ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

ALI PROJECTを聴き返す:シングル編

*書いている内に長くなったので2回に分けます。

 先日、TwitterALI PROJECTの楽曲名「亡國覚醒カタルシス」がトレンド入りしていて、まさか令和になってそんな事があるとは思わずテンションが上がってしまった。Vtuberがイベントで歌ったのでトレンド入りしたようだがその辺はあまり知らん。

ja.wikipedia.org

 ALI PROJECT、通称「アリプロ」に関しては説明不要な人も多いと思うが一応、Wikipediaのリンクを貼っておく。ボーカル:宝野アリカ氏、インスト:片倉三起也氏、独特な世界観を持つ楽曲を世に出し続けている音楽ユニットで、主にアニソンやゲームの主題歌に有名な曲が多い。

 ジャンルはプログレッシヴ・ロックやアニソンに分類される事が多いが、アリプロの楽曲はアリプロ特有の世界観がベースにあり、さらに曲ごとに建物を建てていくような感じで特定のジャンルに分類するのは難しい。言うなればアリプロはジャンル「アリプロ」。時おり衣装がV系っぽいがV系ではない。クラシック系の楽曲を打ち込みでいい感じにアレンジした引用がインストにちょくちょく見られるのも特徴・・・?

 俗にダークで怪しい雰囲気の曲を「黒アリ」、明るく爽やか(?)な曲を「白アリ」と呼んだりするが定義が曖昧であり、どの曲がどれに属するかは個人の感覚によるのであまり意味はない。

 Twitterを見ていると他にも懐かしい曲名などがあったので、とりあえず私が好きな曲を時系列準かつ私見を交えながら列挙していく。BEST 3を書こうかと思ったがそれはかなり難しい。何がきっかけでアリプロにハマったかによって(=人によって)違うだろうし。

シングル

恋せよ乙女 -Love story of ZIPANG-

 1992年7月7日リリース。冷酒「黄桜」のCMソングだったらしい。曲調や歌詞が今でいう"大和ソング"で、これは第一弾とでも言うべきか。

 後に発売されたアルバム、「Grand Finale」にオーケストラ版が収録されている。以下、特に断りのない限り「オーケストラ版がある」と書くものは同アルバムに収録の意。

嵐ヶ丘

 1993年6月9日リリース。同名小説を思わせる歌詞と歌い方が頭に残る。音楽性の高さが評価されるきっかけになった(らしい)。

コッペリアの柩

 2001年5月23日リリース、TVアニメ「ノワール」のOP。歌詞がタイトルと同じ「コッペリアの柩」から始まり、歌い出しも曲調も非常に印象的。ダークな雰囲気全開、アレンジが多い。正直アニメの方は知らん。

月蝕グランギニョル

 2003年11月5日リリース。TVアニメ「AVENGER」のOP、ED。グランギニョルはフランス、モンマルトルにかつて存在したグラン・ギニョール劇場のことで、残酷・猟奇的な内容の演目を得意とした事から形容詞としても用いられる。気絶した観客の多さで演目の人気を計ったとも聞くが出典不明。今でいうゾンビ映画スプラッター映画のようなものだろうか。

 とにかくダークファンタジーが好きな人間としては好みドストライクな感じで、歌詞の内容もインストもかなり良い。音楽に疎いので良いとしか表現できないのが悔しいが、「アリプロの曲とはこういう曲です」と知らない人に出しても良いくらい聴きやすい。オーケストラverがある。

 正直アニメの方は知らん。歌詞の内容を他の作品の登場人物などに重ねて聴き込んだ人は多いのでは。好きな歌詞の部分は「穢れることなかれ清らなる微笑よ」。

禁じられた遊び

 2004年10月22日リリース。TVアニメ「ローゼンメイデン」のOP。特に歌詞がローゼンメイデンの世界観に合わせたゴシック&ロリータ的なものになっており、華やかな西洋アンティークドールが殺し合う(?)作品に曲調とともにマッチしている。offボーカル(Instrumental)が効果音としてのボーカルが入っているためoffボーカルっぽくない。

 正直ローゼンメイデンはコミック1巻だけ買ってそれ以降知らん。水銀燈が人気なのは知ってる。乳酸菌摂ってるぅ?

阿修羅姫

 2005年6月8日リリース。TVアニメ「舞-HiME」のOP、同作品のゲームOP。大和ソングその2。戦う大和撫子を想起させる、綺麗な歌詞と苛烈な曲調が特徴的。「舞-HiME」は萌えアニメらしいがそんなの関係ねぇ!と言わんばかりの感じでそれが良い。

聖少女領域

 2005年10月26日リリース。TVアニメ「ローゼンメイデントロイメント」のOP。「禁じられた遊び」と同じくゴシック&ロリータ的な歌詞と曲調、それでいて少し明るめな感じの曲。オーケストラverがある。

 「トロイメント」は音楽用語で「夢を見ているように」の意。

亡國覚醒カタルシス

 2006年5月24日リリース。TVアニメ「.hack//Roots」のED。歌詞、曲調ともにダークな雰囲気で筆舌に尽くしがたい小気味よさがある。難しい漢字、熟語、言い回しで厨二心を突き刺された人が多い。歌詞の一部が過激でこれからはこういう曲、出てこないかもなとも思う。個人的にはこの曲こそがALI PROJECTの最高傑作。これ以上は語るに及ばす、聴け。

勇侠青春謳

 2006年10月25日リリース。TVアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」のED。この曲からアリプロに入った人も多い(特に私の見立てでは腐女子の方々に多い)。

 大和ソングその3で、「勇侠」の文字通り極道をイメージしたらしい。が、歌詞や曲調は極道を思わせるには綺麗過ぎる気がする。まあ、今の極道で考えてはいけないのか、ファンタジーでの極道と考えるべきか。

 「亡國覚醒カタルシス」のカップリング曲として考えていたらしいが、出来が良かったのでシングルに回したらしい。

薔薇獄乙女

 2006年12月6日リリース。TVアニメ「ローゼンメイデンオーベルテューレ」のOP。オーベルテューレはOverture(序曲)の意味(もう3作目なんですがそれは...)

 雑誌の解説では「古風で耽美的な歌詞」「中近東風のアレンジ」とあり、確かに先の「禁じられた遊び」、「聖少女領域」とは同じ路線ながらも一風変わった曲に仕上がっている。雰囲気的にはダーク寄りと言うべきか耽美的と言うべきか。

暗黒天国

 2007年5月23日リリース。TVアニメ「かみちゃまかりん」のOP。

 ポップなシンセサイザーサイケデリックな歌詞が鏤められた、アリプロの中でも特に変わった曲。「かみちゃまかりん」は少女マンガ作品で、少し調べた感じ「少女が神様になって好き放題やる」的な?感じなので、そういった雰囲気がよく出ている。

 因みにカップリング曲は「桃色天国」。

跪いて足をお嘗め

 2007年6月13日リリース。TVアニメ「怪物王女」のED。この辺りの作品を知ってる奴大体同年代。

 「怪物王女」には怪物界の王族が出て来るのだが、その中でも主人公と言える第2王女リリアーヌ(通称"姫")とその一向がチェーンソーやら工具やらでバイオレンス全開で戦うため、歌詞もそれに合わせて過激になっている。曲調もそれっぽい。女王様とお呼びなさい(直球)。

 余談ではあるが「怪物王女」のサウンドトラックもアリプロが手掛けている。アルバム編でも触れるが挿入歌「王的血族」も良い。

コトダマ

 2008年1月23日リリース。TVアニメ「シゴフミ」のOP。「死後文」と書いてシゴフミらしい。

 大和ソングかどうかは各自の判断に任せるが、演歌っぽくも感じられて大和ソング的な要素を多く感じる。歌詞は「想いを伝えられぬまま亡くなった人の手紙を届ける」作品のテーマに即した内容。幽霊目線?

我が臈たし悪の華

 2008年7月30日リリース。TVアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュR2」の2期ED。

 歌詞、曲調ともにダークな感じで、「悪の中にある正義」をイメージしたとされ、ルルーシュという登場人物のイメージに合わせている。同じくコードギアスEDに起用された「勇侠青春謳」とは打って変わって大和ソング的な要素は見られず、どちらかと言えばローゼンメイデンの路線を更に悪へ寄せた感じに近い。

 原題の「」の字は草冠の位置によって微妙に違う文字が使われているが、環境依存文字なのか使いづらい。歌詞とMVの一部がいかがわしい。

鬼帝の剣

 2008年11月19日リリース。TVアニメ「鉄のラインバレル*1」のOP。

 コードギアスと同じくロボットアニメへの起用だが、「わが臈たし悪の華」とは異なり王道の英雄を思わせる歌詞、曲調。ライブでの黒い羽根が舞う演出がかっこいい。

 オーケストラverがある*2

地獄之門

 2009年5月27日リリース。TVアニメ「Phantom ~Requiem for the Phantom~」のOP。

 アリプロの中でも独特な曲の1つで類似した曲が思い当たらない。「Phantom」は暗殺者のお話だが作品に合わせた内容としては、暗殺者を思わせる歌詞(それも迎え撃つ側)くらいか。聴かないと分からないとしか言えない曲の1つ。

 ジャケットやMVは中国で行われている。

戦慄の子供たち

 2009年8月19日リリース。TVアニメ「Phantom ~Requiem for the Phantom~」のOPその2。

 「地獄之門」との音楽的な共通性は無い。歌詞がよりアニメの内容に即しており、独特のメロディと歌い方が頭に残る。

堕天國戦線

 2009年10月21日リリース。TVアニメ「戦う司書 The Book of Bantorra」のOP。

 「人間が死ぬとその魂が本になる」という世界観を反映した歌詞、伸びやかな歌声を交えつつ勇猛さを感じさせる歌い方と曲調が耳に残る。

 「血のインクは乾かない」という歌詞が好き。

亂世エロイカ(らんせい~)

 2010年7月14日リリース。ゲーム「Fate/EXTRA」のテーマソング。

 "Fate"作品は何種類かあるが、基本的に「何でも願いを叶えてくれる聖杯を巡り、魔術師が英雄の霊を召喚して殺し合う」、という基本はあまり変わらない。歌詞や曲調はこれに合わせてヒロイックなものとなっている。エロイカ(Eroica)はイタリア語で「英雄的」の意。Fate作品で登場するのは主に西洋神話の英雄なのだが、曲のイメージとしてそれがよく再現されている。

 Strings ver.がある。

凶夢伝染

 2012年1月25日リリース。TVアニメ「Another」のOP。

 TVアニメの監督からリクエストを受けて製作され、「Another」の世界観、内容をよく反映している。ダークではありつつもどこか希望と言うべきか、明るさを感じさせる曲。原作者をして「これは僕の小説の全ての要素が入っている」と言わしめ、この曲をアリプロの作風における集大成の1つとして推す人もいる。

 Strings ver.もあってそれはそれで良い。

*1:くろがねの~

*2:アルバム桂冠詩人 SINGLE  COLLECTION PLUS