ヤマネコ目線

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EVは本当に地球を救うか

 電気代が高騰している。資源の高騰、ウクライナ戦争、円安によって大手電力会社による電気代は過去5年で最高水準。今、EVシフトが進みつつある中で逆風が吹き始めている。こういうの前にも書いたような気がするが気にしない。むしろ何度でも書いてやるわ!

そもそも論として

 まず化石燃料から電気へエネルギー源を転換したからと言って、地球に優しい社会が作れると言うのが虚構だと私は感じている。A地点からB地点へ今までのエンジン車と同じように移動する、そのために必要なエネルギーは効率の差こそあれど変わらない。エネルギー保存の法則を理解していれば当然の話である。人類がこれまでと同じ、あるいはより便利な社会を求める限り、環境に与える負荷はどうあっても変わらない。ただ温室効果ガスが走行時に車から出ないというだけで、どこかで形を変えて影響が出る。効率面でEVの方が有利という研究もあるようだが、それは有意な差だろうか。クルマとして製造から廃棄するまでも込みでの比較でEVの方が環境負荷が少ないと断言できるだろうか。

 まあ、今流行りのSDGsも綺麗事とメシの種でしかないから、そういった事を平気で抜かして商売をする連中はどれだけ虚構だと分かっていても「EVこそが地球を救う」と堂々と胸を張って言うのだろうが。もし本当にEVの方がガソリン車よりも環境に優しかったとしても、人間は「じゃあ遠慮なく使っていいよね」と今まで以上にエネルギー浪費の方向へ行くので、総合的に見て環境負荷はかえって悪化するのではとも思う。

電気自動車の方が本当に燃費が良いのか

 よくEVについて目にするのが燃費。いわばガソリンを買うのと充電するのとでは、充電する場合の電気代の方が安いという話。ただしこれもあまりに短絡的な発想というか、バカげた比較。

 まずガソリン車とEVでは車両価格が違う。性能の程度の差を加味した比較は難しいが、リチウムイオンバッテリーだけでEVの価格はそれなりのものになる。同程度の性能でEVの方が初期投資が高くなる分、燃費の良さで取り返すと考えれば燃費はメリットというより、初期投資とトレードオフでしかない。

 そして電気代の方が安いと言えるのも、EVが普及していない今だからこそ言える話。日本中の全ての車両をEVに置き換えた場合、必要な発電量はどれだけ増えるか。発電量を増やすための費用はどこに乗って来るか。それを考えれば、EVが普及すればするほど電気代が上がる事は予想に容易い。冒頭に述べたような要因で電気代は既に高騰しており、EVの燃費がガソリン車より良いと言えるのはいつまでの話になるか怪しいものである。最終的には似たりよったりなものになるのではないかと私は思う。バッテリーの劣化に伴う交換費用、充電ステーションの設置費用、充電を待っている間の無駄な時間、冬場の効率悪化や充電不可になる可能性、それらを加味すれば、決して良い選択と言い切れない。

増えるリチウムイオン電池の需要

 EVに必要なリチウムイオン電池の材料も高騰している。先進各国の自動車産業がEV開発を目指し、なおかつエンジンほど高度な技術が要求されないEVに新規参入する企業が増えれば増えるほど、材料が高騰するのは必然と言える。

gigazine.net

 そうでなくとも身の周りに充電する必要のある機器は増えるばかり。バッテリー技術のブレークスルーが無い限り、当面はバッテリーの代金だけでEVが一般人には買えない高級車になる。少なくとも日本では既にそうなっている。トヨタのbZ4Xも販売からサブスク限定になった(それも申込み金77万)。今までも十分高かったのに、クルマ離れが叫ばれて久しい我が国ではEVなど普及しようがない。軽自動車だって200万円を超える時代だ。一番コスパが良いのは中古車か、そもそもクルマに乗らない事。

bestcarweb.jp

EVシフトよりもするべき事

 本当に人間が地球をいたわろうと思うならば、今の社会のあり方を根本的に見直す必要がある。どのような形であれ、今までの、あるいは今よりも便利な社会を求める限り、人類全体として地球に与える環境負荷は変わらない、あるいは増えつづける。それはどう足掻いても変わらない。

 本気も本気で環境問題に取り組むなら、国民全員に職場から徒歩あるいは自転車で通える距離に住む事を義務づける、くらいの勢いの事をしなければ、もう地球環境を救うには間に合わないだろう。ただ、それをすると国力が落ちる=他国に出し抜かれ、国家という名の人間の群れ同士の生存競争で生き残れない。人間の欲深さの面でもそういった方向へ舵を切るのは実質不可能なので、人類の行く末は既に詰んでいる。

 残された時間、せいぜい人間として楽しませてもらおうじゃないか。