ヤマネコ目線

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人類は労働から開放され得るか

 ベーシックインカムに関してツイートしていたら、「将来ロボットによって人類が労働から開放され、失業者が溢れた時のために予防的に必要」、とのご意見があった。今回はそれに関して少し書きたい。

労働からの開放はあり得るか

 ハッキリ言って私はNOだと思う。残念ながら人類が労働から開放される日は来ない。

 まず、あらゆる仕事をロボットに置き換えられるだけの技術力が達成されたと仮定して話を考えよう。果たしてロボットにでも出来る仕事に価値はあるだろうか。逆に言えば仕事とは価値があるからこそ人間が行うものである。ロボットによってあらゆる仕事が無価値になってしまった所で、人間は更にその先を求めるのは明白。そこにはただ新しい仕事が発生するだけだろう。ロボットは誰が管理するのか、誰がメンテナンスするのか、誰が修理するのか、誰がどこで作るのか。新しいロボットの開発は必要ないのか?

 人間とは無いものねだりな生き物である。もし完全に仕事がなくなってしまったとしても、そこでは「とりあえず何かをしたい」という欲求が湧く。それが新たな人間の仕事となり、結局は人間が出来ることに物事の価値の主眼が置かれることに違いはない。

 ロボット自体に関しても、そこまで万能なものが出て来るのに何年かかるだろうか。正直私はそのあたりについては数百年~千年先レベルの話だと思っている。それも、もしそれまでに人類が絶滅しなければの話だ。

 ロボットはそれほど万能なものではない。技術特異点はそれが必ずしも我々の社会における仕事をロボットが一掃することを意味するものではないし、むしろ人手不足とされている業界はおよそ人間を超えたような知能は必要としない。それほどのロボットを投入して採算が採れるような業種は稀だろう。ロボットでも出来る仕事が無価値になるならばなおさら、ロボットを投入することには難しくなる。人体錬成の話ではないが人間ほど安く出来ているロボットはない。

ベーシックインカムは必要か

 ロボットによって失業者が大量に出るからベーシックインカムは必要、と言われても正直ピンと来ないが、現実的に考えて見るとどうだろうか。ロボットが必要とされるのはまずどんな業種か。日本で言えば介護職のような「万年人手不足」な業界だろう。ここで疑問なのは、真っ先にロボットが投入されるであろう業種はそもそも人手不足なのにそれで失業者は出るのだろうか、という点。

 仮にロボット労働者が出来たとして、当面はそのあり方が置き換えというよりは人員補充という形になるのではないか。これはロボット労働者を導入できるだけの余裕がある事業所での想定で、採算が取れない事業所であれば導入自体しないだろうし、その点で言えばコロナウイルスのように、状況がすぐ逼迫し得るようなスピードでロボット労働者が社会に浸透するとは思えない。

 結局、ロボット普及で大量失業者が出るぞというのは、社会保障制度全般を破壊してまでベーシックインカム制度を導入するための口実としてはいささか説得力がないように思う。むしろそんないつ来るか分からないレベルの危険を煽ってまでどうしてベーシックインカム導入を煽るのか私には理解できない。