ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

実習生問題と日本の現状

 書き散らし。技能実習生に関するセミナーを受けて、想定の範囲内のことが大半だったがそうでない内容もあったのでネタにする。さすがにセミナーの内容すべてを書く訳にはいかないが。主にベトナムからの実習生について。

 過去の類似の記事は↓

manuller416.hatenablog.com

今や魅力がない日本

 多くの人がうすうす勘付いている通り、今や日本はベトナム人からしても出稼ぎ先として魅力がない。オーストラリアに行けば日本円換算で月約38万円稼ぐことが出来る。なので実習生の中でも良い人材はオーストラリアへ行く。その次に彼らが行きたがるのが台湾。その次が韓国で日本は4番目である。つまり日本に入ってくるのは今や四流の人材しかいない。というかオーストラリア良いなあ・・・俺だって行きたくなってる。向こうは向こうで物価が高いのだろうが、出稼ぎ先としては魅力的。

 出稼ぎ先として日本にそこまで魅力が無くなった理由は低賃金・悪待遇・重税・通貨安の4重苦だから。

 まず低賃金はお察しの通り。技能実習生の賃金は最低賃金にほぼ張り付いている。最低賃金より上だったとしてもその額はたかが知れたもので、決して高いとは言えない。40円50円上とかそんな程度。先に挙げた国と比べればもはや情けなさを感じざるをえないレベルで低い。日本へ来るのはお金を稼ぐためが第一の彼らにとって、もうこの時点で日本は終わっている。

 悪待遇もお察しの通り。技能実習生が来るのはそもそも日本人がやりたがらない仕事の現場。つまり言い方は悪いが日本社会の最底辺。キレイな寮なんてあるハズもなく、業界によってはパワハラ、セクハラが横行し、下手すれば給与も実質的に最低賃金を下回っていたりする。この辺の悪い事例は挙げ始めるとキリがないが、最近で言えば建設会社での暴行事件なんかが有名か。

www.asahi.com

 重税は我々が身をもって知る通り。技能実習生でも当然、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・住民税・所得税が少ない給与の中からがっつり取られて行く。健康保険・厚生年金はメリットもあるし後で返ってくるものがある(年金の脱退一時金)から良いとしても、やはり手取りは減る。オーストラリアはここまで重税ではないらしいので、その点でも魅力が無い。

 最近では「住民税非課税世帯に5万円の給付金」という話もあるが、その給付金は住民税非課税でさえあれば出る=当然、技能実習生でも請求できる。ここで揉めるのが住民税非課税になっている実習生とそうでない実習生。親族をしこたま扶養に入れるようにしている実習生は住民税が非課税になるので、給付金をもらえる。一方でそうしていない実習生はもらえない。こういう所で揉め事が起きるから給付金出すなら出すで中途半端なことしないで欲しいのだが。

 なお、海外にいる親族を扶養に入れるためには親族関係の書類などを用意することに加えて、扶養する親族一人一人個別に送金を行った送金明細を保管しなければならない。「兄妹も扶養に入れたいが手数料を節約しようと思って両親にだけ送金した」、という場合はたとえいくら送金していようと扶養していると認められるのは両親の分だけ。

 これに加えて、来年からは扶養に入っているとみなされる条件として1人あたり年38万円以上を送金していることが加わる。今まで金額に条件が無かったのもおかしいが、この金額は金額でなかなかに厳しい。住民税非課税を目指そうと思えば大体3人は扶養に入れないといけないと思うが、それでも年間114万円を送金しなければいけない。実質不可能。

 そしてこの状況に最近の円安傾向がかかってくる。今や円はドルだけでなくドン(ベトナム通貨)に対してすら安くなっているので、ただでさえ少ない賃金がさらに目減りすることになり当然、ベトナム人としては面白くない。家族への仕送りの金額が目減りすることになるので、円安を理由に賃上げを要求してくる場合もある。というか、あった。下図を見ると単位的にはわずかに思うかしらないが、現地民からすれば差は大きい。

 通貨安の話ついでに言えば、彼らが来日するために背負っている借金はドル建て・ドン建てである。それも10万20万ではない。失踪するベトナム人の多くは円換算で100万円以上の借金を抱えている。そこに通貨安が重なって彼らからすれば借金が思ったようには全然減らない事態になっているのが現状。特に円がまだ1ドル110円台の時に来日しているベトナム人からすれば、こんな円安聞いていないという思いでいっぱいだろう。

 なのでベトナム人からすれば給与や残業を増やしてもらいたいと思う訳だが、そもそも人件費を削るために実習生を雇っている企業に最低賃金以外の要素で賃上げをする余裕はなかなか無い。残業を増やすにも、即戦力ではない実習生にさせる残業がない。となれば結局、実習生はお金を稼がないといけないのに合法的に稼げる方法がなくなってしまう。

 技能実習生が来日するための費用についてはいろいろ縛りがあるが、あくまでそれは建前であって実際は親族からの借金、現地のブローカー、送り出し機関に払う費用などを加味すると100万円以上はあり得る。正直、日本人としてこんな国にそこまでの借金を背負って最低最貧レベルの出稼ぎに来た彼らを哀れに思わざるを得ない。なお、具体的にいくら借金しているかはかなり口が硬いらしい。受け入れる企業・監理団体側には日本の外国人技能実習機構に来日する際にかかった費用を申告する義務があるが、その金額は当然のごとく虚偽。下手なことを言えば虚偽申告で実習そのものが中止、帰国せざるを得なくなるため。あえて(同情を買って残業を増やしてもらうために)借金の額を多めに言う人間もいるらしいが、その辺は人それぞれ。

 とまあこんな感じで、よほど日本に憧れでもしていない限り良いことが1つも無いレベルなわーくに*1なので、技能実習生の人材としての質が落ちつつあるのは当然と言える。実際、私のいる職場でも出身地を聞くと最初に来た人はけっこうな都市部だったのが、どんどんド田舎もド田舎という地域に移っている。直近で来日した4人のうち1人はあまりにやる気が無いのですでに帰国したし、挨拶できない遅刻あたりまえというレベルも今や珍しくない。まあ、そういう人材が今の日本にはお似合いという事なんでしょう。

 そこで犯罪者が増えるのも当然。清水の舞台から飛び降りるつもりで借金抱えて来た国が本当はろくでもない国で、お金もぜんぜん思ったように稼げない。となれば犯罪でも何でもやって稼いでせめて借金を返そうと頑張るのが彼らである。田舎から出てきた人間であれば、日本に巣食う悪い人間の甘い言葉にも騙されやすい。最近は特に失踪が増えているという。犯罪を擁護する訳ではないが、しかし彼らとて最初から犯罪で稼ぐために日本に来ている訳では無い。

 現地の送り出し機関も人があまりに集まらないので、機関によっては非合法的なことをしているという。コロナ陰性証明はお金さえ出せば出してくれる病院に頼む、健康診断の結果を偽造する、その他、都合の悪いことは隠してとにかく人を集めている。

特定技能で永住権が射程に入る

 これまでの技能実習は最大5年までだったが、近年創設された特定技能1号は就ける業種が限定されるものの最大通算5年まで在留することが出来る。技能習熟や日本語能力試験があるがこれは技能実習第2号を修了していれば免除されるので実質、無いものと考えてもいい。

https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf

 そして技能実習5年、特定技能第1号5年から特定技能第2号に移れば日本に在住する期間が10年以上となり、永住権取得が視野に入ってくる。この特定第2号は配偶者、子に限り要件を満たせば家族帯同可。

 なお、この特定技能として認められる職種はなかなかに限定的、なおかつ技能実習が認められていても特定技能が認められない職種がある。基準がなかなかに謎。たとえば飲食は認められているが、スーパーでの食品加工は認められない(スーパーは小売業なので)など。この辺の認められる認められないは業界団体の政治的影響力の強さが影響しており、業界の実情とは関係ない。

今後の日本

 言い方は悪いがあまり程度の良くない外国人が増えていくのは確実だろう。日本という国がそういうレベルの国になっているのでそれ相応の人材しか来ない。それだけのこと。「ベトナム人が減れば外国人による犯罪が減る」などと喜んでいる人間は完全に考えが甘い。人手不足は何らかの形で解消する必要があり、ベトナム人が減っても代わりに別の国から今まで以上に問題を起こしそうな人材が来るだけである。すでに技能実習生の国籍は一部でカンボジアに移りつつある。一応、永住権を取得するためには素行が良くなければいけないが・・・。

*1:我が国

IgEの値が4,000を切った

 以前、アトピー性皮膚炎の治療について書いたがその続き。今は1ヶ月に1度のペースで注射薬 デュピクセント を打ち続けている。基本的には過去記事の焼き直し。まだまだアトピー商法は世の中にはびこっているので啓蒙を兼ねて。

 最初に書いておくとIgEの値は成人基準値が170IU/mLである。私の場合、治療前のIgEの値が約41,650IU/mLだったが(桁間違いではございません)、これは基準値の約245倍に相当する。それなりに下がった今でも約3,700程度はあるので、普通の人の約20倍くらいアレルギー反応が強い。こんな所だけ強くても何にもならん・・・。

*下の記事でIgEの値、治療開始前は約41,000と書いていたが正確には約41,650だった。どうでも良いが。

manuller416.hatenablog.com

アトピー性皮膚炎はちゃんとした薬で治す

 今、処方されているのはデュピクセントという注射薬でこれがかなり効いている。前から書いているが別に案件でも何でもない。保険適用で1本約2万円する高級なお薬なのでむしろ案件くれ。ください。

www.support-allergy.com

 これはあくまで私の場合だが、デュピクセントは奈良県立医大付属病院で処方してもらっている。最初からすぐ処方してもらった訳ではなく、1度目の受診の際は本格的な血液検査をして注射薬を打っても良いかの確認+アレルギー品目の検査。その結果に問題が無ければ次の受診の際に初めて処方される。なお、最初に処方されるのは注射薬2本で注射自体は看護師さんにしてもらう。最初は2本=1本約2万円×2=約4万円+診療費等が必要になる*1ので財布の中身に注意。

 最初のうちはおそらく病院に通って、その場で看護師さんに注射薬を打ってもらうことになる。慣れてきたら自分で注射することが認められるようになるので、必ず病院に通って打ってもらわなければいけない訳ではない。もちろん、自分で打つのが不安なら都度、病院に行って打ってもらっても良いが。自己注射と言ってもいわゆる注射と言って思い浮かぶ注射器で打つわけではなく、ただキャップを外して腕などに押し付ければ良いだけの手軽な注射器があるので、その辺は心配しなくていい。

 注射の間隔は最初、2週間に1回だったがそれがずっと続く訳ではなく、IgEの値が下がるにつれて3週間に1回、4週間に1回と延びてくる。今は4週間に1度。最長で?2ヶ月に1度のペースにまでは落とせると最初に説明された。

ステロイド薬について

 アトピー商法においてしきりに悪者にされるのがステロイド剤。確かに良いことばかりでない薬ではあるが、かと言ってアトピー商法*2やスピリチュアルだのに頼っても絶対に根治しないので、そこまで症状がキツくないなら保湿+ステロイド薬+抗ヒスタミン剤で間に合うケースもあると思う。

 もし子供がそういう体質持ちならなおさらデュピクセントやステロイド薬といった皮膚科で処方されるきちんとした薬に頼るべき。妙な健康食品だの石鹸だのスピリチュアルだのに頼ると永遠に治らないし、そんなものにハマって症状が長引けば長引くほど子供は苦しみ、親への憎悪すら募らせていく。これは他ならぬ私のことだが。そうして症状が長引けばいろいろなモノが取り返しのつかない状態になっていくし、子供の人生設計にも大きな影響を及ぼすことになる。

効果の実感のほど

 私の場合、アトピーの勢いが強過ぎたので今まで何をやってもダメだった。抗ヒスタミン剤は全く効果なし、保湿も意味なし、ステロイド薬はほんの一時しのぎだった。そもそもIgEの値が4万overがなかなか居ないらしい。そんな数値が高くても何も嬉しくないわ!

 それはともかく、デュピクセントを打ち始めてから今まで実感することの無かったレベルで症状が緩和している。それは確かなのでかなり効果があるのは間違いない。打ち始める前までは少し痒いところを掻いたらその部分がもっと痒くなり、なおかつ痒みが広がる感じがあった。今はそんなことが全く無い。普通の人間の体とはこんなにも楽なのかと驚かされる。それ以外にも年中赤かった手足の甲が赤くなくなった。勝手に崩壊していくような肌荒れが無くなった。顔や頭が痒くて仕方なくて車の中や寝室で一人掻きむしるようなことが無くなった。痒くて眠れないということが無くなった。かつては痒くて掻いてしまうあまり体から血が出ない日が無かったし、何にも集中できなかったのだがそういうことが無くなった。

後悔先に立たず

 あと10年、いやあと15年は早くこの薬の存在を知りたかったな・・・デュピクセント自体が出来たのがまだ最近ではあると思うが。もし学生時代に処方されていれば万年寝不足による低身長、勉強が手につかない事による大学受験失敗もまだマシだったかも知れないのに・・・。まあ、私は所詮、失敗作ですよ。この記事をご覧の皆さんの中でもしアトピー持ちのお子さんがおられる方、妙な民間療法だのスピリチュアルだのは絶対にやめてください。ちゃんとした薬で治しましょう。

 

*1:あくまで私の経験では

*2:アトピーがなかなか治らないことを利用して健康食品などを売りつける商法

AI生成画像はイラスト投稿サイトに投稿すべきでない

 書き散らし。GIGAZINEさんでこのような記事があったが、「確かにな~」と思えることがあったのでネタにする。

gigazine.net

ウロボロスになる危険性

 StableDiffusionなどのAIの学習元には、様々なイラスト投稿サイトにある作品も含まれている。「Artstation」や「Pixiv」といったサイトがその代表例で、画像を生成する際の呪文(prompt)にどちらかを入れるだけでそれっぽい画像の生成効率が上がるほどだ。

 その学習データがいつからいつまでの内容で、現在も学習がどの程度進行しているのかは分からないが、たとえばその学習元サイトにAI生成画像が多量に放り込まれれば「AIが生成した画像から学習してAIが画像生成を行うウロボロス状態になることが予想される。

 後述するがそれが今後の人間による芸術活動にも、あるいはAIによるアート生成の試みにも良い影響を与えるとは思えない。そもそもPixivにある画像を勝手に学習元に使用するのはどうなんだろうか・・・私だって下手ながらもそんな許可出した覚え無いんだが・・・。因みに「Pixiv」にはR-18イラストが多いため、「Pixiv」という呪文は二次元イラストを生成する際に便利ではあるがセンシティブ判定で弾かれる可能性が高くなるらしい。

作品としての完成度が低い

manuller416.hatenablog.com

 これは先日の記事でも少し触れた内容が絡んで来るが、結局のところAIに出来るのは「サイズの小さい一見それっぽい雰囲気の画像を生成する」ことだけであり、最終製品としてそのまま使用に堪えうるものはまだ出て来ない。全体的な構図や雰囲気は良いものが多いが、拡大して見れば気になる所がたくさん出てくる。良く言えば宝石の原石がポンポン出て来る感じ。ただし、それをそのままイラスト投稿サイトに乗せるのはその原石をカットせずにジュエリーショップに置くようなもの。

 それは明らかに場違いなので、早急に原石専門の市場(=AI生成画像専門の画像投稿サイト)を用意すべきである。でなければあくまで「作品として完成されたもの」と「そうでないもの」が混ざり過ぎてしまう。人間からすればカットされた宝石を買いに来たのに、置いてあるものの半分が原石のままという感じになるし、AIからすれば中途半端なものから更に中途半端なものを作らざるを得なくなる。イラスト投稿サイトにAI生成画像を投稿するのは人間にもAIにもメリットが無い。

 自分で描けもしないキレイな画像をAIに生成させて投稿・いいねをもらって自己承認欲求を満たしたい場合はそれで良いか知らないが迷惑なので、やるならせめてInstagramTwitterあたりにすべき。「鑑賞の場」ではなく、ただ玉石混交のコンテンツがものすごい勢いで消費されるだけの場であればあまり文句は言われまい。

 「どの辺が完成度低いの?」と言う人はまず作品を見る目から養うべき。AIによる生成画像は確かに一見ほんとうに良い絵が出てくるし、それは私だってそう思うがよくよく観察すればおかしい点が目につく。特に要素が多い場合、AIをつかって拡大したりするとより目につく。スマホでしか作品を見ない人はおそらく画面の小ささで誤魔化されているだけ。

 上の画像は画像下部やや右側に鳥とも魚ともとれぬ得体の知れないものが生成されているし、建物も一見それっぽく見えるがよく見ればぐにゃぐにゃとした歪みがある。蝶は不自然なほど一箇所に固まり、蝶の群れ右下には謎のポールが建っている。そういった所は人間による手直しが必要だろう。あるいは構図そのままに描き直すか。結局、最後はその人間の絵を描く腕にかかってくる。

余談:「AIでぱぱっと作って」

 AIの登場で懸念されるのが「今ってAIで簡単に出来るんでしょ?ぱぱっとやっちゃってよ」と言い出すゴミクズみたいな人間の登場だが、そういう人間には「AIで簡単にぱぱっと作れるなら貴方がやれば良いじゃないですか」で終わりだと思っている。もし誰でも簡単にテキスト入力とクリックだけで実用と鑑賞に堪えるイラストが生成できるなら自分でやれば済む話ですよね・・・?本当にそんなことが出来るなら。

 因みに実際にStableDiffusionで遊んでいて思ったのだが、プロダクトデザインなんかをさせるのはかなり難しい。人間にとって面白い発想が出て来ることはあっても何かしら意味のあるものをデザインさせるというのは至難の業。なぜならAIには体も無いし、人間にとっての道具の意味が理解できないからである。

 それにしても、これからのイラコンは描く過程の動画も込みで投稿の時代かなぁ・・・海外のイラストコンクールで優勝した事例あったし。あれは生成画像の厳選に厳選を重ね、Gigapixelで拡大して自分で多少の手直しもしていたと思うが。

駐日ジョージア大使の発言についてほか

 書き散らし。9月9日に駐日ジョージア大使のツイートが話題になっていた。そしてこれを嬉々として引用・肯定するエセ保守が多かった。

 確かに故人に対する目に余る言動はよろしくないと思うし、今さら国葬が止められそうに無い上に外国からの来賓がある以上、ある程度は国葬の形を守るべきなのだろう。しかしそれが「日本の懐」だとか何だとかお前に言われる筋合いは一切無い。

 まずもって国葬に対してここまで反発が広がっている原因は日本政府、岸田政権の不手際にある。その不手際を差し置いてあたかも「国葬に諸手を挙げて賛成しない国民が悪い」かのような物言いがハッキリ言って大変気に食わない。なーにが「日本の懐」じゃ。「もう決まったことに文句を言うな」、「終わった事に文句を言うな」の2コンボで批判を封殺するクソ野郎と表現の婉曲こそあれ何が違う。

 それともあれか。好き放題する政府も韓国カルトとの癒着も血税の浪費も増え続ける税金も何もかも甘んじて受け入れるのが「日本の懐の深さ」か。だったらそんなもんクソ喰らえだ。大日本帝國時代へ帰れ。1930年代にでも帰れ。

あっ・・・(察し)
エセ保守人たち

 統一教会問題が表に出てからも安倍元総理をかばい、あるいは神格化すらしているエセ保守層に私は強い違和感とある種の恐怖を覚えている。彼らはまるで安倍真理教かのように安倍元総理を信奉しているのだ。長きに渡る安倍政権の下でこの国が果たして良くなって来たかどうか、そういう現実には一切目もくれずやれ「安倍元総理は死んでからも中傷され続けている」だの、「国葬はやって当たり前、彼の功績を認めろ」だのと抜かしている。

 安倍元総理が残したものには確かに功績と呼べるものもあるだろう。しかし現実、この国はどんどん衰退しつつある。少子高齢化は止まらずむしろ加速しており、アベノミクスで経済が良くなったかというと全くそんな事はない。そもそもブレインに竹中平蔵がいる時点で終わっている。

 その上でのエセ保守人の駐日ジョージア大使の発言への飛びつきはやはり気色悪い。普段から外国人に都合の悪いことを言われれば「内政干渉するな」だの何だのと言うのと同じ口で、今度は自分たちの主張に都合のいい援護射撃をする外国人を絶賛してみせる。いかにも大日本帝國臣民らしい日和見主義的で薄っぺらい愛国士感。嫌悪しか感じない。いかにこの国を良くしていくかという志など持っておらず、ただ国家権力を盲信し、外国からどう見られるかという外聞を気にするだけの人間は民主主義国家にふさわしくない。1930年代に帰るかとっとと国外なり何なり出ていって自分たちの国でも造るべきだ。

ひろゆき氏の言うことはまだ正論とは思う

 一方でひろゆき氏は「国葬に出る出ないをわざわざ言うのは遺族や参列者に失礼」「国葬で集まって騒ぐのは自重して大人の対応をすべき」とツイートしている。

 蓮舫議員や玉城知事が相次いで国葬を欠席すると宣言しており、その事に関しては私も違和感を感じる。わざわざ宣言することではないし、それをある種の支持層固めに使うのはそれはそれで気色悪い。行かないなら行かないで良いが黙って行動で示すべき。

 外国からの来賓がある以上、国葬の場で集まって騒ぐのも正直どうかと思う。どのみち止められない止められなかった以上、その責任を岸田政権に、自民党にきっちり精算させる必要はあると思うが、その精算の場は国葬の会場ではない。ある種、追悼の場なのでそこに節操なく集まり騒ぎ立てる人間たちに大衆はついて来ない。「国葬と葬式をごっちゃにするな」という意見もあるが追悼の場である事に変わりは無い。

 そればかりか最近の中核派議員や一部の心無い人間の言動によって、むしろ大衆には国葬を擁護しようとする心理すら働きつつあるようにも思う。要はいつもの流れ、サヨクが反対してるなら正しいことなんだろう」、そういう感じになりつつあるのが危惧される。いくら統一教会への嫌悪感などがあったとしても、「対中国侵略戦争をやめろ」などと抜かすような陣営に誰がついて行くだろうか。そういう連中への嫌悪感の方がよりストレートに出る。

 それでも国葬当日に会場の外で騒ぐ人間はいるのだろう。それはそれである意味では民意の表れと取るべきなのかも知れない。しかしそれを当の政治家たちや外国からの来賓、そして日本における大衆がどう取るかは推して知るべし。

白いキノコは死の味わい

 書き散らし。通称「死の天使」、「破壊の天使」と呼ばれるキノコが増えているという。キノコは今どきスーパーで安く確実に安全なものが買えるのだから、わざわざキノコ狩りに行く必要はあるのだろうか・・・楽しいんだろうけどその楽しさとリスクが釣り合わん。

news.yahoo.co.jp

 少し前はカエンタケで騒いでいたような気がするが、今度は更にヤバイヤツが出て来た感がある。

 カエンタケは触れただけで毒性があるともされ致死量もわずか3gとそれはそれでかなり危険なヤツなのだが、まだ見た目からして毒がありそうというか、キノコらしいキノコでもなく食う気にもなれない見た目をしているのがまだ良心的。そう、御三家に比べれば。

猛毒キノコ御三家

 猛毒キノコ御三家とされるのはドクツルタケ、タマゴテングタケ、シロタマゴテングタケの3種。これらはいずれも白かそれに近い色をしている。タマゴテングタケは傘が白っぽくは無いが、逆にいかにも食欲をそそるキノコらしい見た目、キレイな傘をしている。それが逆に恐ろしい。

ドクツルタケ

 ドクツルタケは致死量こそカエンタケよりも少ないとされるものの、それでも1本食えばほぼ死ねるとされるので危険性は変わりない。それより怖いのはその症状で、上のリンク先の記事にもある通り食べた直後に出る症状は1,2日で一旦はおさまってしまう。しかし、1週間~10日くらいすると重篤な症状が急激に発生してそのまま死亡する。一旦症状がおさまっている間に毒の成分が肝臓や腎臓を破壊、他の臓器に必要なタンパク質の合成が行えなくなり、多臓器不全で死亡するとされる。1週間~10日くらいの死刑執行猶予がさながら「親しい人に別れを告げる時間を与えているかのよう」だから死の"天使"なのだろう。

 過去の事例を検索するとどうも「毒キノコは茄子と一緒に煮れば毒が消える」、との迷信を信じて調理して食べた人が普通に死んでいる。そういう迷信を信じるのはやめましょう。消えるのは毒ではなくお前の命

タマゴテングタケ

 タマゴテングタケ「世界でもっとも有名な毒キノコ」としてギネスブックにも載っている。傘は生え始めがキレイな白、大きくなると茶色のいかにも美味しそうなキノコ。ヨーロッパでは「Death Cap(死の帽子)」とも呼ばれ、もちろん猛毒で症状もドクツルタケに似ている隙を生じぬ二段構え。ただ主な分布範囲がヨーロッパ、日本では北海道で希に見つかる程度らしいのがまだ救い。冷涼な気候が合っているのだろうか。だとすれば温暖化で分布範囲が広がる心配はあまり無いだろう。

 なお、アマトキシン類一般的な加熱調理程度では分解されない。火を通せば安全になるタイプの毒もあるがこいつは違う。加熱したから安全とかそういう生半可な考えの人間を確実に殺しに行くスタイル。というかお察しの通り、こういう毒キノコは御三家に限らずどれを食べても近縁種なら大体おなじような症状で死に至る。毒成分がそう変わらないので。

シロタマゴテングタケ

 ドクツルタケ同様の「死の天使」と言った異名を持ち、新潟県では「イチコロ」と呼ばれるという猛毒キノコ。基本的にはタマゴテングタケの白いver.みたいなもん。クロタマゴテングタケもあるよ!というか、御三家とは言うものの有名かつどれも白(っぽい)というだけで、猛毒キノコだけでファミリーだとか戦隊モノだとかが作れそうな感じはする。

 余計な話ではあるがタマゴタケは毒キノコっぽい赤い外見に反して食用にできる上に美味らしい。キタマゴタケも食用に出来るらしいがタマゴテングタケとの誤食が多いらしいので、どうしても野生のタマゴタケ類が食べたいと言うのならせめて赤くて見分けがつきやすいタマゴタケに絞るべきな気はする。この記述を鵜呑みにして毒キノコを食べたとしてもその責任は一切負いません。野生のキノコを食べるなら自己責任でお願いします。というか死にたくないなら野生のキノコ食べるな。

誤食しやすい毒キノコ

 ここまで普通に1本で死ねる系の御三家について書いたが、それ以外に誤食しやすい毒キノコもある。

クサウラベニタケ

 通称「名人泣かせ」、「偽シメジ」。その名の通り名人でも間違うほど姿がころころ変わる厄介な毒キノコ。御三家はまだ見分けが付きやすいレベルだがこいつは間違って販売・流通することもあるとされるほどの変装の達人。調べた限り猛毒という訳でもないようだが、毒=毒成分の強さ×量なので食べても死なない保障などどこにも無い。

www.mhlw.go.jp

カキシメジ

 これも誤食の多いキノコ。チャナメツムタケという食用キノコに似ている。確かに厚労省のページ、湿っている時の写真を見るとかなり似ていることが分かる。毒成分のウスタル酸(ウスタリン酸)は水溶性であるため、キノコそのものは当然だが煮汁などをどれだけ飲んだかで症状の出方が違うらしい。今のところ死亡例は無い。

www.mhlw.go.jp

ツキヨタケ

 地方によっては「毒あかり」「光だけ」とも呼ばれる毒キノコ。その異名の通り暗闇で目が慣れれば光って見えるという。ただし、光るのはヒダだけでそれも新鮮なうちだけらしいので採取して時間が経つとおそらく見分けるのは難しいだろう。

 そしてこいつは似ている可食キノコがそこそこある上に死亡例がある。主な毒成分であるイルジンSは加熱や塩蔵でもほとんど分解されない。激しい下痢・嘔吐、消化管出血性炎症によって死亡する可能性があり、御三家ほどではないが誤食のしやすさとそれなりに高い毒性から危険な毒キノコと言える。

www.mhlw.go.jp

https://www.fsc.go.jp/sonota/haz_tukiyo.pdf 

ドクササコ

 名前からして毒とついている誤食がそれなりにあるキノコ。傘の中央部分がくぼんでいるのでまだ見分けがつきやすい・・・のか?これも死亡例あり。

 地方によっては「ヤケドタケ」などとも呼ばれ、食べると手足などの体の末端部分がやけどを負ったように赤く腫れ上がり、1ヶ月以上激痛が続く。消化器系への作用は無いらしいが、1ヶ月以上24時間絶え間なく走る激痛は相当な精神的苦痛でありそれで自殺する場合もある。あるいは患部は冷やせば症状が緩和されると言うのだが、冷やすために水につけた結果、そこから感染症を併発してそれで死亡するという例もある。

www.mhlw.go.jp

余談:白いキノコでも

 白いキノコ=絶対に毒、という訳でもない。オニフスベは白くて丸い得体の知れないようなキノコだが食べられる。ただし、成長するとアンモニア臭がキツくなるので中身が白い幼菌時しか食べられないらしい。味は「不味くもないが美味しくもない」とか。まあ、見た目からそんな感じはする。

kinoco-zukan.net

 キノコ以外に関しても、知識なくその辺のものを食べるのはかなりの危険が伴う。ウシガエルやザリガニ、ナメクジまで調理して食べるYouTuberが世の中にはいるが、それは調理方法を含めた事前の知識あってこそのものであって、素人がうかつに手を出すべきではない。ふざけてナメクジを食べた男が広東住血線虫症によって死亡した例もある。

www.huffingtonpost.jp

 キノコは普段から食べ慣れた食材であるし、キノコ狩りという言葉もあるくらいなので被害に遭いやすい。本当の被害者は勝手に引っこ抜かれて食べられるキノコなのだが。

― いつから"狩る"側だと錯覚していた・・・?

 

アスペクト比の最適解:StableDiffusion

 StableDiffusionでの遊びを続けているが、生成画像のアスペクト比によって構図が結構変わり得ることを知って改めて生成画像のサイズについて試行錯誤をしている。

704×512 テスト生成

 アスペクト比変更例。512pixel四方では「wide angle」などと入れてもなかなか広角っぽい絵は出てこないが、アスペクト比を変更するとあっさりそれらしい構図が出てくる。

manuller416.hatenablog.com

gigazine.net

生成画像のサイズには縛りがある

*これ以降、上のGIGAZINEさんの記事内にあるStableDiffusionGUI、初期設定で試した内容を前提で記述する。

 StableDiffusion(以下、SD)で生成できるサイズは「64の倍数」という縛りがあり、その中で自分が生成したいアスペクト比に最適な組み合わせを考える必要がある。なお、SDのデモ版(ブラウザから出来るもの)ではこの画像生成サイズは固定(512pixel四方)なので特に関係ない。DreamStudioは変更可能だが正方形のみだったような・・・?下の表はサイズの組み合わせ。適当に作ったので縦横で被りがあるのはご勘弁。

縦横サイズ組み合わせとドット数
16:9比率の最適解

 一般的なFullHD(1,920×1,080、16:9)のアスペクト比に対応した組み合わせは以下の通り。総ピクセル数が少ない順、多少の誤差あり。

  • 448×256
  • 576×320
  • 704×384
  • 832×448
  • 896×512
  • 1,024×576

 これらが大体、アスペクト比的にFullHDに近くなるはず。ただし、VRAMが少ないと生成できる画像の大きさに制限が出てくる。私のPCで試した限り、VRAM 8GBでは生成できて総ドット数360,448が限界。残念ながら下3つは厳しい。次にグラボを買う時はもう少しVRAMが多いものを選ぶとしよう・・・。

 VRAM 8GBでオススメのサイズは704×384。総ドット数が性能限界から約9万ドットも少ない、かつアスペクト比がほぼ完璧に16:9。計算上は違うがPhotoshopで拡大してみればほぼぴったり。

CPUでも出来ないことはない様だが・・・

 GIGAZINEさんの記事ではほかに、GPU(グラボ)ではなくCPUを使用してSDを使用する方法も紹介されている。

gigazine.net

 ただし、「512pixel四方1枚の画像生成に18分30秒かかった」との事なので実用上はなかなか厳しいものがある。GPUを使用すれば上記のようなアスペクト比で5枚生成するのに5分とかからないし、画像生成は良いものが出てくるまでのある種のガチャ的な要素もあるので、1枚の生成にそこまで時間がかかるのは厳しいものがある。というかそこまで待ってられん。

生成した画像の活用方法

 生成できる画像の最大サイズは1,024pixel四方なので、最大サイズで生成できてもその大きさはFullHDに満たない。なのでそうした画像はGigapixelやWaifu2xといったソフト、サービスで拡大して使用する予定。主に絵の背景として。あるいは絵を描く際に構図の参考にしても良い。風景画がどうも苦手なので、代わりに構図などを考えてもらうのもいいかなと思っている。それにしても、SDで遊び初めてからリアルで油絵の風景画を描きたくなった。技術がまず追いつかないだろうが楽しそうではある。画像は画像なので現実の絵画にする際に特殊な絵の具を使い、鑑賞した時の効果で差を付けるのもいいだろう。

余談:苦手なもののパターン

 AIが苦手とするもののパターンがだんだん分かって来た。それは「形が変わりやすいもの」。たとえば蝶を指定しても、妙に溶けた蝶が生成される場合がある。これは蝶がひらひら羽ばたくがゆえに画像としての形状にバラつきが出るためだろう。

花火を生成させたが・・・何か変

 同様に花火なんかも苦手のようでイラストの背景画像を生成できないかといろいろ試行錯誤していたが、私にはどうあがいてもキレイな花火の画像を生成させることが出来なかった。これも花火と一口に言っても炸裂する大きさや色、風に流された場合の火花の落ちる方向などのバラつきが多く、「花火とは何か」を真に理解していないAIにはそれらしい絵が出しづらいようだ。

 結局、花火はCLIP STUDIOで有志によって配布されている専用のブラシの方がずっと手軽かつキレイにイラストを描けるのだった。思えば人間の顔だって崩れがちだが、たしかにパーツの描き方は千差万別。表情によってもころころ形が変わる。風景はある種、不変に近いので得意なのだろう。やはりモノによってAIに任せるか自分で描くかを考える必要がある。

アニメの見方

 書き散らし。ONE PIECEの映画の見方について会話していて思ったことをネタにしてみる。私は絵を描く人間の端くれでカメラ趣味なので、アニメを見る上ではどうしても作画の難易度やカメラワークといった観点が入ってしまう。そういうメタ的な要素についての話。ぶっちゃけ私はFate(ufotable製作)を見るまでは「アニメ映画はやっぱアニメ映画」という認識だった。しかし製作側のことを考えるとやはり最近のアニメは凄い。

炭治郎の羽織は凶悪

 鬼滅の刃の主人公、竈門炭治郎の市松模様の羽織はなかなか見る側にとっては何てことないように見える柄だが、描く側からすればかなり面倒くさいものの好例。単に私の技量が無いのもあるが、あれをいざ描こうとすると結構難しいものがある。

 市松模様はシンプルな図柄な分、かえって誤魔化しが利きづらい。正方形の図柄の組み合わせ、それを羽織という曲面に着物らしく見えるように落とし込まなければ違和感が出る。それも実際に炭治郎でggってもらえば分かるが、服としてのシワや縫い目、部位による柄の大小といった要素も込みで考えなければならない。これが見る側はあまり意識していないだろうが、描く側はかなり意識しているし疲れる点。自分で絵を描く側になればそういった所が見えて来て面白い。というかよく吾峠先生はあれを週刊連載で描こうとしたな・・・

アクションシーンの差

 アクションシーンではアニメスタジオの力量がよく分かる。大抵のアニメではキャラクターが見切れるほど寄りで、なおかつ望遠で撮っているかのような狭い画角でスピード感を演出して良く言えばそれっぽく見える工夫を、悪く言えば誤魔化した描き方をする事が多い。

 その点、キャラクターの全身がカメラというか、画面に収まっているほど作画のレベルが往々にして高い部類であると言える(と思う)。もちろんアニメスタジオによってそれぞれの良さがあるし、「どこまで求められているか」もそれぞれ違う訳だが、やはり作品の見栄え、レベルとしては戦闘シーンがある以上はなかなか妥協して欲しくない所がある。

 私見だがそういった面では鬼滅の刃Fateで有名なufotableのレベルは異常。むしろあれをあって当然のクオリティと思ってはいけない。もし私がアニメ業界関連の人間やアニメーターなら、週間アニメで遊郭編の戦闘シーンのようなものを出されると苦笑いしか浮かばないと思う。あれを視聴者が見慣れてしまう、あのレベルが当然だと思われるのが怖い、そんなレベル。

 ufotableが手掛けた映画三部作、Fate/stay night Heaven's Feel III : Spring Songの大一番の戦闘シーンなど、メイキングを見るだけで「よくぞこんなシーンを描き切ってくれた」と泣けて来るレベル。傍から見れば変なヤツでしかないが、一体どれだけの修行を積めばあんなシーンを描けるのか分からない。ある種、刀を見てその美しさに涙が出るというのに似ている。分かる人には分かるが、分からない人にはいつまでも分からない。何となく消費するだけの人間と、趣味であれ仕事であれ実際に何かを創ることに携わってその大変さを理解している人間では作品を見る目は違ってくる。

カメラワークの差

 アクションシーンと共通する部分があるが、当然ながらカメラワークは画角が狭い、望遠チックなシーンの方が描くのは楽になる。極端な話、キャラクターの顔だけを映すのと全身を映すのではどちらが簡単か、どちらが情報量が多そうかは想像に易いだろう。激しいシーンでキャラクターの全身が映っていればいるほどそのアニメを作った会社の能力は高いと言える。

 更に言えば、実際にアニメの世界を回転しながら撮影しているかのようなシーンはかなり難易度が高い。明らかに分かりやすいのは「立っている登場人物の周囲を水平にぐるっと回るようなシーン」か。見せ場として使用されることが多い。これが斜め上から、下からなどになるほど、動かく角度が大きいほど難易度は高い。

 また、カメラ趣味の人なら知っていると思うがカメラには被写界深度というものがある。簡単に言えば背景ボケの要素。子供向けあるいは子供も見るアニメでは大抵オミットされているか、表現として用いられることが少ない。被写界深度の要素を取り入れれば取り入れるほどシネマティックに、高級感あるアニメになるとも言える。

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 アニメによっては更にフォーカスブリージングを取り入れている場合もある。フォーカスブリージングはカメラではAF(オートフォーカス)における問題で、カメラがピントを合わせる位置に迷い、ピントが合っている位置が呼吸をする(ブリージング)ようにゆらゆら前後に揺れてしまう現象を言う。よくあるのは「気絶していた主人公が目を覚ますシーン」で、画面が主人公の一人称視点、なかなか目のピントが合わずに目の前にいる人がボヤけたりくっきり見えたりする。厳密にはカメラのフォーカスブリージングと少し違うが、似たような感じではある。そういったシーン以外では、カメラの手ブレ再現と共に使用して映っているキャラクターの心情の迷いなどを表現するために使用される。

その他

 メタ的なことを突き詰めて言うなら、演出のためのライティングやカメラ位置もいろいろと考えて見ると面白い。ライティングはおおよそ不自然なものが多いので「そうはならんだろ」と醒めてしまう人もいるかも知れないが、そうは言ってもアニメで夜間のシーンを描くのに本当に真っ暗闇にしたり、高ISO感度のノイズを加えたりする訳にもいくまい。演出のために適度な嘘を混ぜるのはどんな形であれ必要。

 ゲーム・オブ・スローンズだったか、の撮影で不自然なライトに「この光源はどこから来てるんだ」と言った俳優がおり、「(ドラマ中の)音楽と同じところからです」とスタッフが答えた話があるらしい。本来であればそのシーンでは場に音楽など流れていないがそれぞれのシーンを盛り上げるためにはBGMは必要な訳で、そういったフィクションというか演出は必要な嘘と言える。