先日、キュービクルに特殊な装置か何かを付けることで電気代が節約出来るとの営業があった。あまり聞いた事がない機器名だったのでネタにする。
省電力装置
という訳で電話対応した人に少し話を聞いた。どうやらec_mo(一応、伏せ字)という商品で、電気機器につなげるだけで節電効果があると謳っているらしい。前に聞いた◯電王とかいう製品とは違うようだ。Twitterでも検索したがまあまあ前からある製品らしい。
一応、ggって見るとそれらしき製品のページが。著作権どうこう言われると面倒なのでこちらで模式図的に作成した画像を貼っておく。
さて、特許取得商品と記載があるので特許情報を下記のサイトで検索してみた。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
「特許・実用新案」においてローマ字、カタカナで製品名検索したが、それらしき物の情報は出て来なかった。会社概要に記載の会社名でも検索したが、公式サイトに記載のある「2018年」では登録が無い。と言う訳でまず特許取得の事実は確認出来なかった。他社製品で同名の登録はあるようだ(日立や三菱電機等)。ひょっとして”商標”登録はしているという意味か?技術的な話ではないのか?
製品名や会社名で検索すると、上に記載したような製品サイトや会社名のWikipediaがしっかり出て来る。どうやらSEO対策はかなりしっかりしているようだ。会社の所在地も確かに確認出来る。
原理を解説した画像もあったので同じく模式図を貼っておく。こんな感じ。
トルマリンの別名は確かに電気石だが、その由来は圧力や加熱によって起電力を発生させる特性にある。これは逆に言えば常に圧力をかけ続けるか、加熱し続けるかしなければ起電力が生まれないという事。そんなトルマリンから法人の電気代が減らせるほどの電力を繋いでおくだけで発生させられるなんて!すごーい!そんな事が出来るならもう発電所なんて要らないね!世界のエネルギー問題は解決だ!ノーベル物理学賞レベルの大発明だ!電気自動車だってトルマリンさえあれば充電せずに走れるじゃないか!
ちなみにトルマリンの電気的特性の話を利用した商品は昔からあるようで、1990年代から健康科学の分野でも利用されているらしい。少し調べただけでも電磁波遮断、マイナスイオン発生、遠赤外線効果などなど、もはや神の石レベルの扱いである。科学的なことを知りたいとうっかり「トルマリン、電気特性」とかで調べるとその手のサイトが山盛り出てくる。一見、いかにも正しそうな事を書いてあったりするので、その手の知識がない人間がうっかり読むと騙される可能性がある。ネットで真実の時代は終わったのだなと実感させられる。「自由電子」というのは確かにあるが、電気回路はもともと自由電子の動きを利用するものであって特別なものでも何でもない。
フェライトコア(フェライト磁石)は確かにノイズ除去に使用されたりする。それで電気の流れを潤滑にできるんだー!すごーい!じゃあ何で電線とかあらゆるケーブルにフェライトコア付けまくらないんだろうね!
フェライトコアが必要になるのは、簡単に言えば液晶モニターなど。要は電気を [ 信号として ] 扱う機器。信号が乱れると画面の乱れ等につながるのでノイズカットが必要になる。電気の流れを滑らかにする、などといった用途では使用されない。オームの法則 V = IR を見ても、その中に出て来る要素はV:電圧、I:電流、R:抵抗 だけであってノイズは関係ない。
茶番はさておき
昔からこの手の製品はよくあるらしい。今回の装置はTwitterでは少なくとも3年前くらいから確認出来る。節電器の詳細は下記リンクに譲る。