ヤマネコ目線

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画像生成AIのためにPCを組み直す

 GoogleColabからStableDiffusionWebUI*1が締め出されたので、ローカル環境を構築しようと思い切って新しいPCを組み始めた。これが円安の影響か思ったよりも費用がかさんでいる。特にGPU、グラボがかなりお高くつく。

全体像

 とりあえず今、手元にあるパーツだけで今まで使ってきたPC全体の予算を超えてしまった。特にRTX4070Tiの約14万円が効いている。これが更に上位のRTX4080となれば約18万円以上、RTX4090で約26万円以上する。

 「+4万円で4080が買えるならなぜそれにしない?」とお思いの方もいるかも知れない。が、4080は高性能かつまだ手を出しやすい反面、フルパワーで稼働させると消費電力はPC全体で約500Wほどになる。もはや電子レンジ。最上位の4090についてはそれを更に超える。

 4070Tiは某レビューサイトで見る限り、消費電力と性能のバランスが取れていたので選んだ。確かフルパワーで回しても消費電力は約380Wほど。それでもなかなかのものだが、電子レンジを連続稼働させるよりはマシだろう。今使っているグラボはRTX2070Superなので、十分なアップグレードになる。

 もしグラボを4080, 4090にするとなれば、おそらくCPUもIntel core i7以上のもの、電源も1,000Wクラスが欲しくなる*2。となればさらに予算的が膨らみ続けるので4070Tiが最適と考えた。一応、常にフルパワーで稼働させる訳でもないのと電源容量850Wにしたので、後から4080に載せ替えることも出来なくはない。余談だが電源容量は多いほうが良いという訳でもない。

 後はCPUクーラー、CPUグリス、ストレージ関連を揃えるまで。ケースは現在使用しているFractalDesign DefineR6を流用する。結構優秀なケースなのと、いちいち買い替えるのももったいない。フルタワー(一番デカいタイプのケース)なので捨てるのが大変、というのもある。

CPU性能の現状

 新しいPCを組むにあたっって現状を調べなおし。イメージだけで買うのは愚か者のすること。AMDの現状は知らん。少し前までCPUの性能は

という感じだったが、第13世代Intel core系の性能を改めて調べると

 という感じ。約2万円で買えるcore i3 13100ですら4コア8スレッド*3で最大クロック周波数4.5GHzとなかなかに高性能。core i5 13500に至っては14コア20スレッドである。4世代前のIntel core i7 9700Kが8コア8スレッドだった事を考えれば十二分。というか性能的にも普通に上。何となーく「高性能はi7でi5は中途半端」、みたいな印象だけで選ぶと痛い目に遭う。こういうものは知識のアップデートが重要。

 なお、上位のIntel core i7 13700は16コア24スレッド、core i9 13900に至っては24コア32スレッド。サーバーでも建てるんか???ぶっちゃけサーバーでも無いのにそんなにコア数もスレッド数もいらん。

 ゲームや動画エンコードでもオーバースペックでは。いくらコア数やスレッド数が多くても、ソフトウェア側がマルチコア・マルチスレッドでの処理に対応していなければ、そうした回路はそもそも使われないので意味は無い。エンコードもグラボ使った方が速いのでは。グラボに予算回したほうがマシ。コア数が多いとそれだけ発熱もするので冷却性能が圧迫される。消費電力ももちろん多い。ベンチマークスコアでイキれること以外にあまりメリットが見いだせない。

GPUの現状

 GPU(グラボ、グラフィックスカード)は主にNVIDIAGeForceシリーズ、AMDRadeonシリーズがあるが現状、画像生成AIを動かす上ではGeForceシリーズ一択らしいので、NVIDIA製についてのみ軽く書く。

  • RTX4090 : ハイエンド、30万くらい、高消費電力, VRAM24GB
  • RTX4080 : ハイスペ、18~20万、高消費電力, VRAM 16GB
  • RTX4070Ti : 準ハイスペ、13万くらい、消費電力マシ, VRAM12GB
  • RTX4070 : ミドルレンジ、10万くらい、消費電力マシ, VRAM12GB

 この中でミドルレンジと書いたRTX4070でも前世代のハイスペック、RTX3080を超えて来るのでゲームをするだけなら、RTX4070あるいは型落ちで価格が下がっているRTX30xxシリーズを狙うのがベストだろう。

 画像生成AIを使う場合はRTX40xxシリーズが良いとされる。中でも予算や電気代に糸目をつけないのであればRTX4090が良いのだろう。なお、hp*4のRTX4090搭載PCで約57万円(2023/5現在)。

ゲーミングノートではダメなのか

 近年は高性能GPUを搭載したゲーミングノートというジャンルも登場しているが、画像生成AI用途ではあまりオススメしない。GPUをフルパワーで使用する必要のある場合は避けるべき。ゲームをするなら良いかも知れないが。

 なぜか。ノートPCはコンパクトな筐体にPCの全てを詰め込んでいる。当然ながらそこでは冷却性能や電源供給能力に限界が生じる訳で、物理的な限界によってカタログスペックから想像するよりも実際の性能が劣りがちだからだ。なおかつ全体をコンパクトに収めながらある程度の性能を確保する必要があるので、ゲーミングにかぎらず値段は割高になる。

 一番問題なのは電源容量。たとえばRTX4090搭載で一番高額(約85万円)なゲーミングノートPCでも、電源はACアダプタで容量330Wにすぎない。RTX4090をフルパワーで稼働させるとその消費電力は約450Wとされる。明らかに100W以上足りない。どう考えても、どう足掻いてもフルパワーを出すことは出来ない。デスクトップであれば電源容量はちゃんとしたものであれば優に500Wを超える訳で、使うことが出来るエネルギーの量が絶対的に違う以上はそれだけ差がつくことになる。

 また、ノートPCは小さい筐体の中に冷却機構を詰め込む必要がある。しかし物理的にどうしても限界はあるので、デスクトップPCには絶対的に敵わない。あまりに温度が上がると触れないし、熱暴走を防ぐために意図的に性能を落とす*5ことになるので、どのみちフルパワーを発揮できない。

 某YouTuberがノートPCのCPUをcore i5からcore i7へ載せ替えたところ結果として性能が落ちていたが、その原因は主に上記2者(特に電力量)にある。

 なので、どうしてもゲーミングノートを買う場合はそうした物理的な性能限界を理解した上で選ばなければいけない。いくらカタログスペックがご立派でも正直ムダ。

 何ならハイスペックであればあるほど内部の冷却機構を大型にせざるを得ないので、どんどん重くなってノートPCの良さ(携行性)が薄れていく。前述した約85万のノートPCは17インチ、重さ3.3kg。正直、持ち歩くには荷が重い。かと言って据え置きで使うのであればあまり利点が無い。

余談:PC自作のメリット

 PCを自作する*6理由は「安く済ませるため」では無い。パーツをこだわって選んでいくとむしろBTOで買うより高くなったりもする。ではなぜPC自作をするのか。

 まず重要なのは楽しいから。ガジェットいじり楽しい。加えてパーツを集めて組み立てるだけとは言えその都度、その時の最新のパーツや規格、性能を調べ直すので必然的にパソコンの内部に詳しくなる。なので後から継ぎ足しでアップグレードなんかも怖がらずに出来る。

 また、パーツ1つ1つにこだわることも出来る。出来上がったものを買うだけではそれは出来ない。こだわって選んでいるとどうしても高くなってしまうが、逆に市販されているパソコンは「なぜあの性能であの価格に出来るのか」と不安になる。答えは簡単でパーツのグレードや消費者が気づきづらい所でコストカット*7をしているから。

 あと最近の市販PCは映えを意識してか簡易水冷クーラーも多いが、簡易数例は液漏れが怖い。冷却性能は高いだろうが静音とは限らないし、冷却液は蒸発して減っていくのでメンテナンス必須。空冷で行けるなら空冷で行く方が良いと思う。

*1:トンネリングがダメなのでローカル的に動かすことは出来る。多分

*2:いくら高性能のGPUを使ってもCPUの性能が低いと足を引っ張られる。CPUがボトルネックになる

*3:料理店で言えば一度に2つの料理を作れるシェフが4人居る感じ

*4:ヒューレット・パッカード

*5:サーマルスロットリング

*6:と言ってもパーツを買って組み立てるだけだが

*7:という名の妥協