ヤマネコ目線

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メタバースでブランド・百貨店

 最近、コロナ禍もあってテレワークの流れが加速し、その流れに乗ってメタバースがメディアでもてはやされている。しかし私はそれに既視感を感じざるを得ない。断言しよう、メタバースは流行らない。私が子供の頃にもテレビで似たようなのがもてはやされていた。結局、流行らずに終わったが。

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全然分かってねえな

 メタバースが流行らないと断言できる理由はいくつかあるが、上の朝日新聞の記事を見て「あ~、やっぱコイツら分かってねえな」と思うと同時に、メタバースセカンドライフの二の舞いになることを確信した。

 メタバースにおけるファッションの魅力は、現実世界のあらゆる枠に囚われない形での自己表現だろう。その枠にはジェンダー、種族、金銭面での話も含まれる。記事冒頭には「身体的制約のない世界で」とあるが、バーチャル空間においては”身体的”制約だけが問題になる訳ではない。もうその時点で分かっていない。

 「高級ブランド」、「百貨店」、もうこの二文字を見た時点で終わっている。要はメタバース内でも高級ブランドや百貨店ブランドの製品(=アバターや衣装等)を売りたいと言うのだろうがそれでは結局、自由でより人々に平等であることが理想のバーチャル世界で、現実世界のようなある種のカーストが再現されてしまう。バーチャル空間でも貧乏人は貧乏人らしいアバター、金持ちは金持ちらしいアバター、それが「面白い」と感じる人間はどれだけいるか。

 せっかく誰しもが平等で自由な自己表現が出来そうなバーチャル世界が出来かけたのに、そこへ金持ちや企業が先回りして現実となんら変わりない、何なら実体が無い分、現実より空虚な利益構造を作り上げて消費者から搾取しようとする。消費者は消費者で、やれどこのブランドのアバターを持ってるだの、どこの百貨店の衣装を持ってるだのと、現実と変わらない醜いマウント合戦を始める。それは想像に容易いし、それの何が面白いのか私には理解できない。セカンドライフも同じような事をして廃れたのでは無かったか。

 そもそも何だこのゴミみたいなアバターや背景(記事写真参照)は。やる気あんのか。

一般人にとってのハードル

 メタバースが流行らないと言い切れる理由の大きな1つが、バーチャル空間へ入り込むための機材導入コスト。特にVRゴーグルやそれを処理できる性能を持つPCは高価で、PCをそもそも持っていない、買えないという人が増えている日本では流行るべくもない。流行りようがない。VRゴーグルを使わずともメタバースを楽しむ事は出来るだろうが、そもそもそれなりのスペックのPCでバーチャル空間で遊ぼうなんて人間は少数派である。いくらメディアがもてはやしても興味ない人間の方が多い。

 それも私が知る限り、VRゴーグルも「これさえ買っておけば間違いない」というようなものが無い。有名である程度評価が高いものはあるが、わざわざすぐ飽きそうなガジェットに10万やそこら出す勇気はなかなか出ないものだ。

 現実の方が楽しい人間なら、メタバースなんか行かなくても楽しいだろうしな。私は違うけど。だからなおさら「仮想空間に現実を再現して何が楽しいの」と思う訳で、そういう面でもメタバースは既に終わっている。需要がない。

何にせよ

 企業がメタバースを流行らせようとしているのは、それが「金になるから」に他ならないだろう。そのためにはバーチャル空間の中にも現実と同じような格差を作る必要がある。貧乏人は仮想空間の中ですら着の身着のまま、土地も家も持てない、持てたとしてもそこに価値らしい価値はついて来ない。

 そんな「現実の劣化コピーの何が面白いのだろうか。面白くないものは流行らない。