今さらだが書きかけたので書く。アメリカ大統領選挙はトランプ氏の勝利であった。これに関して雑な感想、分析など。勝敗の原因を知ることは今のアメリカを知る良い機会になると思う。なお、私は何となくトランプ氏が勝つと思っていた。後出しw
トランプ氏勝利の要因
これは「アメリカ国内の現状に対する不満の表れ」に尽きるのではないか。国内の現状に不満を持つアメリカ国民に、副大統領としてハリス氏が何かして来たか / 出来る見込みがあったかと言うと NO だったのだ。
アメリカでは物価高で生活苦、ホームレスが増加し、薬物問題も蔓延している。バイデン政権でこれらは改善されず、ハリス副大統領もこの問題について何もできなかった。副大統領の権限は実際そこまで無いのだが、ハリス氏がバイデン大統領の補佐としてより目立った存在であればまた話は変わっていたかも知れない。
この点、氏が重視した支持層(になり得る性質の人々)からも現状を変えるための希望とは見なされなかったのだろう。以下の記事からもそれはうかがえる。「バイデン大統領と違う対応をしただろうと思うことはあったか」と訊かれ、「思い当たることは一つもない」と返している。
【米大統領選2024】 なぜハリス氏は負けたのか 本人の問題か、選挙戦がまずかったのか - BBCニュース
これが実際に良いか悪いかはともかく、現状に不満を抱いている国民に「自分なら政治を変えられる」というメッセージを送れなかった。それどころか間接的に「何も変えられません」と主張することとなった。副大統領はただでさえ影が薄い。バイデン政権の支持率が低迷する中で主体性というか独自性が無ければ、トランプの対抗馬としては弱かった。
投票前の討論番組においては互いを罵るだけになっており、この点もマイナスだっただろう。ハリス氏は支持層も含めてどちらかと言えばエリート寄りとされるイメージだが、メディアで対面した際の様子はトランプ氏と同レベルという印象になってしまった。実際、日本のテレビ取材に応じたアメリカ人は「昔、テレビの大統領候補者討論では尊敬できる2人の人物が映っていた。今はそうでもない」と落胆していた。
また、政治家としてどこを向いているかも問題であっただろう。ハリス氏が向いていた方向は女性、黒人、社会の上流階級であり、そこに属さない人々は疎外感を覚えていたと考えられる。
たとえホームレスでも、物価高に苦しむ労働者であっても、薬物依存患者であっても、あるいはその他の社会的弱者であっても、黒人や女性といった公的に弱者と認定され得る存在でなければ弱者と見なされず見向きもされなかった。そうした「弱者と見なされない弱者」がトランプを支持したのではないか。
これについてバーニー・サンダース氏は「労働者階級の人々を見捨てた民主党が当の労働者階級から見捨てられても、大して驚くには当たらないはずだ」とXに投稿している。これはこれで政治的意図からの発言なので、言葉通り受け取るべきかは疑問だが。
サンダース氏、米民主党の大統領選敗北に驚きなし 「労働者階級見捨てた」と批判 - CNN.co.jp
要は高卒で白人の男性労働者(あるいはそれに近しい人々)は「社会的弱者」として認められているだろうか、という話。民主党は彼らを弱者と認めず放置した。だから彼らが反旗を翻した、そこに何の不思議もないという話。何なら黒人であっても、弱者として認められない人々は疎外感を覚えていたかも知れない。
日本のメディアはハリス氏の支持層には大卒が、トランプ氏の支持層には高卒が多いと報じていたが、それはここに当てはまる。以下のデータ(出典不明)を見ると大卒の白人でも言うほど圧倒的な支持率の差は無い。
この点、著名人の多くがハリス支持を表明したことも逆効果だったかも知れない。弱者にとって著名人の暮らしは自分たちの現状と真逆のものであって、反感や嫉妬こそ買えど「彼らが支持するなら私も」、とはならない。格差が日本以上に酷いアメリカではなおさらである。
トランプ氏を支持した著名人としてはイーロン・マスク氏がいるが、マスク氏は南アフリカ共和国出身で白人の両親を持ち、起業家として成功した人であってどちらかと言えば白人労働者にとって尊敬に値する人物であろう。学生時代は内向的でいじめに遭っており、農場や製材所で働いたこともあるが、そこから起業して成功した叩き上げのエリートでその辺の鼻持ちならない上流階級とは全く違う。
ちなみにマスク氏はテスラ社の共同創業社として有名だが、創業当初から関わっていた訳ではない。どちらかと言えばPayPalの生みの親であるということが大きい。経緯を知ればアメリカンドリームを体現するような人物であることがわかる。
ガラスの天井
一部ではガラスの天井がどうのと言われているが、その影響はあったとしても負けた主要因ではないだろう。これまで述べたようにバイデン政権における不満を払拭できる見込みがなかったこと、マイノリティや上流階級の方ばかりを見て足元の不満を掬えなかったことが大きな要因であり、女性だからというのは1つの要素でしかない。不安定化する国内を引っ張っていく強いリーダー、という意味では白人男性であるトランプ氏が有利であっただろうが。
誰が言ったか「上(天井)ばかり見てないで下も見ろ」。
日本のマスコミの程度の低さ
日本のメディアは「トランプ氏とハリス氏の支持率が拮抗している」、「最終的な結果が出るまで2週間かかる」と報じていた。しかし蓋をあけて見ればトランプ氏が圧勝し、最終的な結果が出るまでに3日とかからなかった。全て嘘だった。
これについて日本のメディアはアメリカの各報道機関の内容を後追いしただけ、あるいは希望的観測で内容を作っていたように思う。あくまで他国の選挙とはいえ取材力の低さが露呈しているとしか思えない。正確に先を読むことなど不可能なのだが、程度が低いのは疑いようのない事実であろう。
個人的には前者、アメリカ現地メディアの後追い報道をしていただけに思う。現地メディアが一番詳しい、正しい分析が出来ると踏んで、受け売り程度の内容を池上彰氏あたりに解説させて見事に外れるという構図は滑稽である。
アメリカのメディアは社によって日本よりも偏りがあり、政治対立に巻き込まれて不買運動まで起きている。その中で現地メディアなど参考にならないし、してはいけない。SNSでの
未だに人気があるが池上彰氏の言うこともそこまで正確では無くなっていると思う。もともとその手の専門家でもないし高齢で物事の見方が凝り固まっており、今や他のコメンテーターと同じくテレビ局が何を言いたいかの代弁者に過ぎない。
余談:国民民主党、玉木代表の女性問題
国民民主党の玉木代表の女性問題が報道された。
(記事題:国民民主党・玉木代表が街頭演説 女性密会報道に「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪 有権者からは「馬鹿たれ」「頑張れー」の声)
せっかく追い風が吹いていた中、つまらん問題で自身ひいては党への印象を悪化させかねない問題が出て来たのは本当にもったいない。こんな事があって欲しくはなかった。下半身がだらしない。
とはいえ女性問題そのものが悪いことは否定できないがリア充爆発しろ、強いて言うならあくまで当事者間の問題であってさっさと謝罪もしている、というだけマシではある。進退問題も党内ですでに話はついているようだし、旧統一教会のようなカルトに選挙協力を仰いでいた訳でも、裏金を作って脱税しながら選挙を有利に進めた訳でも無い。そんな問題や「30超えたら子宮摘出」なんて言い出す奴に比べればまだ
Xでネガティブキャンペーンを展開している人々(おそらく立憲、れいわ支持者)はこれについてタマキンだのチン上げだの言っていて一周回って面白い。中学生かな?
今後はこのようなつまらない話が出て来ないようにして欲しい。買って兜の緒を締めよ。