地形になっているなどか。AIはそれを様々な要素をランダムに組み合わせることで人間に提供する。AIは永遠に人々の欲望のままあらゆる景色、写真、イラストを提供し続ける。裏を返せばAIは人間の欲望がついに生み出した怪物であり神であり万能の願望器。

 それにしても、本当にもう少し生成できる画像サイズが大きいならなあ・・・。最低でもFullHD(1,920×1,080)の画像は出せるようにして欲しい。これも欲深さか。

雑巾の自然発火

 書き散らし。熊本県で雑巾が自然発火した事故があったので書いて見る。原理的には知っている人は知っている話。危険物乙4を勉強した人なら分かる。

news.yahoo.co.jp

原理

 油は酸化されると熱を発生させる。これが折りたたまれた布や今回のように積み重ねられた雑巾の中で発生すると熱が籠もり、布が燃えるだけの温度にまで達すると発火する。可燃物かつ油が染み込むもの、発火点が比較的低いものなら布以外でも起こり得るので布以外ならOKという訳ではない。紙類でも起こり得る。

 材質で言えば綿は発火点が約260℃と低い*1ので、化繊で出来たものより注意が必要と言える(化繊で出来たものなら注意しなくて良い訳ではない)。発火点だけで言えば新聞紙も約290度と低い。とにかく、油を吸わせた可燃物は積み重ねない、丸めないのが重要。乾燥させずに何なら水を吸わせて捨てる

 熊本の事故では剣道場の床をワックス掛けした雑巾を一度水洗いし、干してから積み重ねていたらしい。しかし記事内でも指摘されている通り繊維の中に染み込んだ油を水で洗い流し切ることは困難というかほぼ不可能なので、水洗いしたからといって油断するのはご法度である。油は水を弾くというのは常識だが、どこかで油断が生まれてしまったのだろうか。事態が発覚した時はさぞ面食らっただろう。

食用油でも発生する可能性がある

 油であれば酸化する時に熱が発生するので、身近なところで言えば食用油でも自然発火事故は起こり得る。揚げ物をした後の油は適切に処理しなければならない。キッチンペーパーや新聞紙に染み込ませて丸めて捨てると、ゴミ箱の中で発火して火事になるという可能性も考えられる。「そんなことするヤツ居ないだろう」と思うかも知れないが、そういう思い込みもまた事故を招く。

www.city.sado.niigata.jp

 揚げ物に使用した油を捨てる場合は凝固剤を使用するか、紙製の吸着剤やキッチンペーパーなどの紙に吸わせるなら温度が下がってから行う・油を吸わせてから水の入ったビニール袋に入れて捨てる、などの対応が必要。なお、凝固剤は温度が下がる過程で網目構造が形成され、その中に油が閉じ込められて固まるらしい。原理(SCジョンソン)

 なお、動植物油は第4類危険物に指定されている天ぷら油など(引火点250度以上の食用油)は危険物からの指定を外れている(平成14年に規制緩和)。とはいえ危険性があることには変わり無いし、とにかく可燃物を扱う際は要注意。

*1:化学繊維系なら400度は超える