先日、以下のような記事を書いたが同じようなネタがAmazonにも落ちている。と言っても実際に私自身が購入した訳ではないことは断っておく。
Amazonで「ノートPC」と検索すると出てくる激安ノートPCの数々
Amazonで「ノートPC」と検索すると上図のようなパソコンがかなりヒットする。お値段も1万円台から少なくとも3万円を切っていてかなり手を出しやすい。しかしこの手のパソコン、何も知らないで買うと痛い目を見ると思う。
たとえば上の図では商品名に「爆速第4世代Core i7」と書いてあるが、この第4世代Intel core i7-4600Uが発売されたのは2013年9月。実に11年前のCPUであり、参考までに以下のサイトで性能を見ると下から19番目とお世辞にも高性能とは言えない。「爆速」とは何が爆速なのか。「使い始めてから投げ捨てたくなるまで」か。
どの程度の性能かと言うと、最近流行りのミニPCに採用されているN100とダブルスコアを付けられている程度。というかN100つよ・・・。私は職場でIntel core i5-8265U (第8世代)搭載のノートを使っているが、事務処理なら別にこれでも不便無い。上のサイトで見ればi7-4600Uの倍以上のスコアなので、たった2世代でもそれなりに差がついている場合がある。
CPUに関して
同様のAmazonで売られている再整備品のPCを見ると、第4から新しくても第8世代くらいのCPUが乗っている。しかし最新のCPUは第15世代相当*1であり、全体的に古い。事務処理くらいなら第8世代でも不便無い可能性はあるが、買う前にどんなCPUが載っていてどの程度の性能かは確認する方が良い。
なお、「core i7が最上位」というイメージのある方もいると思うがノートPCに関して言えばそうとも限らない。マルチコアで処理しなければならない作業をするならともかく、事務処理程度ならcore i5で十分。
たとえば最新のIntel core 3 100ULの場合でも 6コア / 8スレッドと、 Intel core i7-4600Uの2コア / 4スレッドよりコア数もスレッド数も多い。というかi7のくせに2コア4スレッドかよ・・・そりゃ4コア4スレッドのN100に負けるわ*2。
CPU型番の「U」はモバイルPC向け低消費電力版。「Y」は同超低消費電力版。サフィックスありすぎて面倒くさい。
OSに関して
メルカリ関連の記事でも触れたが、古いCPUはWindows11非対応。具体的に言えばIntel CPUなら第8世代以降、AMD CPUはZEN+ (Ryzen2000シリーズ)以降でなければ基本的に入れられない。無理やり入れる裏技はある。
つまり第7世代以下のCPUを搭載している再整備品は、無理をしてWindows11を入れているということ。もっとも、Windows10の新規ライセンスは販売終了しているので新たに入れるとすればWin11しか選択肢は無い。
入っているWindowsのライセンスが正規品かどうかは業者の良心による。しかしWin11 Homeのライセンス単体でも1万円以上するので、全体の価格から見て正規ライセンスである可能性は低いと思わざるを得ない。
ちなみにWindows11の発売日は2021年10月である。たとえば冒頭で触れた第4世代CPU=2013年発売のCPUで、8年後のOSを動かそうとすればどうなるか。動くのは動くだろうが動作が遅いことは予想できる。ストレージがSSDに換装されているようなのでその分は多少マシだろうが。
メモリ
ぱっと見て8GBや16GBが多く、この辺りなら問題無い。しかしたまーに4GBしかないゴミがある。今の基準では8GBが最低ライン。
試しにGoogle Chromeだけを開いてタスクマネージャーを見るとこんな感じ。OSはWindows10。メモリ4GBでは確実に足りない。Photoshopを使うのに8GBでも足りなかったので16GBに増設している。
「私のPC、メモリ4GBでも動いてますけど」と言う人がいそうだが、ストレージの一部をメモリ代わりに使って補う機能がある。だから少々メモリ不足でも助かっているだけ。処理速度は落ちているはず。
足りないなら増設すれば良いだけだが、増設しやすい設計とは限らないので場合によってはノートPCの底面を丸ごと外したりする必要がある。メーカーによってはキーボード側も外さないといけなかったり面倒で素人には厳しい。
メモリを買うならCPUが対応しているメモリの規格/速度に注意。すでに刺さっているものに+するなら同じものを買う。
ちなみにIntel公式(以下)よりcore i7-4600Uのメモリ仕様を見ると上図の通り。DDR-3っすか・・・もうDDR-5が普及し始めた頃なのに。Amazonで調べたらDDR-3のノートPC用メモリが売っているので、手に入らない訳ではなさそう。LPDDRはLow PowerDDRの略=モバイル向け低消費電力版。
ド素人ならあり得ると思うので書くが、メモリを買うにしてもノートPC用、デスクトップ用を間違って買わないように。DIMMがデスクトップ用、SODIMMがノートPC用。ノートPC用の方が短い。古すぎて手に入らないパーツだったら?中古で使えるかどうか分からないものを漁るか、諦めるか。あとどこのメーカーのを使っているかも分からん。まともなメーカーでもそこまで公開しないのは普通。
メモリーの基礎知識 | アイ・オー・データ機器 I-O DATA
ストレージ容量
256GBのSSDが多い印象。たまーにHDD搭載の化石がある。256GBが最低ラインという感じ。100GBは少ない。512GBあればまあまあ良い感じ。
Windows11あたりはおそらくストレージへのアクセス頻度が高いか何かでHDDを使うと遅い。なのでHDD搭載は論外。データ用に使うなら良いがOSを入れるストレージはSSDの方が良い。
というのは基本として、中に入っているSSDもそれなりに古い or 微妙なメーカーのものである可能性はある。素人はそんなもの確認しないので。Amazonで検索するとSSD単体でも整備済品が出てくるし、256GBで聞いたことも無いようなメーカーのSSDがずらり。
つまりSSDでもそれなりに長い時間使われた中古のもの、あるいは訳のわからん中華メーカーのものが使われている可能性がある。特に後者の場合、最初は確かに使えていたが1年くらいで壊れた、なんてことになりかねない。個人的に信用できるメーカーのSSDは256GBでも6,000円くらいするが、そんなものの新品が入っている訳がない。
ウイルス対策ソフト
↓のようなセキュリティソフト入りを謳うものがあったが絶対に要らない。Windows11は標準でセキュリティが高く、昔のOSのように余計なウイルス対策ソフトなんか必要無い。
というか何だこれは。7、8年くらい前のPCにWindows11を入れてこんな訳のわからんソフトまで入れたら動作が余計に重くなる。買ったPCにこんなの入ってたらブチ切れそう。余計なウイルス対策ソフトはそれ自体がウイルスみたいなもん。三菱電機へのサイバー攻撃にウイルスバスターが踏み台にされたように、余計なものは入れない方がマシ。
ウイルスに感染するような使い方をしている人間はこんなのあったって感染する。雑魚スペックのPCなのであえてそういう使い方をしたって良いが。
Officeライセンス
Microsoft Office搭載をうたうものが多いが、正規ライセンスが入っているのかどうか疑ってしまう。吉田氏の動画のように「搭載(インストールしてあるという意味でライセンスが付属しているとは言ってない)」、の可能性はある。あるいは普通に使えるがライセンス自体は不正な手段で通したもの等。
最新のOffice2024 Homeでダウンロード版が約3万円することを考えるとどうだろう・・・ボリュームライセンスならそのまま使えるのか・・・?WindowsとOfficeの正規ライセンスだけで45,000円くらいするんだが。
WPS OfficeというKingSoftが出しているOffice互換品もあるので、Microsoft Officeなのかどうかは要チェック。少なくとも仕事で使うのはやめた方が良いと思う。
バッテリー持ち
どうしても古いPCなので、この手のノートPCにバッテリー持ちを期待するのはむしろ期待する方が悪い。おそらくメーカーのサポートや予備部品も無いのでは。ACアダプタにつなげて据え置きで使う前提で買う、くらいでないと。
冒頭で貼った商品、Amazonの商品詳細を見るとバッテリー欄に 2000ミリアンペア時と記載がある。他のメーカーのバッテリー容量を調べると3,850mAhなどもあって比較的少ない気はする。
それにしてもこれ、新品の時のスペックだよね・・・?今現在の実測値じゃないよね?
搭載端子類
元のPC自体が古いので、搭載端子類も古いことは考慮した方が良い。たとえばUSB3.0は2008年登場で問題無いが、USB3.1は2013年7月に登場したので、冒頭で貼ったPCにはUSB3.0までしか搭載されていない可能性が高い。実際、ページの端子類の説明にはUSB3.0まで。
よほど速度を気にする必要が無い限りそこまで気にならないかもしれないが、SDカードスロットはあるか、映像出力端子はHDMIかVGAか等は気にしても良い。光学ドライブ内蔵はありがたい面もあるが、本体はどうしても分厚くなる。
耐久性
期待するべくもない。再整備品なのである程度メンテナンスはされているだろうが、実際どこまでしっかり整備されているかは消費者目線では分からない。USB端子が早々に使えなくなった、ACアダプターの端子が折れた、液晶のバックライトがおかしいetc.は出てきてもおかしくないし、保証も効かないと思う。
物理的なスペック
持ち歩く場合は重さがどうしても気になるところ。この点は日本メーカーで唯一褒めて良い点だと思っている。筐体の出来は良いものがあるしLet'sNoteなんかめちゃくちゃ軽い*3。
と思って油断すると冒頭で貼ったPC、商品重量約2.5kg。15インチでこのくらいの世代のノートPCは割とこれくらい。いざ持ち歩こうとすると重い。バッテリー容量の記載が信憑性に欠けるし重さも合ってるのかわからん。
今どきの超薄型ノートPCと違って物理的にスペースを取る(厚みがある)のも微妙。
結論:低スペックでも良いから使い潰せるものが欲しいならアリ
パソコンに関してある程度目利きができてどの程度のものかを理解し、手軽に使い潰す程度に考えるならアリ。特に第8世代CPUならネイティブでWindows11に対応しているし、性能もモノによっては不満が無い(CeleronとPentium、Atomは世代に関わらず買わない方が良い)。
プライベートでガンガン使って大事なデータも入れておきたい、と思うならもう少し良いものを買うことをオススメする。あと子どもに買い与える場合も新品でそこそこ良いのを買うべき。あんなPCを与えたらパソコン嫌いになりかねない。スペックがそこそこのものを遠慮なく使い潰せるオモチャとして与えるなら良いが。でもゲームは厳しいからなあ・・・。
Office搭載のノートPCでまあまあなスペックのPCを探すとこんな感じ。メモリ8GBは微妙だが512GB M.2 SSD、IPS FullHD液晶でまあまあ良さそう。ただし電源ボタンがテンキーの「- (マイナス)」の上に付いているのはゴミ。
搭載CPUは冒頭で貼ったベンチマークサイトを見るに、core i7-4600Uの約4倍の性能がある。それだけでもこちらを選ぶ価値があるのでは。
余談:ミニPCは買いか
Amazonでは中華の激安ミニPCも売られている。たとえばこれなんか22,500円。Windows11の正規ライセンスは少なくとも15,000円するのにこんな値段で買えるなんて、不思議だね。というのはさておき、オモチャとして買うなら悪く無いかもしれない。オモチャとして、なら。